僕らは探検隊 U (3)

「じゃあねえー!!。」
「バイ!。バイ!!。」
そう言うと、ユキちゃんは、橋を渡って自分の家に帰ったのでした。

「どこに行って来たんだい、こんな遅くまで!。」
おばあさんに、そう言われたユキちゃんは、
「ヒロヒロちゃんちまで、行って来たんだよ!。」
そう言うと、
「あそこのうちは、お母さん一人になったから、
迷惑かけるんじゃあないよ!。」
「いいね!。」
そうおばあさんが言いました。

「うん!。」
「腹へった!!。いただきまあーす!。」
食事の支度をおばあさんがしてあったので、
手を洗って、テーブルに着くと、箸を左手に持って食べ始めました。
するとそれを見ていたおばあさんが、
ユキちゃんが箸を持っていた左手をたたきました。

「やっと直ったと思ったのに!。」
「だめでしょ!。」
そう言われてユキちゃんは、
「そうだ!。」
「右手で持つんだった!。」
そう言うと、箸を右手に持ち替えて、
ご飯を再び食べ始めたのでした。

先週の日曜、親戚のおじさんが訪ねて来た時のことでした。
こんどユキちゃんが、4月から小学2年になるので、
本を持ってきてくれました。
その時におばあさんが、親戚のおじさんに話しをしたのでした。
「ユキちゃんが、まだときどき、
ご飯を食べるときに左手で箸を持つんですよ!?。」
と、おばあさんがおじさんに言いました。

「そういえばそんなことを言っていたね!。」
「なおったって聞いたけど、まだやるんですか?!。」
そうおじさんが訊くと、
「そうなんです!。鉛筆を持つのは、もう完全に右手で持つんですが、
幼稚園で字を書く練習をしているときから、
わりと早くなおったんですがねえ?!。」
「靴のほうは、小学校に入ってから先生に言われたんで、
これも割りと早くなおったんですけどね!。」
と、おばあさんが言いました。

「でも世界の王も左利きだったし、”ギッチョ”だって、
今は関係ないでしょう!。」
そうおじさんが言うと、
「そうですか?!。」
「私たちが古い考え方なんでしょうか?!。」
おばあさんが言いました。すると、
「いいえ!。そういう意味じゃあないんですよ!。」
「今は、個性を大切にする時代だから、
別にかまわないんじゃあないのかなあ?!。
そういう意味で言ったのです!。」
そんな会話をしていると、ユキちゃんが家に戻ってきました。

「おばあちゃん!!。」
「腹減った!。なんかない?!。」
そういいいながら家に入ってきました。
「おじさんが、本を持ってきてくださいましたよ!。」
「あいさつをして!。」
とおばあさんが言うと、
「コンチハ!。」
と、ぶっきらぼうに言ったので、おばあさんが、
「もうすぐ2年生になるんだからちゃんと挨拶できるでしょう!。」
と言うと、
かぶっていた帽子を取り、お辞儀をして、
「おじさん!。こんにちは!。」
と、言ったのでした。

おじさんは、ニコニコしながら、
「おお!。ユキちゃんもちゃんと挨拶できるようになったんだ!。」
「えらい!。えらい!。」
そういって頭をなでたのでした。
そして、持ってきた本を渡したのです。

ユキちゃんがその本を受け取ると、
すぐに袋から出して見ようとすると、おばあさんが、
「お礼を言って!。」
とユキちゃんに言うと、
「おじさん!。ありがとう!。」
と、照れくさそうに言いました。

おじさんがユキちゃんに訊きました。
「ユキちゃんは、ご飯を食べるときにお箸を右手で持つときと、
左手で持つときがあるんだって!?。」
「うーん!?。でももう!右手で持つほうが、うんと多いよ!。」
ユキちゃんがそう答えると、
「なんで、左手で持つんだい!?。」
「左手で持つほうが持ちやすいの?!。」
おじさんがそう訊くと、
「うーん!。どっちでもいいじゃん!。」
「ご飯を食べるだけなんだから、お箸を持つのはさ!。」
とユキちゃんは答えたのでした。


戻る | |TOPへ | | 次へ 

      ブログ 夢計画実行委員会
       へもどうぞお寄りください。
(別ウインドウで表示します。)
     


|HOME TOPへ |


Copyright © 2007 taazann007, All rights reserved.