携帯によろしく 第十二章(8)

5分ほどしてから後輩(こうはい)の山田和樹(やまだかずき)が、
一平のところに来たのでした。
「おはようーす!!?」
と、和樹がちょこんと頭を下げ言うと、
「おはよう!!?」
と、一平が言ったのでした。

「一平さん!?きょうは休まなかったんですね!??」
と和樹が言うと、
「ああー!?だけど定時で帰るからなっ!?」
「用事があるから!?」
と一平が言ったのです。

「病院通いだなんて!!?」
「変な病気じゃあー!?ないんでしょうねえー??!」
と、うれしそうに和樹が言ったので、
「バカやろー!?そんなんじゃあーないよー!!?」
と大きな声で言った一平でした。

一平は和樹を手招きすると、
和樹が一平のイスのところに近づいたのです。
そして小さな声で一平は、
「お前さあー?!」
「”ブライダルチェック”ってのを知らないの??!」
と、言ったのでした。

「えっ!?なんですかそれ??!」
とまじめな顔をして和樹が言うと、
「やっぱりねえー!?」
「常識がないヤツは困るよー!??」
と、偉(えら)そうに一平が言ったのです。
するとそこへ泰三(たいぞう)が着替えを終え、
やって来たのでした。

「おはようございますー!?」
「先輩!?ちょっとちょっと!!?」
と言って、今度は和樹が手招きをしたのです。すると、
「おはよう!?」
「なんだー!?かずきー!??」
と言って泰三が、ふたりのところに近づいて来たのでした。

一平はイスから立ち上がると、
「おはよーす!!?」
と言って泰三に向かって会釈をすると、
またイスに座ったのです。すぐに、
「おはよう!!?」と泰三が言ったのでした。

小さな声で和樹が、
「先輩!?”ブライダルチェック”って知っていますー!??」
と言うと、
「”ブライダルチェック”がどうしたんだあー!??」
「お前受けるのかー!??」
と泰三が言ったのです。

「なんだー!?先輩知っているんだあー!??」
「俺だけかー!?知らなかったのは!?」
とがっかりしたように和樹が言うと、
「お前が受けるわけないよなあー?!」
「”ブライダルチェック”って言う、ことばも知らないんだから!!?」
と、泰三が笑いながら言ったのでした。

「結局なんですかー?!それ??!」
と和樹が言うと、
「結婚前に性病の検査や、妊娠の可能性の検査!?」
「内臓の検査や感染症の検査など!!?」
「身体(からだに)に異常がないかチェックすること!!?」
「要するにー!」
「夫婦生活を正常にできるかどうかって検査だなー!!?」
と、一平が偉そうに言ったのでした。

「へえー!?そんな検査受けるんですかー?!」
「結婚するのもたいへんですねえー!??」
と和樹が少し大きな声で言ったのです。
すると、事務員の斉藤絵里(さいとうえり)が着替えを終え、
三人のところに来て、
「おはようございます!!?」
と言って、お辞儀をしたのでした。

「おはよう!!?」
と三人は一斉に言ったのです。
「誰かご結婚するんですか??!」
とまじめな顔をして絵里が言うと、
一平が手を横に振り
「いやー!?すぐには結婚しないよー!??」
と言ったのでした。

「このあいだの花束はお見舞い用でしたよねー!??」
「では違う方(かた)ですかー??!」
と絵里が言うと、
「一平さんはもてるから!?」
「いろいろあるんですよねー!??」
と、うれしそうに和樹が言ったのです。

「そうなんですかー!??」
と少し顔を曇らせ絵里が言うと、
始まりのBGMが流れ出したのです。
「さて朝礼だあー!?」
と言うと一平はイスから立ち上がったのでした。
それから四人は、部長の机の前に向かったのです。
すぐに、部の者が一斉に集まって来たのでした。






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