携帯によろしく 第三章(6)

注文した麺が来ると、一平と平君は、それを残りのスープの中に入れ、
茹で上がると、うまそうに食べたのでした。
「ああー!食った。食った!!」
「もう食えないよー!」と、一平が言いました。
「楽勝に食べれると思ったんですけど!?きつかったです!」
「ご馳走様でした!!」
そう平君は言うと、頭をペコッと下げたのでした。

「先輩!ご馳走様でした!!」
と、一平も言ったのです。
「まあ!?いいってことよ!」
「じゃあ少し休憩したら、帰るか!」
と、先輩が言ったのです。
「これから俺は、パチンコにでもよって行こうと思うんだけど、
平君はどうする予定なんだい?!」
と先輩が訊くと、
「ハイ友達のうちに行く予定なんです!!」
と、答えました。すると一平が、
「そうだ!電話していたほうがいいなあ?!」
「すいません!ちょっと失礼します!」
と言い、部屋を出ると、育子に電話をかけたのでした。

一平が育子の携帯に電話をしても、すぐにでませんでした。
しばらくすると、
「現在電話に出ることが出来ません。発信音のあと、
20秒以内にメッセージをお入れください!」
「ピー!!」と言うメッセージだったのです。
「あれ?!電車にでも乗っているのかな??!」
一平はそう思い、
「また電話し直すから!?」と言うメッセージを入れ、
一旦電話を切ったのでした。

一平が部屋に戻ると、
「彼女か?!」「ホントに白石のお嬢さんとはこれか!?」
と言って、両手でばってんを作ったのでした。
すると、「はい!」と一平は答えたのでした。
「じゃあ!みんな予定があるみたいだから、
これで資料の説明は終りということで!!」
「ここで解散!にしますか?!」と、先輩が言ったのです。
「お疲れさんでした!」と一平が言うと、
「きょうは、ありがとうございました!!」
「これからも、よろしくお願いします!」
そう松平君は言うと、頭を深々と下げたのです。

三人は、ちゃんこの店を出ると、
それぞれの、きょう予定している方向に、歩いて行ったのでした。
一平は駅に向かう途中、もう一度、育子の携帯に電話したのです。
さっきと同じでした。
今度は、メッセージを入れずに、そのまま切ったのです。
一平はこのまま、育子のマンションに行こうか、
どうしようか迷っていたのですが、汗びっしょりだったので、
ひとまず、自分のマンションに、戻ることにしたのです。
電車に乗り、高田馬場の駅で降り、自分の住むマンションへ、
歩いて戻ったのでした。

マンションの入り口で、子供たちが、うれしそうに自転車に乗って、
走り回っているのを見て、
「そういえば最近は、自転車に乗っていないなあ!?」
と、思ったのでした。
自分の自転車を見ると、かなり汚れていたのです。
「洗ってきれいにして、整備してやらなけりゃならないなあー!?」
と思いながら、階段を上って行ったのでした。
玄関を開け部屋に入ると、いつも通りロックをし、
スーツをハンガーにかけると、ワイシャツと下着を脱いで、
洗濯機に放り込み、洗剤と、柔軟剤を入れ、まわしたのでした。

裸のまま風呂場に入ると、シャワーを浴びたのです。
ちょうどシャワーを浴びているときに、育子から電話があったのでした。
「あれ?!留守電になってる!」
「電車にでも乗ってるのかしら?!」
そう育子は言うと、メッセージに、
「ごめんなさい!部屋に携帯忘れて出て来ちゃったの!?」
「ヨーコが来ているの!」
「また電話します!!」と、入れたのでした。

一平は、シャワーを済ますと、バスタオルで身体を拭き、
部屋に戻ると、下着を身につけ、ジャージに着替えたのでした。
そしてすぐ、鍵の入っている小銭入れだけを、ジャージのポケットに入れると、
自転車専用のバッグを持って、玄関を出ると、鍵を閉め、
下の自転車置き場まで、階段を下りて行ったのでした。
マンションの入り口のすぐ脇にある、水まき用の蛇口をひねり、
少しタオルにしみ込ませると、自転車を拭いたのでした。
タイヤは専用の洗浄剤を使い、きれいにしたのです。
それが済むと、水ワックスを塗ったのでした。
そして、乾いたタオルで磨いたのです。

「今週も乗れるかわからないから、カバーを掛けとくか!?」
そう言うと、透明のカバーを掛けて、何箇所かを、ひもでとめたのでした。
「よし!これでオッケイ!!」
そう言って一平は、バッグを持って部屋に戻ったのでした。
喉が渇いたので、冷蔵庫を開け一瞬缶ビールに手がいったのですが、
育子の顔が浮かび、やめて缶コーヒーを飲んだのでした。
「やっぱり口の中が甘ったるいなあ?!」
そう言うと、ウーロン茶をコップに注ぎ、飲んだのでした。






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