明日のことは過去のこと 第一巻 第一章(7)

男たちは狩に行きます。しかしそれは形だけのものでした。
毎日ほとんど獲物は獲れずに帰ってきます。
それがふつうでした。
かえって、獲物を持って帰るとおおさわぎになります。
女たちがその分働きます。
海に交代で潜ってあわびやサザエなどを取ります。
ときどき海老やたこなどを突くこともありました。

それぞれの村では、神の管理のもとに穏やかで、平和が続いていました。
神の母星からギーザが送られてから50年が経ちました。
母星から任務で来ていたものたちは、
101年経つと次の者と交替していました。
管理者は201年経つと次の者と交替していました。
1年間は引継ぎのための期間でした。
母星から新しい宇宙船に乗ってきた者がその宇宙船を使います。
母星へ帰る者は今まで使っていた宇宙船に乗って帰ります。

母星では、何千年ものあいだ地球を流刑地として利用していました。
ところが徐々に犯罪をおこすものが少なくなくなっていきました。
肉体的にも、精神的にも成長してきました。
それとともに寿命も延びてきました。
そしてギーザが送られてから、
50年のあいだ1度も犯罪は起こりませんでした。

それまでは、犯罪を犯すものでも寿命は200から300歳、
400歳に達するものもいました。
犯罪を犯さないものたちの寿命はほとんど、
600歳から700歳まででした。

そして地球への犯罪者を送ることについての法律の変更をしたのでした。
母星では犯罪を犯すものが出なくなってから、
寿命がたいへん延びたのでした。
犯罪を犯さないものは、650歳から800歳はざらにいて、
900歳中には1000歳に達するものも、でてきました。

法律の変更内容が送られてきました。
管理者にいままでどおり管理を一任する。
補助任務者は、2名とする。
任務期間は管理者、補助任務者ともに次の犯罪者が送られてくるまでとし、
引継ぎの期間1年後までとする。
交替者と犯罪者とを一緒に送ることとする。
特別処置として
補助任務者は、年齢の多い2名とする。
管理者と補助任務者2名を残し、残りの者は全員戻ることとする。

全員びっくりしました。
100年間の任務期間が来たので、
当然交替要員が送られてくると思っていたのでした。
自動操縦で、新しい宇宙船が送られてきました。

いままで任務は、体力的な面を考慮して、
550歳から560歳で終わりとなっていました。
そののち母星に戻って好きな職種の中から、
希望する勤務につき本人がやめるというまで働くことができたのでした。
年齢の多い彼ら2人とも550歳になっていました。
この任務が最後で母星に帰る予定でした。

神(地球の管理者)には、医者であり、地質学者であり、工学者で、
そして精神的に強く能力のあるものしかなれませんでした。
彼のみたてでは、2人は能力的には問題なかったのですが、
年齢的に寿命の長い系統ではなかったので、
母星の指示に疑問を持っていました。
彼ら2人とも、地球という星にたいへん興味があったので、
希望してこの任務についたのでした。

補助任務者は、管理者の命令に従うものとし、
管理者、補助任務者ともに母星の指示に従うものとする。

この条項に、任務につくとき全員がサインをしていたのでした。
管理者ひとりに、補助任務者9人がいました。
管理者と、補助任務者2人が新しい宇宙船に移りました。
いままでの地球のデータをすべて移し、データの記入漏れや、
間違いなどの確認に、1ヶ月ほどかかりましたが、すべて終了しました。
そして補助任務者7人は、今まで使っていた宇宙船で母星へ帰っていきました。

神は、これからは地球に送られてくる犯罪者が、
非常に少なくなるのを予感しました。
今までの方法は、年老いてきた長老に、
こちらに送られてきた新しい者を、長老として、
送ればよかったのですが、もうそういうわけにはいきません。

今まで務めた長老に、余生を送らせることができたのですが、
方法を変えれば、それもできなくなります。
いろいろな方法を考えました。
それをコンピュータで、シュミレーションしてみました。
現時点で一番よい方法を考え悩んだあげくに決めました。


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