本来コーヒー紅茶などをお出しして、御もてなししなければいけませんが、
インターネットの都合上それができません。
ご自分で好きなものを適当に用意していただき、
キーボードなどの上にこぼさぬよう注意して、
ときどき飲みながらでもお読みくださいませ。 m(_ _)m
一平はすぐ立ち上がるとテーブルを回り、
小百合のところまで行ったのです。
「小百合さん!?がんばるんだよ!?」
「きっと意識が戻ると信じてね!!?」
と一平が言ったのです。
小百合は一平のことばを聞くと、涙を流しながら立ち上がり、
一平に抱きついたのでした。
一平も小百合を強く抱きしめたのです。
それからしばらくのあいだふたりは、抱き合っていたのでした。
「もう!?録音して病院へ戻らなければ!??」
「ねっ!!?」
と一平が言ったのです。すると、
小百合は顔を上げ一平を見つめ、
「そうですわねっ!!?」
「ここへは録音に来たのでしたわ!?」
そう言うと、また涙を流したのでした。
すぐに一平は小百合が流した涙を、唇で吸い取ったのです。
小百合は優が事故に遭わなければ、
一平とはこんなかたちで出会わなかったかもしれないと思い、
涙を流したのでした。
一平が目の近くから徐々に唇を下ろしていき、
小百合の唇に近づくと、小百合は目を閉じたのです。
一平は小百合の唇に軽くキスすると、
からだを離したのでした。そして、
「小百合さん!?」
「これ以上近づいたら!?」
「男として我慢できなくなってしまいますから!!?」
「わかってくれますねっ!!?」
と言ったのです。
小百合はかすかな声で、「はい!?」と言い、
軽くうなずいたのでした。
すると一平は、ジャケットのポケットからネクタイを出し、
小百合の顔の涙を拭こうとしたのです。
すぐに気がつくと一平は、
「ごめん!!?」
「ハンカチだと思って出したら、ネクタイだったよー!??」
と顔を少し赤らげ、そう言ったのでした。
「ほんとですわ!??」
「一平さんったらー?!」
と言って小百合は微笑んだのです。
「なんでネクタイなんかポケットに入れておいたんだろー??!」
と言ってから、
「あっ!?そうだあー!??」
と一平は言うと、
小百合が迎えに来るので、
もしネクタイ着用の所にでも食事に行った時に困ると思って、
ジャケットに着替え、
ネクタイをポケットに入れておいたのを思い出したのでした。
「小百合さんハンカチあるけどー!!?」
と言ってズボンのポケットから取り出して一平が言うと、
「一平さん!?すみませんが!??」
「洗面所とタオルをお借りしてよろしいでしょうか??!」
と小百合が言ったのです。
「もちろん!?いいですよ!!?」
「やっぱり、それのほうがいいですよねえー!??」
と言うと、
ハンカチをズボンのポケットにしまった一平でした。
すぐに小百合は、
「ではお借りいたします!!?」
と言うと、テーブルのところに行き、
バッグを持つと洗面所に向かったのです。
そして自分でカーテンを閉めたのでした。
洗面所にいる小百合に向って一平が、
「小百合さん!?」
「パソコンの部屋で、先に録音していますから!??」
と言うと、
「すいません!!?」
「あとからそちらに伺いますので!!?」
と小百合は答えたのでした。
「じゃあー!??」
と一平は言うと、
自分が書いたメッセージとレポート用紙とペンケースを持って、
パソコンの部屋に向かったのでした。
パソコンのイスに座ると、ドライブからCD−RWを取り出し、
CD−Rに入れ替えたのです。
そして一平は録音を始めたのでした。
最初読んでいたときは冷静でしたが、
読んでいるうちに、
ベッドに横たわっているユーの姿が浮かんでくると、
徐々に涙声に変わっていったのです。
録音し終わると、再生して聞いてみたのです。
一平が聞いていると、
「一平さん!?入ってもよろしいでしょうか?!」
と小百合が言ったので、
「いいですよ!!?今録音したのを聞いてるところですから!??」
と答えた一平でした。
小百合が入って来たときにはもう終わりのほうだったので、
涙声で、よく聞き取れません。
「最後のほうはよく聞き取れませんねえー!??」
と目を赤くして一平が言うと、
「いいえ!?」
「ユーには伝わると思います。きっと!!」
と小百合が、すっぴんの顔で言ったのでした。