本来コーヒー紅茶などをお出しして、御もてなししなければいけませんが、
インターネットの都合上それができません。
ご自分で好きなものを適当に用意していただき、
キーボードなどの上にこぼさぬよう注意して、
ときどき飲みながらでもお読みくださいませ。 m(_ _)m
(幸いごく軽い脳溢血(いっけつ)だったのですが、
課長が会社に出勤してきたのは、
大事を取り、倒れてから2週間ほど経ってからでした。)
救急車の中で意識を取り戻した課長は、
救急隊員の問いかけにゆっくり答えていました。
そしてじきに病院に着いたのです。
病院で精密検査も終え、
適切な処理をして完全に意識を取り戻した課長は、
「悪かったなあー!?泰三!!?」
「もしお前に会わなかったら!?」
「壁か床に頭でも打ちつけて!大変なことになっていたかもしれない!」
「命の恩人だよー!!?」
と、ベッドの上で言ったのでした。
「もうすぐ奥さんが来ると思うので!!」
「それまであまり話さないほうがいいですよー!?」
「働き過ぎですよー!」
「ゆっくり養生(ようじょう)してください!!?」
と泰三が言うと、
「ありがとう!」
と課長は言ったあと安心したのか、じきに寝息を立てたのでした。
泰三は課長の奥さんが来るまで病院にいたのです。
そのあいだに、部長には連絡を入れておいたのでした。
そして、奥さんが来るとあいさつを済ませ、状況を説明し、
すぐに会社に戻ったのです。
泰三が会社に戻ると、受付の子ふたりが、
「課長さんどうでしたあー!??」
と泰三に訊いたのです。すぐに、
「課長、軽い脳溢血だったよー!?」
「後遺症(こういしょう)もなく、1週間ほどで退院できるみたいだよー!」
と言ったのでした。
「それはよかったですねっ!!」
と受付の子ふたりが言うと、
「うん。ありがとう!」
「でも病院はいやだなあー!?」
「病気でもないのに、いただけで!なんかすごく疲れたよー!!?」
と、泰三が笑って言ったのでした。
それから泰三はエレベーターに乗り、
担当の課の自分の席へと一旦戻ったのでした。
すると、課の者たちがみんな集まって来たのです。
そしてみんなに、軽い脳溢血であったことと、
後遺症もなく、1週間ほどで退院できることを告げたのでした。
そのことを聞いた課の者たちから、安ど感が広がったのです。
そして自分の席に、みんな戻ったのでした。
それから泰三はイスに座ると、
パソコンのスイッチを入れ、報告書を作成しようとしたのです。
「時間なんてわかんねえーなあー!??」
「”正確な時間はわかりません!”って書いとけばいいかあー!??」
と言うと、きょうあったことを思いだしながら、
書いていったのでした。
泰三は報告書を書き終わると、
それを持って部長のところへ行ったのです。
もうすぐ定時のBGMが流れる時間になっていたのでした。
「いやー!?」
「ご苦労さん!!?」
とうれしそうに部長が言ったのです。そして、
「すいませんだいぶ遅くなりました!」
と泰三が言うと、
「そんなことは気にしなくていいから!?」
「よかったなあー!?」
「軽く済んで!!?」
と部長が言ったのです。
「はい!」
「よかったです!!」
と泰三はうれしそうに答えてから、
「時間がはっきりわからないんですけどー!?」
「こんな感じで書きました!!?」
と言って、報告書を部長に手渡したのです。
「おおー!?」
「かえって時間ははっきり書かないほうがいい!」
「救急車呼んでるからなっ!?」
「そっちと時間が合わないとまずいから!?」
「あとは俺が何とかするから!?」
「ご苦労さん、ご苦労さん!!?」
と言って部長が握手したのでした。
「じゃあー!?あとはよろしくお願いします!」
と言って会釈をすると、
「二宮(にのみや)!」
「きょう帰りに一杯やってけっ!」
と言って、ポケットから財布を取り出すと、
1万円札を1枚、泰三の前に出したのです。
「えっ!?」
と思わず声を出した泰三でしたがすぐ、
「ありがとうございます!」
「じゃ、遠慮なく!」
と言って受け取ったのです。
そして、それを胸のうちポケットに入れると、
「では失礼します!」
と言って会釈をし、部長のところから戻って、
自分のイスに座った泰三でした。
「俺ひとりだけ飲むってわけにはいかないなあー!?」
と、ひとり言を言ったのです。
すると定時を告げるBGMが流れてきたのでした。
それからおもむろに泰三は立ち上がると、
課全体を見回したのです。
ポケットから取り出した1万円札を手に持ち泰三が、
「1万じゃなあー!?」
と苦笑いをして言ったのでした。