ブログ小説　僕らは探検隊　Ⅰ

　　　　　　僕らは探検隊　Ⅰ　（７）

「俺が登り方の見本を見せるから、そのとうりに登ってくればてっぺんまで登れるから！」
そう言うとゆっくりと登り方を見本を見せながら説明したのでした。
「いいかあー！、まず最初にいっぱい岩がごつごつしているだろ！」
「そこをつかむんだけど！、最初は地面に近いから楽につかめるはずだ！」
「まずは手をすこし伸ばして、つかみやすいところを見つけて握って！」
「こういうふうに！」
「そしたら、岩をつかんでるほうの足のがいいけど！」
「その足を軽く曲げ岩のとこに足を置いて」
「今、俺の場合は右手と右足が岩にかかってるけど、左足はまだ地面にある」
「ここから、左足で地面をけってそれと同時に曲げてる右足を伸ばし！」
「同時にからだ全体を右足を伸ばす反動を使って右手で上に引き上げる！」
そう言うと、お兄さんはひとりひとりに同じようにやらせたのでした。

最初にやって見せた状態から話し始めました。
「今右手と、右足だけで岩をつかんでるから！」
「ここから左手でつかむ岩を探してこういうふうにつかむ！」「いいな！」
「そしたら下の左の足元を見て右足の場所より上に持ってくる！」
「うんと上に持ってこなくていいから！」
「膝を少し曲げれば右足よりも上に来るから」
「がに股でいいから、左足でしっかり岩をつかむんだ！」
「そしてまた右手を少し伸ばして、右足を左足のところより上に持ってって！」
「からだ全体を持ち上げる！」
「この繰り返しだ！」

「いいか！少しづつでいいからゆっくり登っていけば大丈夫だから！」
「かならず、４本の手足のうちのひとつを上にもっていけば、少しづつ上がっていけるから！」
「残っている３本が岩をつかんでいれば、落ちることはないから！」
お兄さんはそう言ってから「しまった」と、思いました。
”落ちる”なんて言葉を口に出さなければよかった。
そう心の中で思いました。

「じゃあ！とにかく俺が登って見本を見せるから！」
そう言うと、ゆっくりと登り始めました。
５ｍほど登ると、下にいる４人に向かって言いました。
「次はだれが登るんだ！？」
一生懸命、登り方を見ていた４人は集まりました。
「だれが最初に登ってく？！」トコちゃんが言いました。
「やっぱ！。一番年上のトコちゃんかな！？」シュンちゃんが言いました。
「それでいいよ！」ヒロちゃんが言いました。
「俺もそれでいいよ！」ユキちゃんが言いました。
「じゃあ！いくぞ！」そう言うと、
トコちゃんがゆっくりと、お兄さんの登り方を真似て登っていきました。

お兄さんはトコちゃんがお兄さんのところまで登ってくると、
少し上に登って、トコちゃんをお兄さんがいたところまで登らせました。
そして下に向かって言いました。
「おーい！次のヤツ登って来い！」
そう言われると、次はシュンちゃんが「よーし！」
と言って登っていきました。
シュンちゃんがトコちゃんのいるとこに近づいて来るのを見て、
お兄さんはさらに上に登りました。

「おい！。俺のいたとこに来い！」トコちゃんにそう言うと、
トコちゃんは、「わかった今行くよ！」
そう言うとお兄さんのいたところまで登りました。
シュンちゃんがトコちゃんがいたところまで登ってくるとお兄さんが言いました。
「次はどっちだ！」
「ヒロちゃんの番だよ！」ユキちゃんが言いました。
「うん」「せーの！」そう言ってお兄さんがやったとおり最初上がって、
両手両足で岩をつかみました。
しがみついているという感じでしたのでユキちゃんが言いました。

「どうしたの？！ヒロちゃん？！」
そう言われたヒロちゃん下にいるユキちゃん見ました。
「こわいよー！」そうヒロちゃんが言いました。
上にいたシュンちゃんが言いました。
「だいじょうぶだよ！」「お兄さんが登ったように登れば！」
でもヒロちゃんは「こわいよー」と言って上がろうとしませんでした。
そしてゆっくりと降りてきました。

「ユキちゃん先いって！」ヒロちゃんが言いました。
「うん！」「よーし！」そう言うとゆっくり少しづつ登っていきました。
ユキちゃんがシュンちゃんのいるところに近づいてくると、
お兄さんが上に登ると、ひとりづつ順番に上に上がっていきました。
シュンちゃんがいたところにユキちゃんが登ってきました。
お兄さんが大きな声で言いました。
「おーい！登ってこい！」「お前だけ登れないなんてみっともないぞ！」
そう言われたヒロちゃんは泣き出してしまいました。

「おっかないのかアー？！」そうお兄さんが訊きました。
「うん。」涙声で言いました。
「俺たちはこのまま登っていくけど！」
「ひとりで帰れるか？！」
お兄さんが訊きました。
「うん。帰れる。」涙声でヒロちゃんが答えました。
「じゃあ、気をつけて帰れよ！」そうお兄さんは言うと、
はるか上のてっぺんを目指して登っていきました。