僕らは探検隊 U (8)

「えー!!。ここ!。」
ユキちゃんがそう言うと、
「ユキちゃん!。内緒(ないしょ)だぞ!。」
「ほかの人にしゃべっちゃあーだめだぞ!。」
「男と、男の約束(やくそく)だからな!。」
ヒロヒロちゃんはそう言うと、
小指を出しました。
ユキちゃんはしかたなく小指を出しました。
「嘘(うそ)ついたら針千本のーます!。」
と言って指切りをしたのでした。

「べつにそれほどのことでもないなあ」
と、ユキちゃんは思ったのですが、
ヒロヒロちゃんは、自分だけが知っている秘密(ひみつ)を打ち明けたので、
人に知られたくはなかったのでした。
ヒロヒロちゃんは得意げに、
「ここからこの中に入(はい)れるんだ!!。」
そう言うと、スルスルと中に入ったのでした。

自動車が通る音でよく聞こえませんでしたが、
中で何か言っているようなので、
ユキちゃんは、ヒロヒロちゃんが入った入り口から、
顔を入れて覗いたのでした。

中は真っ暗でした。
「ヒロヒロちゃん!。どこ!。」
そう言うと、
「ここだよ!。」
と、言ったのですがよく見えませんでした。

「暗くて見えないよう!。」
そう言うと、
「ユキちゃん!。今戻るから、そこの入り口からどいて!。」
そうヒロヒロちゃんが言いました。
ユキちゃんが体を入り口からどかしてしばらくすると、
ヒロヒロちゃんが入り口から最初足を出し、
そして、身体(からだ)全体を出したのでした。

「へへー!!。」 「ユキちゃん!。すごいところを見つけただろー!。」
そう、うれしそうに、ヒロヒロちゃんが言ったのですが、
「だけど暗くて何にも見えないよ!。」
と、ユキちゃんが言うと、
「あの中に鳩(ハト)の巣があるんだよ!。」
「今まだ卵はないけど!。必ず生むと思うんだ!。」
そう言ったあと、続けて言ったのです。

「さっきもっと奥に上がっていったら、大発見したんだよ!。」
「そこの柱あるだろ!。」
そう言って、指で柱を指すと、一番柱の上の部分から、
下に指を持っていきながら言ったのです。
「上から下までその柱の中が空洞になっていて、
下の川が丸見えなんだ!。」
「下に鉄管も見えるから、そこを伝わってけばきっと!。
橋げたのところに降りられると思うんだよ!。」
そう、うれしそうに言いました。

ユキちゃんがヒロヒロちゃんが言うのを聞いてから言ったのです。
「ヒロヒロちゃん!。でも!。服もズボンも頭の毛も、
真っ白けになってるよ!!。」
そう言われたヒロヒロちゃんは、
自分の服とズボンを見て言ったのです!。
「ユキちゃん!。早く言ってよ!。」
そう言うと、一生懸命(いっしょうけんめい)に着ている服と、
ズボンを手ではらったのです。

そして、頭の毛の汚れを落としながら、
「せっかく床屋に行ったのに!。台無しだよ!。」
と、言ったのです。
「中は暗いから、わからなかったんだよー!。」
「こんど来るときは、懐中電灯(かいちゅうでんとう)を持ってこなきゃあ!。」
そうユキちゃんが言うと、
「ひも付きのじゃあなきゃ、だめだあー!。」
「川に落としたら、お母さんに叱られるから!。」
そう言いながらまだ、
頭の汚れを手で払っていたのでした。

「ユキちゃん!。どう!。汚れは落ちた?!。」
そう訊かれたユキちゃんは、
「もうきれいになったよ!。」
「それならみんなに見られても、気がつかれないよー!!。」
そう答えると、ヒロヒロちゃんは、
「よかった!。」
そう笑顔でうれしそうに言ったのでした。

「そんなに汚れるんだったら、おばあちゃんに怒られるから、
そこの探検はやめるよ!。」
そう、ユキちゃんが言ったので、
「じゃあこんど来るときは、汚れてもいい服でくればいいよ!。」
「卵を産んだら知らせるから、捕りに来ようよ!。」
「ね!!。」
ヒロヒロちゃんは、そう言ったのです。
「でも汚れても怒られない服なんてないよ!。」
ユキちゃんがそう言うと、・・・


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