明日のことは過去のこと 第三巻 第二章(3)

「ありがとうございます!。」
神はそう答えました。
しかし、心苦しさを感じていました。
ハーンの心の広さを感じて、やはりハーンには、
正直に話そうと、思ったのでした。
「実は少し、二人だけで話したいことがあるのですが?!。」
そうハーンに、話を切り出したのです。

「わかりました!。」
「レンゲ!。すまないけど!。」
「この部屋に、しばらくの間、誰も入らないように、
みんなに言ってきてくれますか?!。」
「まず最初に、指令室にいるふたりから!。」
と、レンゲに言いました。

「はい!。承知しました。」
レンゲはそう答えると、会議室を出て、
ミョウホーとアマテラスのいる、指令室に向かいました。

レンゲが会議室から出ると、
ハーンは、入り口のインターホーンの近くに行き、
念のために、部屋をロックしたのでした。
「これで!。誰にも聞かれることはありません!。」
「安心してお話ください!。」
ハーンはそう言うと、そこから戻って来て、
「神!。どうぞ椅子にお座りください!。」
そう言うと、ハーンは椅子に座ったのです。

「ありがとうございます!。」
神もそう言うと、椅子に座りました。
「二人だけで話したいというのは、どんな話でしょう?!。」
ハーンが先に訊ねました。

「では、お話します!。」
「わたしはまだ若いと思っていますが!。」
「いずれ年老い、器械の操作もできない状態になるでしょう!。」
「もしそれまでに、交代要員が来なければ、
あなた方の星から送られてくる流刑者を、
検査し、地球に送ることができなくなります!。」
「あなた方船団の技術者がいる間に、すべて自動で、
流刑者を検査し、地球に送れる宇宙船を、作っておきたいのです!。」

「ただ作っても、わたしとの交代要員である次の神が、
使用しないと判断すれば、使用できません!。」
「また、わたしの母星で使用しないという通知があれば、
神は、それに従わなければなりません!。」
「このような条件があるので、心苦しいのですが、
ぜひ!。すべて自動で、送られてきた流刑者を検査し、
地球に送れる宇宙船を、作っておきたいのです!。」
そう、神はありのままを正直に、話したのでした。

ハーンはその話を、予期していたように、冷静に受け止めたのです。
「神!。今現在。あなたが、地球の管理を一任されているのですね!。」
そうナアムが改まって訊くと、
「はい!。」
「次の管理者である神になる者が来て、引継ぎが終わるか、
母星からのメッセージが来るまでは、
わたしに、地球の管理はすべて一任されています!。」
神はそう答えたのです。

「では、もんだいはないでしょう!。」
「地球の管理者である、あなたからの依頼なら、
快く引き受けましょう!。」
「全面的に協力いたします!。」
ハーンはそう言うと、少し笑みを浮かべたのです。

神はハーンの話しを聞き終わると、立ち上がり、
「ありがとうございます!。よろしくお願いいたします!。」
そう言うと、深々とお辞儀をしたのでした。
ハーンも立ち上がりお辞儀をしたのでした。

そしてハーンは神に、「お座りください!。」
そう言うと、自分も座ったのでした。
「ところで設計のほうは、できているのですか?!。」
ハーンがそう訊くと、
「はい!。頭の中ではすべて出来上がっています!。」
「図面にするのに、かなり時間が必要です!。」
そう神は答えました。

「それでは、ひとりでは大変でしょう!?。」
「手伝いが必要なら、遠慮せずに言ってください!。」
「全面的に協力いたしますから!。」
そう言うと、微笑んだのでした。

「ハーン。あなたには心の中を読まれています!。」
「あなたに、正直に話してよかったと思います!。」
そう言うと、神も微笑んだのでした。

するとインターホンが鳴ったのです。
ハーンは立ち上がり、「ちょっと失礼します!。」
そう言うと、入り口付近にある、
インターホンのところまで歩いて行きました。


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