携帯によろしく 第十一章(5)

大きめのホタテの貝殻の上に
マグロの刺身とイカの刺身それにホタテの貝柱の刺身を盛って、
大根のツマとシソの葉を添え、
ナツさんはそれを、小百合と一平に出したのでした。

それからナツさんは、
てんぷらを揚げ始めたのです。
えび・いか・きす・あなご・シソの葉・かぼちゃ
を衣につけ、揚げたのです。
天つゆの入った器といっしょに、
揚がったものを中皿に盛り、それを出したのでした。

一平と小百合が食べ始めてしばらくすると、
小百合の携帯が鳴ったのです。
「もしもし!?小百合??!」
と、菊枝からでした。
「はい!わかりましたわ!?」
「ちょっと待ってください!?ここにいるので替わりますから!??」
と小百合は言うと立ち上がり、
携帯を持ってナツさんのところへ行ったのでした。

「ナツさん!?お母さまから!??」
と言って小百合は携帯をそのまま渡し、自分の席へ戻ったのでした。
携帯を受け取りナツさんは、
「はい!?」
と言うと、
「もしもし替わりました!?」
と答えたのです。

菊枝の言うことをしばらく聞いていたあと、
「はい!!?とんでもございません!?」
「こちらこそよろしくお願いいたします!!?」
「お休みなさいませ!!?」
と言うと、携帯を持って小百合のところへ行き、
「ありがとうございました!?」
と言って小百合に手渡したナツさんでした。

小百合は携帯を受け取り立ち上がると、
「せっかくのお休みなのにすいませんナツさん!?」
「あしたよろしくお願いいたします!?」
とお辞儀をし、そう言ったのでした。

「小百合さん!?とんでもない!?」
「こちらこそよろしくお願いいたします!!?」
と言ってお辞儀をし、
「あしたは小百合さんのお好きな、炊き込みご飯にいたしましたから!?」
「一平さんにあしたの朝召し上がっていただくために!?」
「ジャーにセットして持って行ってもらいましょうか?!」
とナツさんが言ったのです。

「そうですわねっ!?」
と小百合は言うと、
「一平さん!?お食事中すいません!?」
「あしたのお食事もうご用意していらっしゃいます??!」
と一平に向かって小百合が言ったのでした。

「いいえー!?」
「ご用意していらっしゃいませんけど!!?」
と一平はとっさに答えたのです。
すると小百合とナツさんは顔を見合わせ、
思わず笑ったのでした。

「すいません笑ってしまって!!?」
と笑みを浮かべ小百合が言うと、
「いやあー!?いいんですよー!?」
「丁寧な言葉で言わなければと思ったら!?」
「小百合さんが言った、そのまんまの言い方で言ってしまいました!!?」
「わはっはっー!!?」
と言って笑ってごまかした一平でした。

「ナツさんが、あしたの朝一平さんが食べるように!?」
「炊き込みご飯をご用意しますが!?」
「お持ち帰りいただけますー??!」
と小百合が言うと、
「えっ!?朝、電子レンジでチンすればいいんですか?!」
と一平が言ったのでした。

「ジャーごとご用意いたしますので!!?」
「朝スイッチを入れるだけで30分ほどで炊き上がりますので!!?」
と小百合が言うと、
「ジャーごとですかあー?!」
「それは助かりますけど!??」
「よろしいんですかあー?!ジャーごとで!??」
と一平は驚いたように言ったのです。

「ええ!?炊き込みご飯がお好きな方には!?」
「お持ち帰りいただいていますのよー!??」
「一平さんはお好きですか?!炊き込みご飯は??!」
と小百合が言うと、
「もちろん大好きですよー!?」
と一平はうれしそうに言ったのでした。

「ではナツさんご用意して差し上げて!??」
と小百合が言うと、
「承知いたしました!!?」
「ではさっそく!?」
と言ってナツさんは会釈すると、台所へ向かったでした。

「小百合さんは炊き込みご飯、お好きなんですか??!」
と一平が言うと、
「はい!大好きです!!?」
「一平さんと同じくらい!!?」
と答えた小百合でした。






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