明日のことは過去のこと 第一巻 第一章(6)

次の日の朝、三人の女たちに長老は命令しました。
「お前たちはきょう、家を作るのは手伝わなくてよい!。」
「この村で一番の者たちに教えを請うのだ!。いいな!。」
「ハッ、ハアー!。」
この村で一番とは、よくいう名人のことです。

山芋ほりの名人。貝採りの名人。料理の名人。など
いろいろな方面で、村で一番といわれる者に、
女たち三人を教育してもらうのです。
そしてそのあいだは、妻二人と村の男二人を見張り役としてつけました。
その教育が終わるまでのあいだ、三人の女たちは長老の家で暮らすのでした。

日がだいぶ傾きかけた頃、徐々に男たちが戻ってきました。
期限の時が近づいてきました。
日が沈みかける頃、最後の男が戻ってきました。
「これで最後だな」長老は確認しました。
「ハッ、ハアー!」全員が言いました。

「これからこの女たちの夫を決める。いいな!」
「ハッ、ハアー!」全員が言いました。
早く戻ってきた者から順番に長老の前に獲物を持って行きました。
とってきた獲物はすべて長老のものになりますが、
村人たちにはその半分を分け与えました。

長老の妻たちがうまく村の家族ごとに振り分けています。
長老は女たちの名前をいろいろ考えたのですが決めました。
女たち三人とも人気にほとんど差がありませんでしたが、
一番人気だった女の名前は、「ハイ」にしました。
二番目の女は、「ナカ」にしました。
三番目の女は、「テイ」に決めました。

ナカとテイの夫はすぐに決まりました。
ハイの夫の候補は、甲乙つけるのが難しい獲物を獲ってきました。
ひとりは、猪で、もうひとりは、鹿で、もうひとりは、蝶です。
(蝶は間違いです。完璧に!!!)
(ちなみに3つ揃う(猪・鹿・蝶)と20文(点)です)
重さで決めることにしました。

太くて長い竹を使います。
竹の先にツルで作ったカゴをくくりつけてあります。
その中に獲物を入れて竹のしなり具合で量るのです。
4人の若者が「ヒッ、ヒッー」の掛け声で竹を上げました。
ちょうど釣竿がしなる感じです。

いちばんもとの太いところを、地面の硬いところに着け、
2本の竹を使い、角度を同じにします。
節と節のあいだに、同じ間隔でしるしをつけた、まっすぐな竹を、
しなっている一番高いところに持っていきます。
長老が見て大体ののところに、ツルでしるしをつけさせます。
もう一度見て確認します。
こんどは次の獲物を入れてさっき計ったのと比較します。
そして決まりました。猪を獲ってきた者です。

100日のあいだ女たちは、
今で言う花嫁修業を長老の家で、寝泊りしておこなったのです。
そのあいだ男たちは、いろんなものを取ってきて、
品物に適した方法で、日持ちする保存食料を作ったのでした。

冬に備えて家の寒さ対策もしました。
100日のあいだに花嫁を迎える準備をしたのでした。
秋も終わる頃に101日目の朝を迎えました。
きょうから一緒に暮らすのです。
夫となる人のために料理をして新居で一緒に食べるのです。

長老は男たちと、女たちを並べて言いました。
「きょうからお前たちは夫婦になる。」
「協力して、たくさんの子を産み、育てるのだ!いいな!」
「ハッ、ハアー!」みんな揃って答えました。
そして迎えに来ていた、夫たちに女たちを引き渡したのでした。
夫婦は、手を取り合って自分たちの家へ向かいました。

この村は海岸はあまり広くなく砂浜は広がっていましたが、
大きな岩や突き出た岬のようなものはありませんでしたので、
小さな貝や蟹しかとれませんでした。
その代わりに山は広く穏やかに広がっていたので獣などはたくさんいました。
ときどき長老どうし隣の村の長老のところに行き、物々交換をしたのです。

隣村ではぎゃくに、海岸は広く起伏にとんで、
大きな岩や岬もあり広い砂浜もあります。
なので大きな貝や蟹、海老、蛸などたくさんのものがとれました。
しかし山側はがけが多く急に切り立っているので、
大きい獣はあまりいませんでした。

そしてこの村の長老は珍しく、代々女の長老でした。
女中心の村を作っていました。
この村では仕事も、家事も、女たちがすべてを取り仕切っていました。

家族はありましたが男がひとりに女が10人以上の家族構成でした。
子供を産めるからだになった女は、全員毎朝、
女長老の作った秘伝の薬を飲まなければなりませんした。
それは女の子を作るための薬でした。

この薬を飲んでると、男の子は、
10年から20年に1度しか生まれなかったのです。
ですから、たまに生まれる男以外はすべて、
神が神殿にほうびとして置いていった、男でした。
女はみんな、長老の命令した男のところに、
妻としていかなければなりませんでした。
それがこの村の掟でした。


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