携帯によろしく 第十五章(6)

午後の仕事が始まってから30分ほど経った時、
課長が一平と泰三を呼んだのでした。

「さっき、松平君から連絡があって!」
「指定部品の詳細な資料ができたそうなんだ!!」
「なるべくうちの会社に、3時頃には着くように来るそうだから!?」
「俺も立ち会うけど、君たちにも確認してもらいたいので!」
「3時頃には会議室に入っていてもらいたいから!」
「以上!!」
と課長が言ったのです。

「はい!わかりました!!」
とふたりは答えると、一旦すぐに席に戻ったのでした。

泰三は席につくとすぐに、
平君が持って来た時の説明の資料を見たのです。そして、
「結構あるなあー!?」
「このほかにも指定の追加部品がありそうだなっ!!?」
と言うと、
「いっぺい!!」
「ちょっと来てくれー!?」
と、一平がいる席に向かって言ったのでした。

「はーい!!」
と一平は答えると、泰三の机にいったのです。そして、
「なんですかあー!??」
と言ってから、泰三の耳元に口を近づけ小さな声で、
「きょうも吉野屋寄ってくんですかー!?」
とうれしそうに言ったのでした。

「ばーかっ!」
「仕事の話しだよー!!?」
と小さな声で泰三が答えると、同じような小さな声で、
「そうすかー!?」
「すいません!」
と少し笑いながら一平は言ったのでした。

「もらった資料の中に指定部品のところがあるけどよー!」
「この資料よりも、だいぶ追加がありそうだからさあー!?」
「三丸(みつまる)商事関係の、部品会社の資料を集めといてくれないか!!?」
と泰三が言ったのです。

「わかりましたー!!?」
「指定部品の詳細な資料ができたってことは!?」
「大量に使う部品は!」
「三丸商事の関係会社の部品を使えってことですかねえー!?」
と一平が言うと、
「そのつもりでいたほうがいいなっ!!」
「資料がきてからじゃ遅くなるから!?」
「頼むなっ!」
と泰三は言うと、一平の肩を軽く叩(たた)いたのでした。

「はい!!」
「じゃあー!?さっそく取り掛かりまーす!」
と一平は答えると、自分の席に戻ったのでした。

一平は最初にもらった資料の指定部品をスキャンし、
パソコンに取り込むと、
三丸商事関係の部品会社の製造している部品の資料をスキャンし、
パソコンに取り込み、
会社内の資料として、部長・課長・泰三・一平の四人分を作ったのです。
1時間ほどかけ、3時の20分ほど前に資料は出来上がったのでした。

「せんぱーい!」
「こんなもんでいいですかねえー!?」
と言って、出来上がった資料を泰三のところに持って行った一平でした。

「おおー!ごくろうさん!!」
と言って泰三が資料を受け取ると、
「一応、部長と課長と先輩と俺の分は作りました!」
「社内用だから、たいらくんの分は必要ないですよねえー!?」
と一平が言ったのです。

しばらく資料を見たあと泰三が、
「ああー!」
「これでいい!これでいい!!」
「やっぱり一平ちゃんだねえー!?」
と言うと、
「おだてたってダメですよー!!?」
「こき使おうと思って!!」
と一平が、うれしそうに言ったのでした。

「バレたかあー!?」
とニコニコしながら泰三は言うと、
「もうすぐ時間だから!?」
「そろそろ会議室に行くかあー!??」
と言ったのです。

「課長のことだから!?」
「もう手配してあると思いますけど!!?」
「一応、絵里ちゃんにコーヒー頼んできますよー!」
と一平が言うと、
「俺はビールにしてくれっ!」
「冗談だけどー!?」
と泰三が少し笑いながら言ったのでした。

「課長トイレですかねえー!?」
「あと3時まで10分ほどですから!?」
と一平が課長の机を見て言ったのです。

「年取ってくると、小便が近いんだよー!」
「もしかすると大きいほうかも!??」
と笑いながら泰三が言うと、
「大だったら、3時に間に合わないかも!??」
と、笑いながら一平も言ったのでした。

作った資料を持って、泰三のところから絵里のところに行った一平は、
「課長さんからもう言われています!」と絵里に言われたのです。
「やっぱり!!」と一平は少し苦笑(にがわらい)しながら言うと、
すぐに会議室に向かったのでした。

いっぽう泰三は、
「俺も小便しってから行くかあー!?」
と言うと、トイレに向かったのです。






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