ブログ小説 明日のことは過去のこと 第三巻 第二章 (1)

特別来賓室に着くと、
ナアムがドアを開け、
「このソファーは右側が硬いつくりになっていて、
左側が軟らかいつくりになっていますので、
お好みでお好きなほうにお座りください!。」
と、言ったのでした。
神は以前にもここに通されたことのあることを、
そのことばで思い出したのでした。
それで、神は微笑んだのです。

「神どうしたんですか?!」
「うれしそうな顔をして?!。」
ナアムがそう訊くと、
「前に来たとき、レンゲに同じことを言われたのを、
思い出したんですよ!。」
「レンゲ!。確か同じことを言いましたね!?。」
レンゲのほうを向いて、神が言いました。

「はい!。」
うれしそうにそう答えた、レンゲでした。
「前来たときに、こちらに、来られたんですね!。」
「わたしは忘れていました!。」
「申し訳ございません!。」
そう言うとナアムは、会釈をしたのです。

「レンゲが対応してくれたので、
あなたは知らなかったかもしれません!。」
「別に気にしなくていいんですよ!。」
神は笑みを浮かべて言いました。

神は気を利かせて、右側の硬いほうを選んで座りました。
ナアムは、神の向かい側に座りました。
レンゲは、神の横に座りました。するとすぐ、
ニョライが、ナアムの横に座りました。
ニョライの横に、アミダーが座りました。
最後にテンショウが、レンゲの横に座りました。

「あまりに料理がおいしかったので、
残さずに食べました。」
「量が、わたしには少し、多かったのです!。」
「ですから、今おなかいっぱいで、苦しいです!。」
そううれしそうに、神が言いました。
「わたしも!。最後のデザートは、ちょっときつかったんですよ!。」
そうアミダーが言いました。
「なに言ってんの!。」
「デザートは、べつ腹よねえー!?。ニョライ?!。」

そうレンゲに言われたニョライは、
「ええ!。」と、小さな声で、恥ずかしそうに、
顔を少し赤くして、言いました。

「女性はよく、そういうことを言いますね!。」
と、テンショウが言いました。すると、
「女性って!、遠まわしに言ってるけど!。」
「テンショウ!。特に誰なんだ?!。」
そうナアムが言うと、
「いいえ!。別に特定の女性のことを、言ったわけじゃあないんです!。」
困ったようにテンショウが、そう言いました。

ナアムもこれ以上言うと、よくないと思い、
話を切り替えたのでした。
「ところで神!。船団長は地球を見てきてるんですよね?!。」
そうナアムが訊くと、
「はい!。もうすでに流刑地の場所は決まっています!。」
「われわれの星の流刑地とはだいぶ離しました。」
「しかしこの先文明がすすめば、いつか必ず交流があるでしょう!。」
そう、神は答えました。

「われわれも、一度見たいと思っていますが、どうでしょう?!。」
「もちろん船団長の許可があればですが?!。」
ナアムが神にそう訊くと、
「そうですか?!。」
「難しい問題です!?。」
「知らなければ知らないほうが、よいこともあるのです!。」
「知識が増えたからといって、幸福になるとは限らないからです!。」
「知ったことにより、問題が出てくることもあります!。」
そう答えると、深呼吸をしたのです。

「たとえば、わたしの場合のことを、お話しましょう!。」
「わたしの母星は、異次元から来た船団と戦争がありました。」
「そのため、年老いた補助任務者ふたりと、
管理者であるわたしを除いた者全員、母星へ戻りました。」
「彼らはこの任務を終えると、母星に戻ることになっていたのです!。」
「それが突然戻れなくなったのです!。」
「彼らは一生懸命、わたしの任務を助けてくれました。」
神はそこまで言うと、一回深呼吸をして、また話し始めました。

「わたしは彼らの寿命を引き伸ばすために遺伝子治療をしましたが、
そのとき宇宙船にあった医療器械では、限界がありました。」
「もしそのとき、あなた方の技術力を借りて改良した、
今、宇宙船にある医療器械があれば、今でも元気に働いていたでしょう!。」
「改良の部品の設計は、知識があってできましたが、
それを作る機械や材料がなかったのです!。」
「もしわたしに、医療知識や、設計の知識がなければ、
あんな悔しい思いをしなくて、済んだでしょう!。」



戻る(第一章(9)へ) | | 不思議な物語へ戻る | | 次へ 

(別ウインドウで表示しています。)
     


|HOME TOPへ |


Copyright © 2007 taazann007