携帯によろしく 第一章(5)

「きょう1日付き合ってくれるんなら、教えてもいいけど?!」
と、彼女が言ったのでした。
「デートかあー!?ひさしぶりだな!」
「いいよ!どうせ予定は、なくなちゃったんだから!?」
と、一平が言うと、
「わたしの名前聞くと、笑うと思うのねぇー!?」
「笑わないって、約束したら言うわ!」
と、彼女が言ったのです。

「えっ!そんな面白い名前??!」
と、一平が思わずうれしそうに言うと、
「言う前からもう笑ってるじゃん!」
と、彼女が言ったので、
「ごめん!たぶん笑わないよおー!?」
とまじめな顔をして言うと、
「わかった!じゃあ言うわ!?」
「やまがたいくこ!!」
と、早口で言ったので、一平が、
「やまがた。いっこ??!」
と言うと、
「違う!!やまがた。い。く。こ!!」
と、少し大きな声で言ったのでした。

その名前を聞いた一平は、
「別に笑うような名前じゃあないよ!」
と言ったのです。
「なんだあー!?もっと面白い名前かと思ったよ!」
と言うと、
「よかった!えへ!?」
と、育子は笑ったのでした。

「これからどこに行く?!」
と、一平が言うと、
「ディズニーランドはいやでしょ??!」
と育子が言ったので、
「よくわかったね!」
「どうしてわかったあ!??」
と、一平は訊いたのです。

「なんとなく!そんな感じしたから!?」
と、育子が言うと、
「勘がいいんだね!」
「それで俺のこと、勘でわかったんだ!!?」
と、一平がのたまうと、
「えっ!?なに言ってんの??!」
と、育子が言ったのです。

すると一平は、
「俺が、この店に入ってきたときすぐ、
”こっちこっち!一平ちゃん!?”って言ったよ!」
「そのことだよ!?」
「勘だろ?!!」
と言ったのですが、育子は、
「一平ちゃんって、お人よしね!」
「そういうとこ、気に入ったけど!!?」
と、少し笑いながら、言ったのでした。

「えっ!勘じゃあないの??!」
と、お人よしの一平が言うと、
「ディズニーランドのことは勘だけど!!?」
「電話で話しただけで、
知らない男の人と、会う若い女性が、いますかってんだあー!?」
「わたしにも、選ぶ権利があるじゃん!!?」
と育子が言ったのです。

「たしかに!そう言われてみればそうだな!?」
「電話で話しただけで、簡単に男の人と会ったりしないよなあ?!」
「俺。ホントに暇になっちゃったんで来たけど!?」
「ふつう来ないかもしれないなあ?!」
と言ったあと、
「どこかで見ていたの?!」
「何で俺ってわかったんだよおー??!」
と、育子に訊いたので、
「一平ちゃん!。まだわかんないの?!。」
と育子がニヤニヤしながら言うと、
「教えてくれる!?」と言い、
育子を拝んだのでした。

「教えてもいいけどおー!」
と、育子が言ったときに、
ウエートレスが注文のものを持ってきたのでした。
「お待たせしました。」
と言うと、ホットコーヒーと、ピザトーストをテーブルの上に置き、
伝票を置いて、
「失礼いたします。」
と言って、戻っていったのです。

(伝票を置いてくなんて!本当に失礼なヤツだと思いました!!)
(いいえ!当然のことです!!)

「わかったわ!」
「そのことは、あとで教えるからネ!!」
「一平ちゃん!?」
「じゃあ、いただきまーす!!?」
と言うと、育子はうれしそうに、
ピザトーストを食べ、コーヒーを飲んだのでした。






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