明日のことは過去のこと 第二巻 第一章(5)

神はハーンが搭乗口から彼の乗ってきた宇宙船に入っていくのを確認すると、
緊急脱出用宇宙船のコンピュータを操作して、
万が一の緊急時のときのセットをしたのです。
それが済むと身支度を整えお土産用のりんごと、
バナナを入れた竹かごを持って、
足早に搭乗口まで出かけたのでした。

「お待たせしました。」
「りんごと、バナナを持ってきました。
皆さんに召し上がっていただければと思い、
数は少しでこれしかないのですが!。」
神はそう言うと笑みを浮かべたのでした。

「ありがとうございます。
ただわれわれの規定で宇宙船に搭乗する者や品物は、
まず最初に検疫室で調べてから、
宇宙船への搭乗の許可が降りたものだけが搭乗できるのです!。」
「一旦宇宙船の外に出たわたしも、例外ではありません!。」
「そのところを、ご承知おきください!。」

ハーンがそう言うと神は、
「わかりました。あなた方の規定に従います!。」
そう答えました。
ハーンはそのことばを聞くと、搭乗口のドアを閉めたのでした。

「私が船団の指揮のために乗っている宇宙船を、私たちは通常、
母船と呼んでいます。」
「あなたが来る前に、母船にいる副船団長のナアムには連絡をしました。」
「彼には、今までの経過を伝えてあります。」
「きっと歓迎してくれるでしょう!。」
ハーンはそう言って、微笑みました。

「いまあなたの代わりに、船団の指揮をとっている方は、
とても優秀なのですね?!。」
神がハーンに尋ねました。
「彼は私よりもはるかに若いのですが、ひじょうに優秀です!!。」
「私はもう歳です!。あなたにだけ正直に打ち明けますが、
私の後継者は彼以外考えられません!。」
「この先、あなたとの話し合いは彼が、
私たち船団の代表として、交渉にあたるようになるはずです。!。」

そう会話をしている間に、船団の母船に近づきました。
「あっという間に、もう母船の入り口です!。」
「では、検疫がありますので、よろしくお願いします!。」
ハーンがそう言いました。

母船の大きく開いた入り口からハーンの宇宙船が入ると、
入り口が閉められました。
入るとすぐにハーンが言いました。
「宇宙船も検疫を受けますので、地球時間で5分ほどお待ちください!。」
しばらくすると、搭乗口が開けられました。

ふたりが、乗ってきた宇宙船から出ると、
防護服に身を包んだ二人の人間が立っていました。
そして搭乗口から二人の乗ってきた宇宙船の中に入って、検査をしたのです。
「こちらが検疫室です!。」
ハーンはそう言って神を案内したのです。
検疫室に二人が入ると、入り口が閉められました。
入ってすぐの部屋は、何もない部屋でした。
ハーンが説明しました。

「この部屋は、検疫を受けるものが順番を待つ部屋です。」
「まず最初の部屋に入ると4つのボックスがあります。
ひとつは動物の絵が描いてあるボックスで、
それには小型の動物を入れます。」
「もうひとつは植物の絵が描いてあるボックスで、
そこにはそんなに大きくない植物を入れます。
果物はここに入れてください。」

「さらにもうひとつは、服の絵が描いてあります。
そこのボックスには、身に着けているものをすべて入れてください。
竹かごもここに入れてください。」
「4つめのボックスは、その他のものを入れます。
動物。植物。身に着けてるもの以外すべてを含みます。」

「ボックスにすべて入れ終わったら、
その時点で裸になっていますが、次の部屋の入り口のところに、
スイッチがありますからそれを押してください!。」
「そうすると、次の部屋のドアが開くので入ってください。」
「少し歩くとすぐに自動でドアが開きます。」
「狭い部屋に入ります。入るとすぐに入り口のドアが閉められます。」

「この部屋では純粋な水による洗浄がおこなわれます。」
「6面全部から水が噴出されるので、
多少痛いかもしれませんが我慢してください!。」
「目は閉じてもかまわないでしょう。」
「水が止まって少しすると、次の部屋の入り口のドアが開きます。」
「次の部屋に入ってしばらくするとドアが閉まります。」
「この部屋は、体温と同じ温風が6面から出ますので、
髪の毛などは手を使って乾かせてください!。」
「身体の乾き具合のセンサーによって、止まります。」


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