携帯によろしく 第十二章(10)

社員食堂で昼食を済ませると、
三人は自分の机のところに戻って来たのです。

「先輩!?忘れないうちに渡しときますよー!?」
と一平は言うと、
自分の机のところから、DVDとメモ用紙を持って来て、
泰三に渡したのでした。

泰三はそれを受け取ると、
「きょうは月曜だから、そんなに修正は出てこないと思うんだけど!?」
「とにかく修正したら履歴に書いとくから!?」
と言ったのです。すると、
「よろしくお願いしまーす!!?」
と、うれしそうに一平は言ったのでした。

「俺もなあー!?」
「メディカルチェック受けなきゃー!?なあー!!??」
と泰三が言うと、
「ブライダルチェックじゃあー!?ないんですか??!」
と一平が言ったのです。

「ブライダルねえー!?」
と泰三があいまいな言い方をすると、
「先輩!?洋子(ヨーコ)さんと!?」
「結婚を前提に付き合っているんじゃー!??」
と、一平が言ったのでした。

「まだそこまではなあー!??」
「いい子なんだけど!?ちょっとテンポが合わないんだ!!?」
と泰三が言うと、
「まだ付き合って間もないし!?」
「俺だって!洋子さんのことよく知らないしねえー??!」
「じっくり付き合うのもいいかもしれないですよー!?」
と、一平が言ったのです。

「いいなー!?ふたりとも恋人がいて!!?」
「俺なんか!?学生の時からの男友達しかいないですよー!?」
と和樹が言うと、
「お前はまだそんなことより!?」
「しっかり設計の勉強をしろよー!?」
「俺が任せられるくらいにさあー!??」
と、一平が言ったのでした。

「一平さん!?それとこれとは別物ですよー!??」
「仕事は仕事!!アフターファイブの恋愛とはねっ!?」
と、偉(えら)そうに和樹が言うと、
「バーカ!?」
「仕事もしっかりできないヤツが!?」
「結婚前提の付き合いができるわけないだろう!?」
と、泰三が言ったのでした。

「俺はまだ!?結婚なんか考えていないですから!?」
「恋愛相手が欲しいだけですよー!??」
と不満そうに和樹が言うと、
「じゃー!?もし相手が妊娠したらどうするんだあー!??」
「おろさせるのかあー!?」
「お前ももう二十歳(はたち)過ぎてるんだから!?」
「責任は取らなければならないだろーう!!?」
「大人(おとな)の付き合いをしろってことだよー!??」
と一平が、少し声を荒げて言ったのでした。

「わかりましたよー!?一平さん!?」
「そんなに!むきにならなくてもー!??」
と、和樹が言ったのです。すると泰三が、
「一平もいろいろ難(むずか)しい問題を抱(かか)えているからなっ!?」
「恋愛相手に対しての姿勢を言っているんだあー!??」
「わかるだろー!?かずきー!!?」
と、泰三が言ったのでした。

「はい!確かにー!?」
「もう!?相手に対していい加減な気持ちで接する歳ではないです!!?」
と和樹が言うと、
「好きな子はいないのかー!??」
と一平が言ったのです。すると、
「うーん!?」と言ったあと、
「もうすぐ午後の仕事始まりですから!?」
と言って和樹は、自分の席に向かったのでした。

一平と泰三は顔を見合わせたあと、
歩いていく和樹のほうを見たのです。
和樹は自分のイスに座ると、
頬杖(ほおづえ)をつき、
「ああーあっ!??」と言って、ため息をもらしたのでした。

「一平!?誰かいい子いないかあー!??」
と泰三が言うと、
一平は笑いながら、
「洋子さんなんかいいんじゃあー!?ないですか??!」
「おっとりしていて!!?」
と、一平が言ったのでした。

「何言ってんだよー!??」
「付き合いはこれからだっていうのにヨー!??」
と、あわててそう言った泰三でした。
「まあー!?冗談ですけど!??」
と言って一平が腕組みをして考えてしばらくすると、
午後の始まりのBGMが流れてきたのです。
一平はすぐに自分の席に戻ったのでした。

そしてあっという間に時間は過ぎ、
定時の終了のBGMが流れてきたのでした。






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