携帯によろしく 第十一章(4)

「お母さまー?!」
と小百合が言うと、ナツさんが台所から出て来て、
「奥様は!?」
「少し気分が悪いので、お薬を飲みにお部屋に行かれました!?」
「お薬を飲まれたら、すぐに戻ってくるとはおっしゃっていましたけど!?」
と言ったのでした。

「すいません!?一平さん!??」
「食堂に先に行っててくださいねっ!?」
「母の様子をみてまいりますので!?」と言い、
「はい!?」と一平が答えると、急いで奥の部屋に向かった小百合でした。

小百合の後姿に向かって、
「わたしのことは気を使わなくてもいいので!?」
「お母さまを大事にしてあげてください!?」
と一平が言ったのです。
すると小百合は歩きながら、一平のほうを向き、
「はい!!?」とうなずき答えると、廊下を曲がったのでした。

一平は先に洗面所に行き、手を洗いうがいをしてから、
食堂に入るといつもの席へ行き、イスに座ったのです。
すぐにナツさんが、一平のところに前菜を持って来たのでした。
先にお手拭を一平に、
「どうぞ!?」と言って手渡ししたのです。それから、
箸たてに箸を置くと、お盆からお茶を一平に出したのでした。

「奥様に、先にお出しするよう言われておりますので!?」
「遠慮なさらずお食べください!!?」
と言ってナツさんは、前菜を出したのです。
「ありがとうございます!?。」
と一平が言うと、
「ではごゆっくり!?」
と言って軽く会釈するとナツさんは、急ぎ足で台所に戻ったのでした。

それからナツさんはすぐにお盆を持って戻ってくると、
菊枝と小百合がいつも座る席のテーブルの上に、
一平と同じ支度(したく)をしたのでした。

「いただきまーす!!?」
と言って、一平が食べながら待っていると、
小百合が洗面所に行ったあと、食堂に入って来たのです。
すぐに一平は立ち上がったのでした。
「一平さん!?」
「お食事中申しわけありません!?」
と小百合が、会釈をし言ったのです。

「母はやはり血圧が上がったようでしたわ!?」
「落ち着くまで少し横になっているとのことなので!?」
「”申し訳ありませんが遅れますので”」
「”遠慮なさらずお食べください!!?”」
「と、一平さんに伝えてくださいとのことでした!?」
と小百合は、言ったのです。

「そうですか!?」
「それはご心配ですね!!?」
「わかりました!!。」
「ナツさんから聞いて、遠慮なくいただいております!!?」
と言って一平は、会釈したのです。
小百合も会釈をし、自分の席についたのでした。

「一平さん!?おビールは?!」
と小百合が言うと、
すぐにナツさんが食堂に入って来て、
「一平さん!?お飲み物は!?」
「生ビールでよろしいでしょうか?!」
と訊いたのでした。

「遠慮なさらずに!?」
「わたしがお送りいたしますから!?」
と小百合が言うと、
「では!?中ジョッキでお願いいたします!!?」
と本当に遠慮せず、うれしそうに一平は言ったのでした。

「承知いたしました!!?」
と言ってナツさんは会釈をし、台所に戻ったのでした。
少し待つとナツさんが、いつものワゴンを押し食堂に入って来たのです。
そして生ビールを一平のところに持ってきて、
「失礼いたします!?」とナツさんは言って大きめのコースターを置き、
「どうぞ!?」と言って、その上に中ジョッキを置いたのでした。

「ありがとうございます!!?」
「小百合さんいただきまーす!!?」
と言ってジョッキを自分の頭のところまで上げてから、
うれしそうに一平は、いっきに半分ほど飲んだでした。
小百合もナツさんもニコニコしながら、
一平の呑んでいる姿を見ていたのでした。

「小百合さん!?」
「何かお飲み物お持ちいたしましょうか?!」
とナツさんが言うと、
「いいえ!?けっこうですわ!!?」
と小百合が言ったのでした。
「わかりました!!?」とナツさんは答えると、
ワゴンのところに戻り、メイン料理の支度をし始めたのでした。






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