ブログ小説 雀 鍵 第一章(9)
「俺が振り込んだから、俺がビリだってのはわかってるんだけど!?」
「お前たちいったいいくら持ってんだよー!??」
と、北場の最初の親のマツヤが、みんなに訊いたのです。
「俺は2万6千2百あるぞー!!?」
と、マツヤの下家(シモチャ)のマスターが、最初に言ったのです。
するとすぐに、マスターの対面(トイメン)のパゲルが、
「俺はマスターと同じ、2万6千2百点有るけど!?」
と言うと、
一番点棒を持っているミソヤが、
「俺がじゃあートップかあー!?今のところ!?」
「2万7千6百だあー!!?」
と言ったのでした。
「俺は小便に行ってくるからさー!?」
と言って立ち上り、パゲルは急いでトイレに駆け込んだのです。
「なんだあー!?俺が行こうと思っていたのに!?」
と言ってパゲルのあとを追いかけた、マツヤでした。
ふたりとも二階のトイレに行ったのです。
「しょうがねーなあー!??」
とマスターは言うと、
下のトイレに階段を下りて行ったのでした。
「じゃあー!?俺も下のトイレに行くかあー!??」
と言ってミソヤも立ち上がり、下のトイレに向ったのです。
「下に行くんだったら!?」
「氷もらって来てくれよー!??」
「暑くなってきたあー!?」
と、二階のトイレの前にいるマツヤがそう言ったのでした。
するとヒットシンが、
「俺がじゃあー!?もらって来てやるよー!?」
と言って、階段を下りて行ったのです。
少しテンポをおいて、三人が下に降りてきたので、
下で気持ちよく一杯やっていた雀鍵(ジャンキー)が、
「やっと終わったのかあー!?」
「ずいぶん長かったなあー!??」
と言ったのでした。
最後に下りてきたヒットシンが、
「ジャンキー!?これから北場だよー!?」
と言ったのです。
「お前らあー!?長いと思ったら!!?」
「西入してたんかあー!??」
「ふざけんなよー!??」
と笑いながら、そう言ったのでした。
ヒットシンが食堂に入って来て、
「おばさん!?氷もらえます??!」
とカッちゃんに言うと、
「ふたつに分けたほうが、取りやすいからいいだろー!??」
と言ったのです。
「ええ!?お願いします!!?」
とヒットシンが言うと、
「ヒットシンそんなとこで突っ立ってないで!?」
「どうなったのか話せよー!??」
とジャンキーが言ったのでした。
ヒットシンはイスに座ると、
「みんななぜか大きい手ができないんで!?」
「小さい上がりの取りっこなんですよー!??」
「それでー!?一本積んでも流れて積んだりテンパイで積んだりで!?」
「親で連続上がって積んだのがないんですー!??」
「親で連荘(レンチャン)させないために、みんな小さい手でけたくりっこして!?」
と言ったのです。
「じゃあー!?誰も高い手で上がっていないんだあー!??」
とジャンキーが訊くと、
「パゲルの手を見ていたんですけど!?」
「けっこう大きな手が来てると、そんな時は安く上がられちゃうんです!?」
「だからだんだんみんな手を大きくしないで!?」
「上がり優先にしていったんですよー!?」
と、ヒットシンが言ったのでした。
「だれだあー!?」
「オーラスで上がれなくて、西入にしちゃったのはー??!」
とジャンキーが言うと、
トイレから出てきたマスターが、
ニコニコしながら食堂に入って来たのです。
「悪かったなあー!??」
「オーラスでよー!?千点上がればトップだったのに!!?」
「その千点の手が来なかったんだよー!!?」
とマスターがうれしそうに言ったのでした。
「そうかあー!?それは残念だったなあー!?」
「一杯飲めやあー!?」
とジャンキーが、ビール瓶を持って言ったのです。
「そうだなあー!??」
「じゃあー!?飲んで!!?」
「酔拳(すいけん)技(わざ)を使うかあー??!」
とうれしそうに、さっき自分が飲んでいたジョッキを手にしたのです。
ジャンキーはすぐにビールを注いだのでした。
マスターは、ジョッキに注がれたビールを一気に飲んだのです。
「じゃあー隊長!」
「酔拳を使ってほかのヤツラを叩きのめしてきますんで!!?」
「しばらく待ってておくんなせえー!!?」
とマスターが言うと、
「おう!じゃあーがんばって叩きのめして来いよー!!?」
とジャンキーが言ったのでした。
そしてマスターはうれしそうに二階へと、階段を上がって行ったのです。
そしてヒットシンは氷をもらい、
そのすぐ後(あと)を、二階に上がって行ったのでした。
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