明日のことは過去のこと 第三巻 第一章(6)

「そのようなすばらしい器械を、
われわれに提供してもかまわないのですか?!。」
ハーンがそう言うと、
「あなた方があなた達の母星を出発してからたぶん、
そのときより科学が進んだでしょう!。」
「この医療器械よりももっと進んだものができてるかもしれません!。」
「私の母星では、戦争があったので医療器械の進歩が止まっていたのが、
戦争も終わり、これからはまた、すばらしいものを生み出すでしょう!。」
「技術の進歩には時間が必要です!。」
そう神は答えました。

「医療器械のほうは、見たところ順調に進んでいるようですね!。」
「図面と照らし合わせてみましょう!。」
「ナアム!。手伝ってくれますか?!。」
そう神が言うと、
「はい!。私の勉強にもなりますから!。」
うれしそうにナアムはそう言うと、
神とふたりで、前回確認したところから、慎重に確かめていったのです。

ハーンとレンゲは、頼もしげにその様子を見ていたのです。
レンゲはそれとなくハーンに、
神から神の宇宙船の部品を新しくしたいということを伝えたのでした。
そして、神から食事のときにでも、
部品の製造の協力要請があるであろうことを、
そっと伝えておいたのでした。

レンゲからそのことを訊いたハーンは、レンゲに、
「私以外には誰にも、そのことを言わないように!。」
と、念をおして言ったのです。すると、
レンゲは小さな声で「わかりました!。」と、答えたのでした。

ハーンとレンゲは、何もなかったかのように、
新しい医療器械を、ぐるりとゆっくり1周、まわって見たのでした。
神とナアムはその間にも、図面と合っているか、
検証していたのです。
「君の星の技術者は優秀だね!。」
「間違いなく図面どおりに、それぞれの部品ができているし、
組み立ててあるからね!。」
神がそう言いました。

ナアムは、「ありがとうございます!。」
「それも神が図面に、細かく注意事項を記入してある、おかげです!。」
そう答えました。
「君が、わたしの言いたいことを、うまく母星のことばに翻訳して、
書いてくれたおかげです!。」
「コンピュータだけの翻訳では、なかなかこと細かく、
このように翻訳はできないからね!。」
神はうれしそうに、ナアムに言いました。

「ありがとうございます!。」
「そう言っていただけて、たいへん光栄です!。」
ナアムもうれしそうに、そう答えたのでした。
ふたりは、図面の検証が済むと、
ハーンとレンゲがいるところに戻ったのでした。

「ハーン!。順調に機械の製造と組み立てはおこなわれています!。」
「あとはこのまま順調にいってくれるのを、祈るだけです!。」
そう神がハーンに言うと、
「そうですか!。ありがとうございます!。」
ハーンはそう言うと、
製造中の医療器械をうれしそうに眺めたのでした。

しばらく眺めたあと、 「神!。ではこれから、食事の支度ができているので、
食堂に向かいましょう!。」
ハーンがそう言うと、
「船団長!。食堂ではありませんよ!。」
そうレンゲが言ったのです。
「そうでした!。間違えました!。」
そう笑って、ハーンが言いました。

「以前は第2特別来賓室でしたが、そこを改造して
”食事の間”と今は読んでいますが?!。」
「何かいい名前はないでしょうかねえ?!。」
ハーンがそう言うと、
「そういうのは、女性のほうがよいのではないでしょうか?!。」
神が言いました。
「そうですね!。レンゲ!あなたにいい案はありますか?!。」
ハーンがレンゲにそう訊くと、
「急にそう訊かれても、困りますが、
わたしより、ニョライのほうがいい案が出るかもしれません!。」
そう答えました。

「確かにそれは言えてるかもしれないなあー?!。」
「ニョライのほうが女性らしいから!。」
ナアムがそうニコニコしながら言うと、
「失礼しちゃうわ!。」
「わたしが控えめにそう言ったのに!。」
と、笑いながらレンゲが言いました。
神とハーンはふたりの会話をうれしそうに聞いていたのでした。


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