僕らは探検隊 T (8)

下にいるヒロちゃんに向かってみんなが「じゃあね!」というと、
お兄さんのあとを追いかけて上へと登っていきました。
お兄さんは高所恐怖症というのがあるのを、先生から聞いたことがあったので、
きっとあの子は、高いところが怖いのだと思ったのでした。
トコちゃんとシュンちゃんとユキちゃんは、手をすりむきながらも、
一生懸命に、てっぺんをめざして登っていきました。
「今半分のところだから、がんばれよ!」と、下に向かってお兄さんは大きな声で言いました。

「まだ半分だって」トコちゃんが下にいる二人に向かって言いました。
「まだ半分!?」シュンちゃんが言いました。
ユキちゃんは何にも話さずにひたすら上を目指して登っていました。
まだみんなが岩山の3分の2ほどのところにいるときにお兄さんは、
てっぺんの平らなところにたどり着いたのでした。
「ああ!けっこうきつかったな!」思わずひとりごとを言いました。

かなりの汗の量でした。
あたりにはあまり大きくない松ノ木がかなりたくさん植わっていました。
松ノ木の木陰を見つけて、木を背にして座り足を伸ばしました。
そしてしばらくしてから「よーし!」と自分に気合を入れて、
自分が登ってきたところまで戻りました。

下をのぞくとトコちゃんがもう、すぐそこにいました。
トコちゃんが登ってくると「疲れた!」と言って、
すぐにそこに座り込んでしまいました。
顔が汗でぐちょぐちょで、しかも真っ赤でした。
お兄さんは「そこのとこが日陰だから、そこで休めよ!」
そういうと、木陰のとこを指差しました。
トコちゃんは立ち上がると、
木陰のとこに歩いて行き、木を背にして座り足を伸ばしたのでした。
「俺と同じことをしてやがる!」そう言うと、お兄さんは笑ったのでした。

すぐにシュンちゃんが登ってきました。
同じように「疲れた!」そう言ったあと、
トコちゃんが休んでるのを見つけると、そこにまっすぐ向かったのです。
「疲れた!」「疲れた!」そう言って登ってきたのはユキちゃんでした。
「お前が一番小さいのによくがんばったな!」
お兄さんが言いました。

「うん!。疲れた!」ユキちゃんが言いました。
「あそこで休め!」二人がいるとこを指差しました。
3人とも汗で顔がぐちゃぐちゃでした。
そして3人とも顔が真っ赤でした。

「ここで少し休憩をするから!」そう言うと、
お兄さんも3人の休んでる近くの木陰で、木を背にして座り、足を伸ばしたのでした。
「下見た?!」シュンちゃんが言いました。
「うん!。けっこう高いとこまで登ってきたね!」トコちゃんが言いました。
「うん!。疲れた!」ユキちゃんが言いました。
「よく登ってきたよなあー」シュンちゃんが言いました。

「一生懸命にお兄さんのあとを追いかけてきたら、
こんな高いところまで来ちゃった!。」トコちゃんが言いました。
「うん!。疲れた!」ユキちゃんが言いました。
「ユキちゃん、”疲れた”しか言わないなあ!」トコちゃんが言うと、
それを聞いていたお兄さんが、「ほんとだ!」そう言って笑いました。
トコちゃんと、シュンちゃんも、一緒に笑いました。

「もう少ししたら、出発するからな!」お兄さんがそう言うと、
「また岩山を登るの?!」ユキちゃんが訊きました。
「だいじょうぶだ!。もう岩山は登らないから!」お兄さんが答えて言いました。
「ああ!よかった!」「もうほんとに疲れたよ!」
「手もこんなだし!」そう言って、
岩ですれて血がにじんでいる手を見てユキちゃんが言いました。
「ほんとだなあー」そう言ってトコちゃんも、自分の手を見たのでした。

「痛いと思ったら、こんなとこに石がくい込んでる!」
シュンちゃんはそう言うと、細かな岩のかけらが、
すり切れて傷になったところにくい込んでくっついていたので、
爪を使って取り除いたのでした。
トコちゃんも、ユキちゃんも同じように爪を使って取り除いたのでした。
お兄さんもさっきから爪を使って同じように取り除いてたのでした。

お兄さんは、 「うんと細かいのは、草を折ってその先を使って”つば”をたらして、
取り除けば取れるから!」
「細かい石も全部出したら、”つば”をつけて手をこすっとけ!」
「消毒の代わりになるから!」そう言って、
自分の手のひらの傷についている細かい石を草を使って全部取り除くと、
たっぷり”つば”を手のひらの上にたらすと、
両手をこすり合わせたのでした。

「お兄さん!。これからどこに行くの?!」トコちゃんが訊きました。
「ここからはまだ見えないけど!」
「少し歩いてくと、ほら穴があるんだ!」お兄さんが言いました。
「ほら穴って、なに?!」ユキちゃんが訊きました。
「お前!。ほら穴も知らないのか?!」
「うん!。」ユキちゃんが言いました。
「まあ、とにかく行って見ればわかるから!」
そう言って、立ち上がると周りを見ました。
「こっちの方向だ!」落ちていた枯れ木の枝でほら穴のほうを指したのでした。


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