携帯によろしく 第一章(6)

「一平ちゃん食べる?!」と言って、
育子は、ピザトーストの具が多くのっている、
真ん中のへんを千切って、
一平に差し出したのでした。
「俺は、いいよ!」
「食べな!」と一平が言ったのですが、
「おいしいわよ、これ!!」
「ピザトースト嫌いなの??!」
と育子が言うと、
「嫌いじゃあないけど!!」
と言ったのです。

「じゃあ!食べて!?」と言うと、
育子は持っている千切ったピザトーストを、
一平の口に近づけたのでした。
「わかったよ!」
そう言うと、受け取ったピザトーストを、
口に放り込んだのです。
口をもぐもぐさせて、食べている一平を見た育子が、
「どう!?おいしい!??」
と訊いたので、一平は飲み込んでから、
「うん!うまいよ!!」
と、言ったのでした。

「でしょう!!?
ここの喫茶店のピザトーストは、ホントにおいしいもの!!」
「ここに来ると、必ず注文するの!」
「わたし大好きなの!!」
「どこにも、こんなにおいしいピザトーストないわ!!?」
と、育子が言ったのです。

「へーそうかあー!?日本一。それとも世界一?!」
と一平が訊くと、育子が、
「うーん?!新宿一かな!!?」
と、こいたので!。いいえ!!。
と、おっしゃったので、
「だって今!。”こんなにおいしいピザトーストない”って、
言っただろー!!??」
と、一平が言うと、
「だ。か。ら!新宿一!!」と言ったあと、
残りのピザトーストを食べ終えたのでした。

口ではかなわないと悟った一平は、
「じゃあ!どこ行こうかあー?!」
と言うと、
「八景島!」
「いい案でしょう!?」
と、育子が即答したのです。
そして一平は思わず、
「すばらしい!ベリーグッ!!」
と、言ってしまったのでした。

「だけど!俺。一度も八景島なんか、行ったことないよ!」
と、一平が言うと、
「わたしだって、一度しか行ったことないけど!」
「でも行き方は知っているから!?」
そう、育子が言ったのです。
「へえー!?情報通だね!」
と言うと、
「わたし、旅行雑誌の会社に勤めているから、
知識だけは豊富なのね!!」
と、育子は答えたのでした。

「ところで、一平ちゃんは、どこに勤めてるの?!」
と、育子が何気なく訊くと、
「俺は、機械の設計の会社だけど!」
「今は、試作機の部門だから忙しいんだよ!」
と、答えたのです。
「八景島って首都高湾岸線で行けるんだよね!?」
「会社の人が言っていたけど!!」
「俺たちは、いつも途中で降りるんだよ!」
「あの辺りは、大きな会社があって、お得意さんが多いんだ!!」
と、一平が言ったのです。

「へえー!そうなの?!」
「車で行ったことがないけど!?」
「とにかく渋谷まで行かなきゃね!」
と育子が言うと、
「東横線で横浜まで行くんだ?!」
と、一平が言うので、
「たぶん!?それが一番早いと思うのね!」
「金沢八景に行くには!」
と育子が言い、コーヒーを飲み干したのでした。
一平も同じように、コーヒーを飲み干したのでした。

「わたしさあ!。最初の頃、北陸の金沢と、
金沢八景とごちゃ混ぜになって困ったわよ!」
「地名ってほんとに紛(まぎ)らわしいのがたくさんあるの!!?」
と、育子は笑いながら言いました。
「じゃあ!行こうかあー!?」
と一平は言うと、伝票を持って立ち上がり、
レジに向かったのです。






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