ブログ小説　僕らは探検隊　Ⅰ

　　　　　　僕らは探検隊　Ⅰ　（９）

「じゃあ、もうそろそろ出発するけどいいか！？」
３人に向かって、お兄さんは言いました。
「いいよ！」「よっしゃあ！」「どすこい！どすこい！」
３人が答えました。
「じゃあ！。出発だ！。」そう言うと先頭で歩き始めました。
あまり大きくない松林で、やや登り坂になっていました。
そこを抜けると岩がごろごろころがっていて、
岩のまわりには草が生えていました。

少し上を見ると２０ｍほどその状態が続き、その先にほら穴の入り口が見えました。
「あそこだ！」お兄さんが言いました。
「あそこ？！」トコちゃんが言いました。
入り口まで大きな岩がたくさんころがっていました。
近くの岩が崩れたようでした。

「けっこう大きいなあ！」シュンちゃんが言いました。
「うん！。」ユキちゃんが言いました。
「いいか！。大きい岩と岩のあいだに手や足を入れないようにな！」
「もし、動いて挟まったらたいへんだからな！」
「俺のあとをついて来いよ！」
そうお兄さんが言うと、岩をよじ登りました。
そして上に登ると言いました。

「この岩が一番大きいみたいだ！」
「あとはこの岩の半分ぐらいしかないからそんなに時間は、かからないだろう！。」
「よーし登って来い！」
手前にころがっている、岩をうまくつかって大きな岩まで登りました。
大きな岩は２ｍほどでしたが、小学生の低学年の子供には、
かなり大きく感じたのでした。

あとの岩は、一番大きなものでも１ｍほどで、かなりゴツゴツしていて、
ほら穴の入り口から放射線状に広がっていました。
岩をひとつ超えては降り、またひとつ超えては降り、
というふうにほら穴の入り口まで行くのでした。
「ここは跳べそうだな！」
お兄さんは岩と岩のあいだが狭い岩のとこに来たので言いました。
「せーの！」そう言ってひとつ向こうの岩に跳んだのでした。
「お前たちここなら跳べるだろう！？」
「でもお前は、無理かな！？」
ユキちゃんに向かって言いました。

「ここからかあ！」そう言ってトコちゃんは、
一歩下がって勢いをつけてから、跳んだのでした。
シュンちゃんは、「よーし！。跳んでやる！。」
そう言ってトコちゃんと同じように一歩下がって勢いをつけて跳んだのでした。
勢い余って跳んで向こうの岩の上にいたトコちゃんといっしょに、
向こう側に落ちてしまいました。

それを見たユキちゃんは「やーめた！」
そう言って今までと同じように、
岩を降りてから再びその次の岩に登って、また降りたのでした。
「いてえ！」トコちゃんが言いました。
「ごめん。ごめん！。」シュンちゃんが謝っていました。
「勢いをつけすぎちゃったよ！」シュンちゃんが言いました。
トコちゃんはシュンちゃんの方を向いていたので、
後ろ向きで落ちたのでした。

ひとつ前の岩の上にいたお兄さんが降りてきて言いました。
「だいじょうぶか？！」「ケガないか？！」
「尻もちついただけだから、大丈夫だよ！」
「びっくりしたあー！！」トコちゃんが答えました。

「そうか！。よかった！。」
「おれもびっくりしたよ！。」お兄さんが言いました。
ユキちゃんが来て言いました。
「トコちゃん！。シュンちゃん！だいじょうぶ？！」
「ケガない？！」
「うん！。大丈夫！。」トコちゃんが言いました。
「俺は、だいじょうぶだよ！」シュンちゃんが言いました。

ほら穴の入り口に近づくにつれて、岩の大きさが小さくなっていきました。
「岩が小さくなったね！」ユキちゃんが言いました。
「これじゃあもう岩じゃなく、石だな！」そうお兄さんが言いました。
高さが５０センチほどの岩がいっぱい転がっていました。
すぐそこにほら穴の入り口がありました。
「ここで少し休憩するか！」
そう言うと、お兄さんは、岩を椅子代わりにして座ったのでした。

「休憩だって！」トコちゃんが言いました。
「ああ！疲れたなあ！。」ユキちゃんが言いました。
「俺も疲れた！」シュンちゃんが言いました。
「登ったり、降りたり。登ったり、降りたり。だからけっこう疲れたな！」
トコちゃんが言いました。
「これじゃあ！岩山登りのほうが楽だったかな？！」シュンちゃんが言いました。
「距離は同じぐらいのもんだぞ！？。測ってないけど！？」
「どちらも２０ｍぐらいだと思うけどなあ？！」
お兄さんが言いました。

「岩山って、２０ｍぐらいしかないんだ！」トコちゃんが言いました。
「俺も、もっとあるかと思ったよ！」シュンちゃんが言いました。
「どのくらいあると思った？！」ユキちゃんが訊きました。
「３０ｍぐらいかな？！」シュンちゃんが言いました。
「俺もそのぐらいあるかと思った！」トコちゃんが言いました。
「高いなあ！。と思っても意外と距離はないもんだよ！」
「平らなとこのほうが、意外と距離はあるもんだ！」
そうお兄さんが言い、こう付け加えて言いました。
「こんど、長い距離を測れるのを持ってまた来るか？！」