携帯によろしく 第十六章(3)

一平が風呂場から出てドアを閉めると、
すぐに大きな声で、
「ハックション!!」「ハックション!!」
と、2回くしゃみをしたのです。
するとすぐに風呂場にいる育子が、
「一平ちゃん!?」
「だいじょうぶー!!??」
と大きな声で、一平に向かって言ったのでした。

「うん!」
「頭洗って、ちゃんと拭いてなかったせいだよー!?」
「きっと!!」
と、一平は答えたのです。そして、
「ドライヤーですぐ乾かせば、だいじょうぶ!」
と言ったのでした。

一平は急いでバスタオルで身体を拭き、すぐに頭もざっと拭いたのです。
そしてバスタオルの両端(りょうはじ)近くを持ち、首から提げると、
急いで洗面所に置いてあるドライヤーをコンセントに差し、
ダイヤルを強に合わせ、鏡を見ながら、
手を動かしバスタオルも使い、頭の毛を乾かしたのでした。

それから一平は、髪の毛全体が乾いたのを手で確認すると、
「このくらい乾けばいいなあー!?」
と言って、洗い物用のカゴにバスタオルを投げ入れたのでした。
それから下着をはき、パジャマを着たのです。

一平がパジャマを着ながら、
「そう言えばー!?」
「よく子供の頃おふくろが言ってたよー!?」
と一平がドア越しに風呂場にいる育子に向かって言うと、
育子が、
「なんて言ってたのー!??」
「お母さま??!」
と言ったのでした。

「うん!それがさあー!?」
「頭洗ってそのままにしておくとー!?」
「頭から風邪引くから!?」
「ちゃんと拭かなきゃダメだって言ってえー!?」
「逃げようとする俺をよく捕まえて!頭を拭いてたなあー!!?」
と一平は、少し笑いながら言ったのです。

そのことを聞いた育子が、
「へえー!?」
「男の子はみんなそうなのかなあー!??」
「わたしは逃げた記憶ないなあー?!」
と言ったのでした。

「あっ!そうだっ!!?」
「そういえば確か姉さんはー!?」
「お袋が頭も身体も拭き終わるまで!?」
「じっと待っていたような気がするなあー!??」
と一平は、小さい頃を思い出しそう言ったのです。すると、
「やっぱり違うんだわねえー!?」
「男の子と女の子では!?」
と育子が言ったのでした。

「一平ちゃん!?」
「わたし。お風呂もう少しかかるから!?」
と育子が言うと、
パジャマに着替え終えた一平は、
「じゃあー!風呂上りにビールでも飲むかなあー!?」
「育ちゃんゆっくりでいいからねっ!!?」
と言って、台所に向かったのでした。

一平は冷蔵庫を開けると、
「あれ?やっぱりこっちだよなあー!??」
と言ってから、
「一応、育ちゃんに聞いてこよー!?」 (弱いー!!)
と言うと、また風呂場に戻ったのです。

ドア越しに、
「育ちゃーん!?」と一平が言うと、
「なにー!??」と育子が言い、
「あのさあー!?」
「冷蔵庫に入ってる豆腐だけどねっ!」
「小さいパックのは、ヤッコで食べていいのかなあー!??」
と一平が言ったのです。

「うん!」
「大きめのは、お味噌汁用だから!?」
「小さいパックは、ヤッコで食べるように買って来たのだからあー!?」
「遠慮しないで食べてえー!?」
と育子が言ったのでした。そして、
「育ちゃん愛してるよー!」
と一平が言うと、
「わたしも!愛してるー!!」
と育子が答えたのです。(ばかばかしい!・・・)

そして一平は育子が風呂から出て来るまで、
ヤッコをつまみに、ゆっくり缶ビールを飲んだのでした。
20分ほどすると育子は風呂から出てきたのです。
そして新しいバスタオルで身体を拭き終わると、パジャマに着替え、
髪の毛をドライヤーで乾かしたのでした。

ちょうど髪の毛が乾いた頃に、最初の洗濯が終わったのです。
すぐに洗濯物を取り出すと育子は、
取り分けておいた2回目の洗濯物を洗濯機に入れると、
洗剤、漂白剤、柔軟剤を入れ、
洗濯機のスイッチを押したのでした。

それから育子は、最初洗濯した物を風呂場に干すと、
風呂場の乾燥機のスイッチを入れて、
「今夜はこれでオッケイー!!?」
と、うれしそうに言ったあと、
「一平ちゃあーん!?」
「もう洗う物はないわよねえー!??」
と台所にいる一平に向かって言ったのです。

「うん!」
「ないよー!!」
と一平は答えると、
「育ちゃんビール飲むー!??」
と言ったのでした。すると育子は、
「わたしウーロン茶飲むからあー!?」
「ビールは、いいわー!」
と、答えたのでした。






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