明日のことは過去のこと 第二巻 第一章(8)

「では中に入りましょう!。」
ナアムがそう言ってから、
二人で次の入り口の前に立つと左右にドアが開きました。

「この器械がわれわれ船団の中で一番医療水準の高い、
遺伝子レベルの治療ができる器械です。」
「これから先、地球に犯罪者を送り込むのにあたり、
遺伝子レベルの治療をする専任の者を、
現在、幹部の中で選別中です!。」
ナアムはそう言うと、医療器械の説明をしました。

「細かいところまで説明いただきまして、ありがとうございました。」
「そうですか!?。」
「専任でやっていただいて、なれてくれば、
だんだん治療がスムーズにできるようになりますから、
それのほうがよいと私も思います!。」
と、神は言いました。

「あなたのように、遺伝子レベルでの治療になれた方が、
そう言ってくださるのなら、間違いないでしょう!。」
ナアムがうれしそうに言いました。

「テレパシーわざが使えなくしてあれば、記憶力を落とさずに、
過去の記憶を消し去るのは、そんなに時間はかかりません。」
「慣れてくれば、スムーズに早く、できるようになるでしょう!。」
神は、医療器械を見て、その説明を聞き安心したのか、
うれしそうに言いました。

「では、もうこれくらいでよろしいでしょうか?!。」
「船団長が指令室で待っておられるので、
そちらに、向かいたいのですが?!。」
ナアムがそう神に訊きました。
「長い時間、ありがとうございました!。」
「では、参りましょう!。」

神がそう言い終り、
二人で入ってきた入り口に立つと、ドアが左右に開きました。
部屋に入ると自動でドアが閉まり、二人は、身に着けていた服を脱いで、
ケースに戻すと次の部屋に行きました。
次の部屋を出ると
左右に警備員が立っている医療室に戻ったのでした。

「船団長のおられるところには、どのくらいの人が働いているのですか?!」
神が訊くと、
「私を含め5人の者が働いています。」
「みんな、遺伝子レベルの治療の専任者の候補になっています!。」
ナアムがそう答えると、
「私は船団長が、あなたを専任者に選ぶような気がしています!。」
神は、笑みを浮かべてそう言いました。

「私をですか?!。」
「それは光栄ですが、副船団長としてやらなければならないことが多くあるので、
それはどうでしょうか?!。」
「私が選ばれた場合、副船団長を、新しく任命しなければなりません!。」
「いずれにせよ船団長が決めることですから?!。」
ナアムは、神にそう言われて困惑したように言いました。

「あなたを困惑させてしまったようです。」
「よけいな事を言って申しわけありませんでした!。」
神は、お辞儀をして謝りました。

そんな話をしながら歩いて指令室まで来ました。
やはり左右に一人づつの警備員が立っていました。
二人は、副船団長の顔を見るとすぐ会釈をしました。
指令室の入り口に二人が立つと、すぐにドアが左右に大きく開きました。
中にはいると船団長が待っていました。
船団長がすぐに言いました。

「どうでしたかこの宇宙船の中のようすは?!。」
「予想はしていましたが、大変広く設備も充実していて、
たいへんすばらしいくて、私が久しぶりに見た宇宙船でした。」
「ありがとうございました。」
そう言うと二人にお辞儀をしたのでした。

「実は、地球の流刑地に送る者たちに対しての、
遺伝子レベルでの治療なんですが?!」
「専任の者を選んでその者に責任を持たせてやらせようと思っています。」
「ここでなく隣の会議室で話をしましょう!。」
ハーンはそう言うと、
「君も一緒に来てくれ!。」とナアムに言って、
神と、ハーンと、ナアムの三人で会議室へ入っていきました。


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