僕らは探検隊 U (2)

ヒロヒロちゃんは、倉庫のほうから、
ヒロヒロちゃんの家のほうに、水路を飛び越えると、
ふちから赤いチョークで書いた線までのあいだに、
ピタッと両足が止まったのです。
「ね!。こうやるんだよ!。」
「両足が、40センチほどのあいだで、停まらなきゃあだめだよ!。」
そう得意げに言ったのです。

「むずかしいよ!。」
ユキちゃんがそう言いました。
「1年生でも!?。練習すればできるようになるさ!。」
ヒロヒロちゃんは、ユキちゃんを励ますように、
そう言ったのですが、
「できたからって、体育で褒められるわけでもないよ!。」
「3年になればできるようになるさ!。」
面白くなさそうにユキちゃんは、そう言ったのでした。

「もう!。お風呂の支度をしなくちゃあ!。」
ヒロヒロちゃんは、そう言うと、
外にあった井戸から水を汲んでお風呂に入れだしました。
「この桶で汲むんだ!。」
そう言ったので、ユキちゃんも面白そうなので、
少し手伝いました。
ヒロヒロちゃんは、いつもやっているので慣れていて、
じきに、風呂桶がいっぱいになりました。

「お父さんが亡くなってからは、俺が風呂の担当さ!。」
笑いながら、ヒロヒロちゃんは、言いました。
「お母さんが仕事だもんね!。」
「ヒロヒロちゃんのとこも!。」
そう言うと、
「でもユキちゃんちは、お父さんも、おばあさんもいるからいいよ!。」
「俺んちは、お母さんだけだから!。」
「お父さんも、おばあちゃんも亡くなったからね!。」
少しさびしそうに言いました。

ヒロヒロちゃんのところでは、薪でお風呂を沸かしていました。
ヒロヒロちゃんの家の横の倉庫には、
薪がいっぱい積んで置いてありました。

「こうやって薪を割るんだよ!。」
そう言うと、やって見せたのでした。
「俺もやってみたいけどいい?!。」
そうユキちゃんが言うと、
「うん!。いいよ!。」
ヒロヒロちゃんが、うれしそうに言いました。

「えい!。」「やあ!。」「とう!。」
そう言いながらユキちゃんは、”ナタ”を使って割ったのです。
「けっこう!。疲れるね!。」
「ヒロヒロちゃんは、毎日これをやっているの?!。」
そう訊くと、
「薪代がかかるから、お風呂は1日おきさ!。」
そう答えたのです。すると、
「ヒロヒロちゃんちには、何回も来てるけど!。」
「こんなに遅くまでいたことがなかったから、知らなかったよ!。」
ユキちゃんは、そう言ったのです。

もう夕日が、当たり一面を照らしてきました。
「もう帰るよ!。」
そうヒロヒロちゃんに言っていると、
6畳の部屋のテーブルの上に、
ヒロヒロちゃんより3つ下の、
幼稚園に通っている妹が、
茶碗や箸を置いて夕飯の支度をしていました。

「よっちゃんがいつも夕飯の支度をしてるの?!。」
ユキちゃんがそう訊くと、
「そうだよ!。」
「あいつには、重いものを持たせるわけには、いかないからな!。」
そうヒロヒロちゃんが答えたので、
「えらいなあ!。ヒロヒロちゃんは!。」
「よっちゃんも!。」
そうユキちゃんが言うと、
「そうかなあ?!。」と、
照れたように、ヒロヒロちゃんが言いました。

ユキちゃんは、おばあさんが何でもやってくれていたので、
少しは大変さがわかったみたいでした。
「じゃあ!。帰るよ!。」
そうユキちゃんが言うと、
「あした面白いところがあるから行こうよ!。」
「何時ごろ来る!。」
そうヒロヒロちゃんが言ったのです。

「えっ!。あした?!。」
「もう!。春休みだけど!。」
「わかんないよう!。」
困ったようにユキちゃんが言うと、
「べつに、”あした”でなくてもいいけど!?。」
「午後、これたら来なよ!。」
ヒロヒロちゃんがそう言いました。

「はっきり約束できないけど!。」
「これたら来るよ!。」
そんなよくわからない、返事をしたのでした。


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