携帯によろしく 第十二章(9)

朝礼を済ませると、
各担当の課で簡単な打ち合わせを行い
各自がいったん自分の席に戻ったのでした。
一平は雑用を済ませたあと、
泰三のところへ行ったのです。

「さっき時間がなかったので言わなかったんですけど!?」
「きょう定時でしまわせてもらいます!?」
「育ちゃんがきょう夕方じゃなければ、都合が悪いんで!!?」
と一平が言うと、
「そうかー!?わかった!!?」
「どうせ設計変更が来るのが3時過ぎだと思うから!?」
「それまでに俺にところへ設計のコピーを持って来ておいてくれなっ!!?」
と、泰三が言ったのでした。

「わかりました!」
「じゃあー、3時までには持って来ますから!?」
「あとは、よろしくお願いしまーす!!?」
と言うと、一平は頭をペコッと下げたあと、
自分の机のところに戻ったのです。

すると和樹が一平のところに来たのです。
「先輩!?泰三さんに頼んだのですか?!」
と和樹が言うと、
「ああー!?定時にしまうって言って来たよー!?」
「先輩に頼めば安心だからなあー!??」
と、ニコニコしながら一平が言ったのでした。

「そりゃあー!?ないっすよー!!?」
「でも俺に言われても断りますけどねっ!!?」
と笑いながら言うと、
課長と目線が合った和樹でした。急いで、
「じゃあー!?後(あと)のことはご心配なく!!?」
とわざと大きな声で和樹は言うと、
自分の席に戻ったのでした。

和樹の行動を見て、
変だと感じた一平はさりげなく課長のほうを見たあと、
「じゃー!和樹!!?先輩によく聞いてあと頼むなあー!??」
と、これまた大きな声で、和樹に向かって言ったのでした。

「わざとらしいヤツラだなあー!?」
とひとり言(ごと)を課長が言うと、
すぐ泰三が来て、
「課長!?きょう一平が定時で帰るもんですから!?」
「設計変更があったら!?」
「あとは俺と和樹でホローしますんで!?」
と、言ったのでした。

「そうかあー!?」
「お見舞いか!?」
「白石のお嬢さん危ないらしいなあー!??」
と課長が小声で言うと、
「一平も毎週お見舞いに行くのがつらいらしいんですけど!?」
「きょうはちょっとそれとは違う用なんです!!?」
と泰三が言ったのでした。

「そうかー!?」
「とにかく、あとは君に任せて置けば安心だから!?」
「頼むなっ!!?」
と課長が言ったのです。すると泰三は、
「はい!!?じゃー!?そういうことで!!?」
と言うと会釈をして、自分の席に戻ったのでした。

時間は過ぎ、昼のBGMが流れたのです。
「昼かあー!?あああー!!?」
と言って、大きなあくびをした一平でした。
「きょうも食堂ですか?!」
「たまには外でランチでも食べたいですけどねえー!?」
「取引先との食事でないと、うちの社則では出来ませんからねっ!!?」
と和樹が言ったのです。

「しょうがないだろー!?ほかの設計会社で!!?」
「機密文章漏えい事件
(きみつぶんしょうろうえいじけん)があったんだから!?」
と、何年か前のことを言った一平でした。

「きょうもおいしい社食を食べて!?」
「元気に働きましょうかあー!??」
と和樹が言うと、まわりの社員が笑ったのでした。

「きょうの日替わり定食は何かなあー??!」
と一平が言うと、
「先輩!?もう忘れちゃったんですかあー??!」
「先週!月曜日は煮魚定食だって!!?」
「いっしょに見たじゃあー!?ないですかあー!??」
と和樹が言ったのです。

「そうだったなあー!?」
「じゃあ!先輩行きますかあー!?」
と一平は泰三に向かって言うと、
「そうだなー!??」
と泰三が答え、三人は食堂へ向かったのでした。






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