携帯によろしく 第十章(11)

「そうですか??!」
「じゃあー!?小百合さん録音してください!!?」
と一平は言うと、イスから立ち上がり小百合と交代したのでした。
それから窓を閉めロックし、カーテンを閉めると、
部屋の灯りをつけたのです。

「タオル、お借りしてます!?」
と言って小百合が一平にタオルを見せたのです。そして、
「バッグをディスクの上に置いてもよろしいでしょうか??!」
と小百合が言うと、
「そこでは邪魔になるでしょう!?」
「ベッドの上に置いてかまいませんから!??」
「俺はテーブルのところにいますから!??」
「終わったら言ってください!!?」
と一平は言うと、部屋から出て行ったのでした。

小百合は一平が、いっしょに部屋にいてくれるものだと思っていたので、
がっかりしたのですが、気を取り直して、
自分が書いたメッセージを涙を流しながら、
ことばが途切れ途切れになりながらも、録音したのでした。

いっぽう一平は、部屋から出て来てみたものの、
何もすることがないので、困ったのです。
ただ、小百合といっしょにいたら、
もう自分を抑えることができないことを自覚していたので、
部屋から急いで出て来たのでした。

「困ったなー!??」
「どうしようかあー??!」
とひとり言を言うと、とにかくイスに座ったのでした。
そしてまた立ち上がり、
冷蔵庫を開けるとすぐ缶ビールに手が伸びたのです。

すぐに一平は、
”今飲む状態のときじゃないのにー!!?”
と思い、自分自身に腹が立ったのでした。
そして、動揺している自分を意識した瞬間だったのです。
”ここは落ち着かなければー!??”
と考え、立ったまま手を広げ大きく3回深呼吸をした一平でした。

深呼吸が終わると、なぜかトイレに行きたくなったのでした。
そしてなぜか洗面所に行き先に手を洗ったのです。
それからタオルで手を拭くと、トイレに入ったのでした。
トイレから出てきた一平は、洗面所の鏡に写った自分に向って、
”落ち着け!落ち着くんだ!!”
と自分に言い聞かせたのです。

それから一平は顔を洗い、
タオルで顔を拭くと、テーブルのイスに戻ったのでした。
イスに腰掛けると、すぐに小百合が部屋から出てきたのです。

「一平さん!?録音できましたわ!?」
と小百合が言うと、
「はい!今すぐ行きます!!?」
と言ってイスから立ち上がり、
パソコンの部屋に向かったのでした。

一平がパソコンの部屋に入ると小百合は、
イスのすぐ横に立っていたのです。
「小百合さん!?再生して聞いてみました?!」
と一平が言うと、
「いいえ!?まだ聞いていませんわ!!?」
と、目を赤くして小百合が答えたのでした。
すぐに一平はイスに座ったのです。

一平はわざと小百合と目線を合わせないように、
モニターの画面を見てしゃべったのでした。
「では聞いてみますか?!」
と一平が言うと、
「いいえ!?聞くのはやめましょう!!?」
「ねっ!?一平さん!!?」
「涙が止まらなくなりますもの!??」
と言って、もうすでに涙声になっていた小百合でした。

「わかりました!!?」
「じゃあー!??」
と一平は言うと、ドライブからCD−Rを取り出したのです。
そしてマジックペンで、”優へのメッセージ”と書き、
ケースにも”優へのメッセージ”と書いたのでした。
それからそのCD−Rをケースに入れたのです。
ソフトを終了させると、パソコンの電源を切ったのでした。

「ではその録音したCDを、わたしのバッグに入れますわ!??」
と小百合は言い、
ベッドの上に置いておいたバッグを持ったのでした。
「タオルは洗濯しますから!?貸してください!!?」
と言って小百合からタオルを受け取ったのです。
それから一平は、
「小百合さんこれ!?」
と言って、CDを小百合に手渡したのでした。

一平は部屋を出ると、洗濯機のところに行き、
タオルを放り込んだのでした。
すぐに戻ってくると、
ちょうど小百合が部屋から出て来て、洗面所に向かうところだったのです。
ふたりは、目が合ってしまったのでした。

「また洗面所をお借りしたいのですけど!?」
と小百合が言うと、
「小百合さん!?」
と一平が言い、
ふたりは見つめ合いながら近づいたのです。

あと一歩近づき抱き合う寸前で、
小百合のバッグの中に入れてある携帯が、鳴ったのでした。
小百合はバッグを開け、携帯電話を取り出し、
電話に出たのです。
「もしもし!?!」
「はい!もうすぐそちらに向かうところですわ!!?」
「ええ!?録音はできました!!?」
と言うと小百合は、携帯を切ったのでした。

「母からでしたわ!!?」
と小百合が言うと、
「小百合さん!?洗面所を使ってください!!?」
「急いで病院へ戻りましょう!!?」
「俺は戸締りを確認しますから!!?」
と一平が言ったのです。
「はい!!?」と小百合は答えると洗面所に向い、
一平は最初にパソコンの部屋に行き、次にテレビの部屋に行き、
最後に台所の窓の戸締りを確認したのでした。

そしてしばらくして小百合のお化粧が済むと、
ふたりは一平の部屋を出て、
マンションの1階までエレベーターで降り、
駐車場に行き車に乗り込むと、病院へ向かったのでした。

これで、お。し。ま。い。
第十一章へ続く(予定?!)

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