携帯によろしく 第十五章(4)

一平を見送ると、
急いで育子も出勤の支度をしたのでした。
支度を済ませると、戸締りを確認し、出かけたのです。

一平はいつもどおり高田馬場の駅から電車に乗り、新宿駅で乗り換え、
会社近くの駅で降り、少し歩いて会社に出勤したのでした。
タイムレコーダーを押し、着替えを終え、
自分の机に行くと、もう和樹がニコニコしながらが待っていたのです。

「なんだ和樹!いつもより早いじゃないか!!?」
と一平が言うと、和樹が笑って、
「せんぱーい!」
「朝早くからお電話ありがとうございまーす!」
「おかげさまで!早く起きちゃいました!!」
と言ったのでした。

「オウ!」
「お前いつもぎりぎり近いからなっ!」
「たまにはいいだろう!?」
と一平が少し笑いながらが言うと、
「飲み過ぎじゃないんですかー!?」
「会社にカバン置いて!気合入れて行くとはねえー!?」
とうれしそうに言った和樹でした。

「だってサアー!?」
「平君(たいらくん)は来ないし、お前は7時過ぎなきゃ来れないから!?」
「ついつい先輩とふたりで!飲んじゃったんだよなあー?!」
と言うと、
「おはよう!!」と言う大きな声が、
入り口近くのタイムレコーダーのあたりから聞こえてきたのです。
そしてすぐに着替えに向かった、声の主の泰三でした。

泰三が着替えを終え、自分の机に向かって歩いて行くと、
「おはようございまーす!」
と一平が言い、
「おはよーっす!!」
と和樹が言ったのでした。

「なんだあー!??」
「一平はいいとしても!」
「和樹はずいぶんと早いじゃんかよー!?」
と言ったあと、
「一平!朝は悪かったなー電話して!?」
「カバンを会社に置いてったこと!」
「すっかり忘れてたよー!!?」
と泰三が、少し笑いながら言ったのでした。

するとすぐ一平が、
「いいんですよー!?」
「そんなことは!!」
と急いで言うと、
「あれっ!??」
と言うとうれしそうに和樹が、
「課長代理も!カバン会社に置いてったこと忘れてたんですかあー!??」
と言ったのです。

「ああー!!」
「朝電話してなっ!?」
「一平に言われて気が付いたんだよー!?」
と泰三が言ってすぐ、
「”課長代理も”ってどういうことだ!!??」
と言ったのでした。

「それがですよー!?」
「朝誰かさんから電話がありまして!」
「カラオケ屋の電話番号聞こうとした人がいたんですよー!?」
「俺に!!」
と言って、笑った和樹でした。

「なんだよー!!?」
「一平!お前もかあー!?」
「えらそうに言いやがって!!」
と泰三が笑いながら言うと、
「まあー!?」
「似たもの同士っていうところでしょうかねえー!!?」
と和樹うれしそうにが言ったのです。
「えらそうに!!」
と一平が言うと、
「これで和樹にずーっと言われるなあー!?」
「一平!!?」
と泰三が、少し笑いながら言ったのでした。

「なんだあー!?」
「どうしたんだ!!?」
などと言って、他の社員も集まって来たのですが、
「きのう吉野屋で飲んだ話さあー!?」
「なあー!?和樹!!」
と泰三が言うと、
「せんぱーい!ごっつあんでした!!」
と和樹がニヤニヤしながら、
泰三と一平を見て言ったのでした。

それからじきに朝のミーティングが始まったのでした。
そしてそれが終わると、各自の机に戻り、
午前の仕事を始めたのです。
そして時間は過ぎ、午前の仕事終了のBGMが流れてきたのでした。

「もう昼かあー!」
「早いなあー!?」
と言うと一平は手を伸ばし、
思いっきり大あくびをしたのです。

「いっぺい!!」
「がんばり過ぎじゃあないのかあー!??」
と泰三が一平に向かって言うと、
「そんなことないですよー!」
「ふつう!ふつうですよー!!?」
と笑いながら答えた一平でした。

「じゃあー!?」
「行きますかー!先輩!!?」
と言って一平はイスから立ち上がったのです。すると、
「今日は定食なんだっけー!??」
と泰三が言ったのでした。

「かずきー!!?」
と言って一平が和樹の机のほうを向くと、
もう和樹はいませんでした。
「アイツ、はえーなあー!?」
と一平は笑いながら言ったのです。
すると泰三が、
「仕事もあのぐらい早ければいいんだけどなあー!??」
と笑って言ったのでした。






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