僕らは探検隊 T (6)

「もうこのぐらいでいいだろう!」
「さあ渡しのほうにいこう!」
お兄さんはそう言うと、
川の中の土砂が堆積していっぱい草がはえてるところから、
堤防のコンクリートのところまでゆっくりと歩いていきました。
メンチュウを捕ったところから200mほど下ったところに船着場がありました。
そこまでみんなで落ちていた缶を順番にけりながら、向かったのです。

大人が100円で子供が50円でした。
自転車を載せると1台50円でした。
船着場に人が来ると向こう岸から船がやってきました。
船の上にいる船頭を見て、「あのおやじだ!」トコちゃんが言いました。
「ほんとだ!」シュンちゃんも言いました。
「静かに乗るんだぞ!」と、お兄さんが言いました。

「うん!」二人は返事をしました。
向こう岸からひとり自転車を持っているおとなの人が乗っていました。
「自転車の人がいるから道を開けてやれ!」
お兄さんがそう言うと、みんなは1列に並びました。
船着場は、桟橋が出ている簡単なものだったので幅が1.5mぐらいしかありませんでした。

船がこちらの岸に着き、自転車の人が降りたので、
みんな船をゆらさないように乗りました。
乗るとすぐに腰掛ける板があるのでそこにみんな座りました。
そしてだいぶ上潮になってきてはいましたが流れがまだ急だったので、
船が出てすぐのところで「まだ真ん中へんは、すげえ流れが急だ!」
ユキちゃんが言いました。

それを聞いてみんなてんでに言ったのでした。
「すげえ!ホントだ!。」「枝が流れてる!。」「あ!夏みかんだ!。」
「あ!ナスだ!」「魚が浮いてる!」「オヨヨ!」「どすこい!どすこい!」
それを聞いた船頭は、
「うるせえ!。小僧ら!。だまれ!。」そう言い、
持っていた櫓(ろ)で水面をたたいたのでした。

そのしぶきでみんなの服がびしょびしょになりました。
それからは、向こう岸に着くまでみんな無言でした。
向こう岸に着くと、みんな急いで船から下りたのです。
そしてお兄さんのあとをみんな黙ってついて行きました。
船着場から50mぐらい来たところでお兄さんが言いました。
「ほんとにおっかねえ、おやじだったな!」
「ほれみろ!。おっかねえだろ!」トコちゃんが言いました。

「びっくりしたよ!びしょびしょだ!。」シュンちゃんが言いました。
「俺も!。」「俺も!びしょびしょだ!。」
ヒロちゃんと、ユキちゃんが言いました。
「ここを登るんだ!」そう言って小高い丘の上を指しました。
「階段をのぼるの?!」ヒロちゃんが聞きました。
「帰りはあの階段をおりてくるんだけど!」
そう歩きながら言いました。しばらく歩くと、
「あそこだ!。あそこから登るんだ!」と指差して言いました。

「ええー!。あそこ!?」シュンちゃんが言いました。
「急だし、木がいっぱい生えてるよ!」ヒロちゃんが言いました。
「なんか毛虫がいそうだな!?」トコちゃんが言いました。
「うええー!毛虫?!」ユキちゃんが言いました。
「毛虫なんかいないよ!。草や木をうまく使って登れば簡単さ!」
「俺が見本を見せるから、そのあとについて来いよ!」
登り口に着いてそう言うと、お兄さんは登り始めたのでした。

気の根っこが剥き出しになっているのも何本かありました。
「草はこうやって何本も束ねて持てば大丈夫だから!」
「根っこも太いとこを持てば大丈夫だから!」
そう言って見本を見せながら少しづつ登っていきました。
7.8m登ったところで「よーし。登って来い!」
「頂上に社(やしろ)があるからな、そこで待ってるから!」
そうお兄さんが言ったので年の順に登っていきました。

「どうだ思ったより簡単だっただろ!」
頂上のやしろで待っていたお兄さんが言いました。
「すごく急だったけど、草や木があったから割と簡単だった!」
一番年上のトコちゃんが手で汗をぬぐいながら言いました。
「なあーんだ!。もっとたいへんかと思ったけど!このぐらいじゃあ、へっちゃらだ!。」
そう、ぽたぽたと汗を落としながら、一番年下のユキちゃんが言いました。

「じゃあ!これからもっとすごい場所から登るけど、
無理だったらやめてもいいからな!」
そう言うとお兄さんは階段を下っていきました。
みんなは遅れないように、お兄さんのあとを追いかけて行きました。
階段を下りると道路に出ました。
その道路を10mほど行くとみぎてに入り口があり、
そこを入ると松林があって、抜けたところは砂浜で海岸に出たのでした。

砂浜を海岸沿いに行くと、岩がありそこには切り立った岩山がありました。
みんながお兄さんのいるところに集まりました。
「ここから登るんだ!」そう言って岩山を見上げました。
さっきのところは急でしたが、草や木があったので、
それらをつかんで登ることができました。

ここは、草や木はほとんどありませんでしたし、さっきのところよりはるかに急でした。
「こんなとこ、登れないよ!」ヒロちゃんが言いました。
「さっきのとこより高いし、急じゃ!」ユキちゃんが言いました。
「ほんとにスゲエ急じゃあ!」シュンちゃんが言いました。
「お兄さん!こんなとこどうやって登るの?!」トコちゃんが聞きました。


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