携帯によろしく 第十五章(7)

トイレから出てきた課長が、
「おおー!?」
と手を上げたかと思ったら、
泰三のほうに倒れてきたのでした。
泰三は課長の身体(からだ)を受け止めたのです。

「誰かあー!!誰かあー!!??」
と大きな声で叫んだあとすぐ、
「救急車呼んでくれえー!!?」
と泰三が言ったのでした。

近くにいた社員がそれを聞きつけ、急いで救急車を呼んだのです。
それからすぐに会社中が大騒ぎになったのでした。
10分ほど遅れて到着した平君(たいらくん)ですが、
ちょうど課長が救急車に乗せられたところで、
泰三もいっしょに乗り込むところだったのです。

「何かあったんですかー!??」
と受付の子に訊くと、
「第2課の課長が倒れたんですー!!」
と言ったのです。
「ええー!!」
と言って驚いた平君でした。

一平も心配そうに救急車の近くにいたのです。
「じゃあー!?課長のこと頼みますねっ!」
「あとは部長と俺でなんとかやりますから!?」
と一平が言うと、
「じゃあー!頼むなっ!」
と泰三が言うと、救急車のドアが閉まったのでした。

救急車が出ると、
見送る一平のところに平君が近づいたのでした。
そして、肩を叩いたのです。

「一平さん!?」
「課長さんが倒れたそうですけど!?」
と平君が言うと、振り向いて一平が、
「ああー!?」
「たいらくん!どうもー!!?」
「トイレ出た所で倒れたんですよー!?」
「ちょうど先輩がいたからよかったんですけど!!?」
「倒れたときに頭でも打ったら大変でした!!」
と一平が言ったのです。

「今のところ命には別状ないそうですけど!!」
「精密検査を受けないと、病状はわからないそうです!」
と一平は言ってから、
「そんなわけで!!」
「部長と俺とで話は聞きますから!」
「じゃあー!行きますかあー!?」
と言ったのでした。

「はい!!」と平君は答えると、
一平といっしょにエレベーターに乗り、
担当の課の会議室まで行ったのでした。
すでに部長が待っていたのです。
ふたりが会議室に入ってじきに、
絵里がコーヒーを持って部屋に入って来たのでした。

三人にコーヒーを出し終わると、
絵里は会釈をし、部屋を出ていったのでした。

「松平君!」
「このことはしばらく、おたくの課長には黙っていてくれないかね?!」
と部長が言うと、
「それはかまいませんが!?」
「課長さんだいじょうぶでしょうか?」
と言ったのです。

「精密検査受けないと病状はわからないそうだから!?」
「病状がわかり次第!」
「わたしのほうから課長には報告させてもらうから!?」
「それでいいねっ!!?」
と部長が言うと、
「ではそういうことで!」
と平君が答えたのでした。

「そういえば!?」
「課長ですが、最近ときどき頭が痛いようなこと言ってました!」
「風邪かもしれないって言ってたんですけど!?」
と一平が言うと、
「そうかあー!?」
「アイツ!変に我慢強いところあるからなあー!?」
と、部長が言ったのでした。

「部長さんも気をつけてくださいよー!?」
と平君が言うと、
「そうですよー!!?」
「部長も結構我慢強いから!」
「体調がおかしかったら!?」
「無理しないで病院に行ってください!」
と一平が心配して言ったのです。

「そうだなあー!?」
「きょうのようなことあると!」
「みんなに迷惑かけるからなあー!??」
と部長は言ったあと、
「じゃあー!とにかく始めるかあー!?」
「松平君説明を頼む!!?」
と部長が言ったのでした。

「はい!」
「ではさっそく始めさせていただきます!」
と言って、たいらくんの説明が始まったのです。






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