携帯によろしく 第十六章(8)

育子は、昼食の片づけが終わると、
風呂場の乾燥機に干しておいた洗濯物を取り込み、
きれいにたたみ終えると、
それらをタンスにしまったのでした。

「これで一平ちゃんのところは終わりー!っと!!」
と育子言うと、
先にパソコンの部屋の窓を閉め戸締りをし、
レースのカーテンを閉めに行ったのです。
そのあとテレビの部屋の窓を閉め戸締りをし、
カーテンを閉めると、
ジーパンとトレーナーに着替え、ブルゾンを着た育子でした。

空(から)のボストンバッグを持ち、
一平のマンションのドアに鍵を掛けると、
育子は、自分のワンルームマンションへと向かったのでした。

育子は歩いて高田馬場の駅まで行き、
そこからJR山手線で池袋駅に行くと、
地下鉄有楽町線(正確には、東京メトロ有楽町線)に乗り換え、
氷川台駅に着いたのです。
氷川台の駅から歩いて10分ほどで、
ワンルームマンションに着いたのでした。

育子はマンションの入り口に入ると、すぐに郵便受けを見て、
溜まっている郵便物を取り出し、
それらを持っているボストンバッグに入れると、
エレベーターのところまで行ったのでした。
そしてエレベーターに乗り3階で下りたのです。

部屋の玄関に着き鍵を開けドアを開け、
靴を脱ぎスリッパに履き替えると、
すぐにドアをロックしたのでした。
それから急いで台所の窓を開け、
そのあと部屋に入るとカーテンを開け、
そして窓をいっぱいに開けたのです。

「この部屋出るとなると!?」
「なんかさびしいような気がするけどー!?」
「でも家賃もったいないからねっ!」
と言ったあと、
「さーて!あと少しだから!?」
「気合入れてやるかあー!?」
と育子は言ったのでした。

まず最初に、
以前スーパーで貰っておいたダンボールの箱を、
ガムテープを使い組み立てたのです。
そしてすぐに使わない食器などのこわれ物を、
新聞紙に包み、その箱に入れたのでした。
そしていっぱいに入れ終わり、ダンボール箱を閉じると、
マジックペンで入れた中身の名前を記入したのです。

そのあと、本などのすぐには使わない物を、
2時間ほどかけ、
いろいろ選びながらダンボール箱に入れたのでした。
最後に、すぐ必要なもので、
まだ残っている荷物を、ボストンバッグに入れ始めたのです。
そしてその時に、夕日が差し込んでいるのに気がついた育子でした。

「もうこんな時間??!」
「お夕飯の支度しなくちゃあー!?」
と育子は言うと、
急いでボストンバッグに、
残りの荷物を詰め込んだのでした。

育子は、部屋の窓を閉め戸締りをし、カーテンを閉めたのです。
そして台所の窓を閉めると、
パンパンに膨らんだボストンバッグを持ち、
急いで部屋を出ると、鍵を掛けたのでした。
それからエレベーターに乗り、
1階まで下り、マンションを出たのです。

育子は汗をかきながら、
時々バッグを右手と左手に持ち替えながら、
氷川台の駅まで歩いていったのでした。
そして育子は歩きながら、
”やっぱり!”
”一平ちゃんのスーツケース借りてくれば良かったわねえー!!?”
と思ったのでした。

氷川台の駅に着いた育子は、
電車に乗り、池袋駅で乗り換え、
高田馬場駅に着いたのがもうすでに6時半をまわっていたのです。
駅の改札口を出ると、急いで一平に電話した育子でした。

「一平ちゃん!?」
「ごめん!!?」
と育子がいきなり言ったのです。
するとびっくりした一平は、
「どうしたのー??!」
と言ったのでした。

「わたしの部屋まで荷物片付けに行ったんだけどー!?」
「今、高田馬場駅に着いたのー!?」
「何時ごろ帰って来るのー??!」
と育子が言うと、
「今ちょうど駅のホームなんだ!!?」
「高田馬場の!!?」
と言って、笑った一平でした。

「えー!?」
「ホントー!!?」
とうれしそうに育子は言うと、
「じゃあー!改札口で待ってるねえー!!?」
と言ったのです。すぐに、
「わかったあー!?」
「じゃあ切るよー!?」
と一平は言って、携帯を切ったのでした。

「はーい!!?」
と答えると、
育子はニコニコしながら携帯をたたみ、ポケットにしまったのでした。






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