明日のことは過去のこと 第三巻 第二章(6)

レンゲが母船に戻ると、宇宙船の整備員から、
会議室に行くよう言われたのでした。
整備員は、ハーンから連絡を受けていたのです。
ナアムは、自分がてっきり神を送っていくものだと思っていたので、
ハーンがレンゲに送らせたのが、理解できませんでした。
いっぽうハーンは、ナアムを会議室に呼んでから送らせるより、
そのままレンゲに送らせて、
そのあいだにみんなを招集したほうがよいと考えたからでした。

レンゲが会議室に「失礼します!。」
と言って入ってきました。そしてハーンに向かって、
「船団長!。神を宇宙船まで送ってきました。」
そう言って会釈したのです。

「レンゲ!。ご苦労様でした。!。」
そう言うと、ハーンも会釈をしました。
「これで全員揃いましたね!。」
ハーンはそう言いました。そして、
「もうすぐ医療器械が完成します!。」
そう言って、話を切り出したのです。

「完成すれば、ナアムにすべての責任と権限が生まれます!。」
「流刑者の検査と、治療に専念しなければなりません!。」
「医療器械ができるまでの間に、指令室勤務の者の、
勤務時間の割り振りを、みんなで考えてほしいと思います!。」
「わたしと、ナアムがいないという想定で、作ってほしいのです!。」
「三日後からレンゲが、神の設計の補助に、
三日に一度の割合で行きますが、
その間はわたしが変わりを勤めますから、
そのことは、考えに入れなくても結構です!。」
ハーンは、みんなにそう述べたのです。

「きょうさっそく、最初の案が出たら、
ためしに二週間、その時間割でやって見ましょう!。」
「そのあいだに不具合を感じたら、自分の案を提出してください!。」
「みんなで、いい案を考えてください!。」
「ただし、けんかしたとか、性格が合わないとかの、
個人的感情は受け付けません!。」
「あくまで、指令室の勤務の時間割ですので!。」
「そのことは、考え違いをしないようにお願いします!。」
そうハーンが言いました。そして、

「これから、わたしとナアムは、指令室に行きますから、
みんなでいい案を、考えてください!。」
「時間ですが?。そうですね!?、二時間にしましょう!。」
「そのあいだはこの部屋のコンピュータや、スクリーン
そのほか好きなものを使って結構ですので!。」
「あと飲み物などもかまいません!。」
「あくまでこれも、勤務のひとつですから、忘れないように!!。」
「早く終わったら、連絡をください!。」
そう言うと、ハーンとナアムは、指令室に行ったのでした。

たいがい上司がいなくなると、仕切りたがる者がでてくるものです。
それは誰だったか、ご想像にお任せします。
ちなみに、レンゲではなかったことは、付け加えておきます。
会議室でみんなが”ああでもない!、こうでもない!。”
と、話し合いをしているときに、
指令室では、ハーンとナアムが話をしていました。

「船団長!。神はわたしが送っていくものと思っていました!?。」
「連絡が来ないので、まだふたりで話をしているものと、思っていたのです!。」
そうナアムが言うと、
「そうですか!?。」
「神と話しているあいだに、考えを変更しましたので!。」
「あなたに伝えるのが遅くなりました!。」
「これからは気をつけましょう。」
そうハーンが言うと、
「いいえ!。別にいいんですけど!。」
「それより、神が設計するというのは、どんなものですか?!。」
ナアムはそう、訊きました。

「あなたがいちばん訊きたかった事でしょう!。」
「しかし、私の口からは答えることはできません!。」
「二人だけになって、神から聞いたことですから!。」
「直接、神に訊いてください!。」
そうハーンは言ったのです。
「わたしが直接訊いて、話してくれるでしょうか?!。」
そう不安げに、ナアムは言ったのでした。

「訊いてすぐ話すかはわかりませんが、
時期が来れば、話してくれるでしょう!?。」
「わたしがあなたを信頼してるように、
神もあなたを信頼していますから!。」
「それより今は、医療器械ができてからのことを、考えましょう!。」
「残虐な行為で流刑者になった者は別にして、
どこまでを基準にして、記憶する能力を落とさず、
それぞれの記憶を消すかです!。」


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