明日のことは過去のこと 第三巻 第一章(3)

ナアムは着替えやその他の身の回りの品を自分の宇宙船に積み込みました。
大人用と、子供用の医療用ロボットを残したのです。
他のものは、指令船から通うので必要なくなったのです。
「神よ!。医療用ロボット以外はすべてわたしの宇宙船に積み込みました。」
「では明日から、母船から通うようにしますので、
よろしくお願いします。」
「長い間お世話になりました!。」
そうナアムは言うと、お辞儀をしたのです。

「長い間本当にご苦労さまでした!。」
「明日からは、あなたの都合のいい時間で結構ですので、
毎日3時間ほど練習を続けましょう!。」
神はそう言うと、ハーンが神にしたように、
ナアムと握手をしたのでした。

ナアムが、「では明日もよろしくお願いします!。」
そう言うと、
「こちらこそよろしく!。」
そう神が言ったのです。
ナアムは自分の宇宙船に入ると、神の宇宙船を離れ、
自分の船団の母船へと向かったのです。
神はナアムの宇宙船が、離陸したのを確認すると、
宇宙船の防御システムを作動させたのでした。

今まで、ナアムに医療器械の治療の習得にかなりの時間を、
割いてきたのですが、それがなくなると、
神に安ど感と、虚無感が同時に訪れたのでした。
それは、地球に残してきた愛する妻と、子供たちのことを、
思い出させたのでした。
地球の管理者の神として立場を忘れる、短い時間でした。
それは神が涙ぐむ時間でもありました。

神は地球の管理者として、
さらにレベルの上の医療器械の設計に取り掛かることにしたのでした。
それは、妻や子供のことを忘れようとしたこともありますが、
それだけではありませんでした。
ハーンたち技術を持った船団がいる間に、
自分の理想の医療器械を作っておいたかったのでした。
それは自分が死んだあとも、地球を流刑地として存続させるべく、
送られて来た者の治療システムと、検査システムを
自動でおこなう医療器械でした。

神は、宇宙船にある母星のすべての資料に目を通したのでした。
利用できる技術、システム、をピックアップして、
必要と思われるものを、設計用のコンピュータに入力していったのです。
センサーなどの細かい部品から、流刑者を乗せてきた宇宙船を受け入れる、
巨大な宇宙船までを、改良設計あるいは、新たに設計するものです。
それは全体のシステムを考え、すべて自動化させたシステムでした。

ハーンにも、ナアムにも秘密裏に設計を
進め始めようとしていたのです。
なぜならば、それは神の後任者が来た場合必要なくなるからでした。
万が一のためのものだったからでした。

翌日ナアムは3時間ほど医療器械の治療技術の練習に来たのです。
事前に、時間を神に伝えておいたのでした。

「どうですか?!。船団の母船での生活は、
ここより快適でしょう!?。」
そう神が言うと、
「正直に言いますと、長年暮らしていたので、
やはり暮らしよいです!。」
「それと同時に、神の偉大さを知りました!。」
「長い間、ここに一人で暮らしていたなんて!。」
「とても私には、考えられないし、できません!。」
とナアムは、正直に答えたのでした。

「いいえ!。そんなことはありません!。」
「あなたなら当然!。私と同じように振舞うでしょう!。」
「責任感が強いのでね!。」
神はそう言いました。

「そうでしょうか?!。」
「私には自信がありません!。」
と、ナアムは言ったのです。すると神は、
「このようなことを話しても、きりがありません!。」
「もうやめましょう!。」
と言いました。

「また、2、3日したら医療器械の製造の進み具合を見たいのですが、
よろしいでしょうか?!。」
そう神が言うと、
「もちろんです!。」
「こんど神が船団のほうに見えることがあったらまた、
食事に招待したいと、船団長が言っていたのですが、
ご都合はいかがでしょうか?!。」
そうナアムが言いました。

「ありがとうございます!。」
「喜んで伺わしていただきたいと思います!。」
「では、3日後に伺いたいのですが、よろしいですか?!。」
そう神が言うと、
「こちらはいつでもよいので、いっこうに構いません!。」
「では、3日後ということで、船団長には伝えておきます!。」
そう答えると、神とともに医療室に向かったのでした。


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