携帯によろしく 第十六章(4)

一平は急いで冷蔵庫を開けると、
ウーロン茶の入ったペットボトルを開け、
コップに注いだのです。
そしてそれをテーブルの上に置いたのでした。

育子は、脱衣のところや、洗濯機の周り、
洗面所の周りを雑巾(ぞうきん)で拭き終えたのです。そして、
『それにしてもー!?』
『こんなに毛が落ちてるけどー!?」
『一平ちゃんの頭の毛、だいじょうぶかしらあー!??』
と、雑巾でふき取ったたくさんの毛髪を見ながら、
心の中で心配した育子でした。

雑巾を洗い終えると泡の石鹸で手を洗ってから、
育子は歯を磨いたのです。
そして歯を磨き終え、仕切りカーテンを閉めると、
台所にやって来たのでした。

イスを引き座ると、
「一平ちゃんありがとう!!?」
と言って、ウーロン茶を飲んだのです。そして、
「おいしいー!!」
とうれしそうに言ったのでした。

「一平ちゃん!」
「ちょっと訊いていいー??!」
と育子が言うと、
「なにー!??」
「ああー!?課長のことー??!」
と一平が言ったのです。

「ううん!?」
「それも聞きたいけどー!?」
「違うのー!?」
「頭の毛!」
と育子が言うと、
「ボサボサだろう!?」
「いつも頭洗うと!こうなっちゃうんだあー!?」
と一平が、少し笑いながら言ったのです。

「髪型のことじゃなくってえー!?」
「あのねっ!」
「いろいろなところに、いっぱい髪の毛が落ちていたからあー!?」
と育子がもじもじしながら言うと、
「ああー!?ごめん!!」
「急いで頭の毛を乾かそうとして!?」
「いつもより、力(ちから)入れてやったからだと思うけどー!?」
「結構髪の毛抜けるほうなんだあー!?」
「学生の頃からー!?」
と一平は、何気なく言ったのでした。

「そういえばお袋がよく言ってたなあー!?」
「”お父さんも抜け毛多いけどー!?”」
「”あなたも多いわねえー!?”」
「”ふたりとも髪の毛多いのにー!!??”ってねっ!!」
と笑って一平が言ったのでした。

「そうなんだあー!?」
と少し安心して言ってから、
「そういえば!」
「パソコンの机の上に、ときどきガムテープが載っていたけどー!?」
「それって!」
「髪の毛取っていたのー??!」
と、育子が言ったのです。

「うん!」
「ベッドに髪の毛あるって!育ちゃんいやだろう!?」
「そう思ってねっ!!」
と一平が、少し笑って言ったのでした。すると育子が、
「ところで!課長さんの話ってえー!??」
と言ったので、
一平はきょうあった出来事を話したのでした。

一平の話を聞き終わり、
「それは大変だったわねえー!?」
「でもよかったわねっ!」
「軽く済んでー!!?」
と育子が言ったのでした。
そして一平は時計を見て、
「もう寝よー!?」と言ったのです。

育子が、
「2回目の洗濯終わったから!?」
「干してくるねえー!?」
と言うと、
「じゃあ!?俺!」
「テーブルの上、片付けちゃうからあー!?」
と言って一平はすぐに立ち上がると、
テーブルの上に置いてある物をいっぺんに持つと、
流しに向かったのでした。

すると育子は、
「一平ちゃん!ありがとう!!?」
と言って立ち上がり、
洗濯機のところに向かったのです。
育子は、洗濯機から洗い終えた物を取り出すと、
すぐに風呂場に持って行き、それらを干したのでした。

育子が風呂場から戻ってくると、
一平が洗い物を済ませ、
台ぶきんでテーブルを拭き終えたところでした。
一平は台ぶきんを流しに持って行き、濯ぎながら、
「キッチンハイターに浸けとくー!??」
と言ったのです。

「うん!浸けるけどー!?」
「わたしやるわよー!?」
と育子が言うと、
「ついでだから!?」
と言って一平は、洗い桶に水を入れたのでした。

流しの下の開き扉を開け、
キッチンハイターを出し、キャップ1杯を注ぐと、
それを洗い桶に入れ、手でかき混ぜてから一平は、
台ぶきんを浸けたのです。

そのあとすぐに一平は、食器を洗う洗剤を手に垂らすと、
「キッチンハイターって!」
「ぬめってするし、ニオイもきついんだよなあー!?」
と言って、手をこすりながらよーく洗ったのでした。
それからタオルで手を拭き終えると、
一平は育子のほうを向いたのでした。

すぐに育子は、
「ありがとう!!」
と言うと、一平に抱きついたのです。






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