明日のことは過去のこと 第二巻 第二章(8)

「今その二人の方はどうしているのですか?!。」
とレンゲが言うと、
「地球で残りの人生を暮らしたいと言ったので、
テレパシーわざを使えなくして、地球で暮らすようにしました。」

「もうすでに二人ともなくなりましたが、
その子孫が私が作った”王”と言う地球の人たちを、
争いの無いよう統治する長の側近として、
今、地球で暮らしています!。」
神は手短にそう話しました。

「そうですか!。こんな質問をしても良いでしょうか?!。」
遠慮気味にレンゲが言いました。
「なんですか?!。」
「遠慮しないで聞いてください!。」
神はそうレンゲを気づかい言いました。
「ありがとうございます!。」
「では遠慮なく質問させてもらいます!。」
「ところで神は、奥さんやお子さんはいないのですか?!。」

神は一瞬厳しい顔をしましたが、
少し笑みを浮かべて言いました。
「ええ!。いないんです!。」
「先ほどお話したように、交代をするときに母星で戦争状態が続き、
その復興にかなりの時間がかかっています!。」
「交代要員がいつ来るのかもわからない状態です!。」
「結婚は、相手がいなければできませんから!。」
「子供を作るのも、相手がいなければできませんからね!。」
そう言ったあと、顔を引き締めて言いました。

「今は、地球の管理と、あなた方の流刑者を、
これからどのように管理していこうか、
そのことばかりで頭がいっぱいです!。」
「私自身のことを考えてる余裕は、ありません!。」

神からそう言われたので、レンゲは立ち上がり、
「申しわけありませんでした!。」
と、言い深々とお辞儀をしたのです。
「いいんですよ!。私が何でも聞いていいといったんですから!。」
神も立ち上がり、
「頭を上げてください!。」と言うと、
レンゲは頭を上げたのです。

その目には涙がいっぱいたまっていました。
神はレンゲのところまで行き、
「いいんですよ!。気にしないでください!。」
そう言うと、レンゲの目のところに唇を当て、
その目からあふれ出ている涙を吸い取ったのです。
レンゲはそういうことをされたことが無かったので、
びっくりした反面、とてもうれしかったのです。
神はそのあと、レンゲをやさしく抱きしめたのでした。

レンゲは神のやさしさを感じて、
そのまま抱きしめられていました。
神はレンゲの感情の高ぶりがやんだころあいをみて、
「楽しいことを話しましょう!。」
そう言うとレンゲから離れて、自分の座っていたところに戻り、
「座って話しましょう!。」
と言って、ソファーに座りました。
レンゲも「ハイ!。」と、元気よく答え、
ソファーに座ったのでした。

「あなた方の船団は、遠く長い旅をされてきたので、
いろいろおもしろかったこともたくさん体験されていることでしょう!。」
「わたしは、宇宙の旅といえば、
私の生まれた母星から地球までの旅しか経験がありません!。」
「しかしそのあいだは、ほとんど眠っていたので、
旅と言えるかどうか疑問ですね!。」
そう少し笑いながら言うと、
レンゲは普段の状態に戻ったようで、
「それでは睡眠旅行ですね!。」
そう笑って言いました。

「あなたの笑顔は、人の心を和みさせます!。」
「いつも笑顔を絶やすことなくしていてください!。」
そう神は笑みを浮かべていました。
「ありがとうございます!。」
「はじめてお会いした方なのに、涙なんか見せて申し訳ございませんでした。」
「これからは、神の言われたように、
できるだけ笑顔を絶やすことのないよう、心がけます!。」
そういうとニコッとレンゲは笑いました。


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