携帯によろしく 第十五章(9)

「どうしたんすかあー!?その1万円札??!」
と和樹が言うと、
「部長にご苦労さんって言われて、もらったんだけどさあー!?」
「1万じゃ!みんなで飲めやしないからなあー!?」
と泰三は言うと、イスに座ったのです。

一平が大きな声で、
「きょう先輩は大変だったから!?」
「部長がくれたんですよー!?」
「遠慮せずに自分の為に使ってくださいよー!」
「なあー!?みんな?!!」
と言ったのです。

「そうですよー!そうですよー!」
と課のみんなが言ったのでした。
それからそれぞれ、自分の机の上を整理し終わると、
タイムレコーダーのほうに向かったのでした。

「でもなあー!?」
と泰三が言うと、
「だったら!」
「課長が治(なお)って出て来たときの?!」
「出社祝いの足しにでもしますかあー!??」
と和樹が言ったのです。

「おまえー!?」
「そういうことは頭がさえてるんだなあー!?」
と一平が笑いながら言うと、
「そうだなっ!」
「和樹の案に乗るかあー!?」
「そうすべっ!!」
と泰三が言ったのでした。

「かずきー!?」
「きょうも残業かあー!??」
と泰三が言うと、
「もう修正のほうはほとんど終わりですから!?」
「定時で帰りますよー!」
と和樹がうれしそうに言ったのです。

「ところで、一平!?」
「たいらくんの説明はどうだったんだあー!??」
と泰三が言うと、
「ええー!」
「先輩。忙しそうだったんで言わなかったんですけどー!?」
「ほぼ100%(パーセント)!!」
「三丸商事関係の部品を使うことになります!」
「まあ!?しょうがありませんねっ!」
と一平が言ったのでした。

「受注が減っているときだから!?」
「仕事をもらっただけいいとしなくちゃ!」
「なあー!!?」
と泰三が言うと、
「ですねっ!!」
と、一平が苦笑いしながら答えたのでした。

「きょうはとにかくー!?」
「へんに疲れちゃったよー!!?」
「やっぱり、病院は好きになれないなあー!?」
と言って泰三は、自分の手で肩を叩いたのです。

すると和樹が気を利かし、泰三の肩を揉んだのです。
「ああー!気持ちいいなあー!?」
と泰三は言うと、しばらく肩を揉まれていたのでした。

すると課のほかの者は、
「お疲れさんでしたー!?」
「お先にー!!?」と言って帰って行ったのです。
その度(たび)に三人は、
「お疲れさーん!!?」と返事をしたのでした。

肩を揉みながら和樹が、
「きのうは先輩ふたりにおごってもらったんで!!?」
「きょうは飯でも行きますかあー!??」
と言ったのです。すると一平が、
「なんだ!きょうはお前のおごりかあー!??」
とうれしそうに言うと、
「きょうは割り勘ですよー!?」
「決まってるじゃないっすかあー!??」
と和樹が、少し笑って言ったのでした。

「そういえば!きょうはなんかすごく腹減ったなあー!??」
と泰三が言うと、
「きょうは予約を入れてないし!」
「これから着替えて行ったんじゃあー!?」
「たぶん吉野屋はもういっぱいですよー!!?」
と和樹が言ったのです。

「和樹!」
「すっかり肩が軽くなった感じがするよー!?」
「もういいよ!」
「ご苦労さん!!?」
と泰三が言うと、すぐに和樹は肩を揉むのをやめたのでした。
そして和樹は、
「”ちゃんこ”にでも電話して!?」
「席、空(あ)いてるか訊(き)いてみましょうかあー!??」
と言ったのです。

「そうだなあー!?」
「じゃあー!電話してくれるかー!??」
と泰三が言うとすぐ、
「わっかりましたあー!」
と言うとすぐに携帯を取り出し、和樹はちゃんこの店に電話したのでした。

電話すると座敷が空いていたのです。
和樹が”すぐ行くから!”ということを告げ、
携帯を切ったのでした。

絵里が着替えを終え、
「お疲れ様でした!」と言ったのです。
「これからメシ食いに行くけど行かないー!??」
と和樹が言うと、
「すいません!」
「きょうはちょっと用事があるので!?」
と言ったのでした。

「いいんだよー!!?」
と一平が志村けんの物まねで言うと、
思わず絵里が笑って、
「そっくりー!!?」
と言ったのです。そして、
「じゃあー!お先に失礼しまーす!?」
と言ったのでした。

そして絵里に向かって三人は、
「お疲れさーん!!?」と言ったのでした。
それから三人は、タイムカードを打ち、
着替えに向かったのです。

三人は着替えを終えると、
エレベーターで下に降り、会社を出ると、
うれしそうに、ちゃんこ鍋の店に向かったのでした。






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