明日のことは過去のこと 第三巻 第二章 (2)

神はそう言うと、涙ぐんだのでした。
四人で暮らしていた頃のことを思い出したのです。
「すいません!。話の途中で涙ぐんだりして!。」
「彼らのことを思い出したのです!。」
そう言うと、また一回深呼吸をしたのでした。
その話を聞いていた全員、涙を流したのでした。
神の苦渋の気持ちが伝わってきたからでした。

みんなの涙を見た神は、
「みんなを泣かせてしまって。」
「たとえが悪かったようです!。」
「ちょうど、新しい医療器械が作られているところなので、
つい話してしまいました。」
「ごめんなさい!。」
そう言って謝ったのでした。

「いいえ!。とんでもありません!。」
「わたしたちと会う前は、神ひとりで宇宙船に暮らしていたんですもの!。」
「ひとりで!。」
そう言うと、レンゲはぼろぼろと、涙をこぼしたのでした。
つられてニョライも、涙を流して泣いていました。

「わたしたち全員、誰ひとりとして、
長い間ひとりで暮らしたことは、ありません!。」
「神の精神力の強さには、驚きを隠せません!。」
と、ナアムが言いました。

「戦争が終われば、いつかは必ず、交代要員が来ると、
信じて待っていたからです!。」
「それに、ひとりなので、結構いろんなことで、忙しかったんですよ!。」
「こちらの宇宙船ぐらい大きかったら、
歩き疲れて、死んでいたかもしれません!?。」
「小さくてよかったです!。」
そう神が言うと、みんな一斉に笑みを浮かべたのでした。

「ナアム!。ところで今、ハーンはまだ指令室でしょうか?!。」
神がそう訊ねると、
「たぶん!。船団長はまだ指令室だと思いますが?!。」
「何か?!。」
そうナアムが訊くと、
「ちょっとお話したいことがあるのですが?!。」
「取り次いでもらえないでしょうか?!。」

神からそう言われたナアムは、
「もちろんいいですけど!。」
「ちょっとお待ちください?!。」
そう言って、ソファーから立ち上がると、
部屋の入り口付近にある、インターホンのところまで行き、
ハーンのいる指令室に、連絡をとったのでした。
しばらく、やり取りしたあと、神のところに歩いてきて、
「会議室で待っているそうなので!。」
「これからご案内します!。」

「レンゲ!。」と、ナアムに名前を呼ばれたレンゲは、
「はい!。なんでしょうか?!。」
きょとんとした顔でそう答えると、ナアムが、
「神を会議室まで案内してください!。」
そう言ったので、
「はい!。喜んで!。」と、ニコニコして答えたのです。

「では神!。こちらです!。」ソファーから立ち上がり、
うれしそうにそう言うと、歩いて入り口まで行きました。
入り口を開けると、神が来るのを待っていて、
神が来ると、「これから、会議室までご案内いたします!。」
そうレンゲは言うと、先頭で歩き始めました。
しばらく歩いて会議室の入り口まで来ると、
神に、「少しお待ちください!。」そう言うと、
インターホンで中にいるハーンと、話したのでした。

「船団長に、わたしも一緒に入るよう言われたのですが?!。」
「よろしいでしょうか?!。」
そう神にたずねると、
「ハーンがそう言ったのなら、わたしはかまいません!。」
と、答えが返ってきたのです。
レンゲは入り口を開けると、「ではどうぞ!。」と言って、
神を先に通すと、自分はあとから会議室に入ったのでした。

「すいません!。お忙しいところを?!。」
「わたしの宇宙船の、医療器械の部品を作ってもらったばかりなのに、
ずうずうしいのですが、宇宙船の部品を新しいものに設計し直して、
組み込みたいのです。」
「船団の技術者のご協力をお願いしたいのですが、どうでしょうか?!。」
神はそう話を切り出したのです。ハーンは、
「今すぐは無理だと、思います!。」
「ほとんどの技術者が、医療器械の製造にかかわっているので!。」
「そのあとではどうでしょう?!。」
そうハーンが言うと、・・・


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