携帯によろしく 第十章(9)

「そのことは後(あと)で話すとして!?」
「とにかく先に録音をしましょう!?」
と一平は言うと、
パソコンの部屋に行ったのです。
すぐ後を小百合がついて行きました。

さっきカーテンと窓を開けたときに、
パソコンのモニターの手前に置ておいた、
録音用のマイクをセットしたのでした。
それから一平はパソコンのスイッチを入れ、
イスに座ったのです。
少し待つと、いつもの画面が出たのでした。

「小百合さん!?」
「ユーが聞いていたのはCDの音楽ですよねえー??!」
と一平が言うと、
「ええ!?ユーがいつも使って聞いていたプレイヤーです!!?」
「何か問題でもあるんですか??!」
と小百合が言ったのでした。

「ならいいんです!?」
と言って一平はスタートボタンを押し、
すべてのプログラムにポインタを当て、
その中からソフトを選んだのでした。
パソコンディスクの下に置いてある、
プラスチック製の引き出しからCD−Rを取り出すと、
それをドライブにセットしたのです。

ソフトの説明を読んでいた一平は、
ドライブからCD−Rを取り出し、
パソコンディスクの上にそれを置いたのです。
そしてさっきの引き出しから今度は、CD−RWを取り出したのでした。
そしてそれをドライブにセットしたのです。

「ためしに、これで録音してみますよ!?」
と一平は言い、ソフトを録音に設定すると、
マイクのスイッチを入れたのでした。

「小百合さん!?」
「ここをクリックすれば録音できますから!?」
「止める場合は、ここをクリックすればいいですから!?」
と言って一平は、
画面を見ながら録音のしかたを小百合に説明したのでした。

「わかりました!!?」
と小百合が答えると、
「じゃー!?俺から先にやってみますから!??」
「試しなので少し話せばいいでしょう!?」
「ではやりまーす!!?」
と一平は言うと、画面のスタートボタンをクリックして、
録音を始めたのです。

「ユーきょうは晴れていて、ものすごく気持ちがいいですよ!!?」
「目を開けて見てください!!?」
「頼むから!!?」
と言うと一平は、画面の停止ボタンをクリックし、録音を止(と)めたのでした。
「小百合さんの番です!!?」
と言うと、パソコンのイスからどいたのでした。

「はい!!?」
と小百合は言うと、一平と交代してイスに座ったのです。
そして画面のスタートボタンをクリックすると、
「ユー!きょうはあなたのために一平さんが来てくれています!!?」
「あなたの大好きな一平さんが!?」
「わたしも大好きです!!?」
と言って小百合は、画面の停止ボタンをクリックして、録音を止めたのでした。

「えっ??!」
と言った一平でしたが、平静をよそおい、
「では聞いてみましょう!??」
「録音できてると思いますが?!」
と言うと、0まで戻し、再生ボタンをクリックしたのでした。

録音した声は普通に再生されて、聞こえたのです。
録音に成功したのでした。
「うまく録音できましたねー!?」
「じゃあー!?次は本格的に録音しますかー??!」
と一平は言ったのです。

パソコンディスクの上に置いてあるペンケースと、
レポート用紙を持つと、
「小百合さん!?」
「ここでは狭いので、録音する文章を!?」
「向こうのテーブルで書きましょうかあー??!」
と言ったのです。

「はい!!?」
と小百合は答えると、イスから立ち上がり、
一平の後をついて行ったのでした。
テーブルのイスに座るとふたりは、
ユーへのメッセージを考え、レポート用紙に書いたのです。

ふたりはそれぞれ、レポート用紙5枚ほどの文章を書き、
その書いた文章を読んだのでした。
一平が先に読んだのです。
そしてふたりは涙を流しながら、
それぞれの文章を読み、そして聞いていたのでした。
小百合は読み終わると、涙を流したまま顔を伏せたのです。






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