オープンリールの再生とメンテナンス
オープンリールの魅力 | |||||||||||
●テープをデッキの左のリール軸に入れる。右の軸に空リールを入れる。 リーダーテープをテープガイドローラー、キャプスタンの間をつたわせて空リールのエッジに挟み込む。 STARTボタンを押してゆっくりとリーダーテープが空リールに巻き込まれて数秒後、レベルメーターがいきなり右いっぱいまで振り切れる、しかし歪みは感じられない。バスドラやベースの重低音はウーファーのエッジを思い切り膨れ上がらせ、シンバルの響きはあくまで透明。。。 ●私も、そんな魅力にとりつかれ録音に熱中した一人です。サイト開設後、現在でも熱心なオープンテープファンがいっらしゃる事をとても嬉しく思いました。 ●オープンリールデッキの最大の魅力はマイクを使った生録音にあるのではないでしょうか?アマチュアが録音する場合、少々オーバー気味のレベル設定でも歪まない高いDレンジ。デジタル機器を始め他の録音デッキに比べやはり一日の長があります。現在でも放送用などプロユースにはコスト的にも安いため使われていることも納得できます。 ●生録はやらない方でもFMエアチェックなど長時間の録音ができるのも魅力でしょう。 |
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オープンリール・テープのメンテナンスと再生 | |||||||||||
オープンリールは他のアナログメディアとちがって、まともに再生する事ができるか否かがポイントになってきます。テープは持っていても再生するデッキが無かったり故障していると再生できない。磁性体は100年やそこらでは劣化しないがテープ自体や塗布材料の劣化で状態が悪くなっているものがあるはず。 『あるのはわかってるけど、いまさら面倒だなぁ』。。。そのとおり、でも今ためしてみないと一生聞けないかも・・・今が最後のチャンスだ(^^; |
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POINT | |||||||||||
■デッキが動かなければ、ダメモトで修理に出してみる ■デッキの購入情報はWebのオークションをマメにチェックする ■2トラックと4トラックでは互換性がない |
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発掘・動作可能性 難★→★★★★★易(星印が多い方が発掘が容易・動作可能性大)
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[発掘可能性] ★オープンはかなり凝った方なら、1980年代にDATにダビングして入れ替えた可能性がある。そうでなくてもカセットやMDに入れ替え実際の利用者は少数であろう。 処分していなければ発掘は容易であろうが正常作動の確率は非常に低い。親が利用していて倉庫などに眠っている場合はなおのこと作動は難しい。 ★オープンのテープだけ家にあるという方は結構多いのでは?7号テープならなんとか再生できる環境をもった方が身近にいる可能性はある。3号モノラル・2トラックテープの再生は望み薄か。。。 ※可能性は管理人の勝手な予想。最初から無い場合を除きます(^^; |
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再生機器の動作確認 | ||||
30年前のSONYの通称「ファミリーデッキ」。他のデッキは故障。最も安価で古いものが動いた. |
●テープはあるがデッキがない 店で買える物では無いので、友人知人に借りるしかない。職場の40代の同僚・上司がいればオーディオマニア(だった)がいると思うので聞いてみて借りる(買い取ると後でジャマになる(^^;)あとは中古リサイクルショップをマメにさがす。 わかりきった事ですが空のリールが1本必要になります。なければ1本分テープだけ捨てて空リールをつくる。 Yahoo!のオークションにも少数ながら出ています。「オープンデッキ」などの用語で検索してみましょう。 注:オークションでは動かないデッキを、とんでもない高値で出品している輩がいます。自分で使った事のない者にはオープンリールの価値はわかりません。セリ値を付けている機種と内容を十分チェックしてから購入を検討しましょう。ショモナイ物は値が付かないから判る筈。 ※どうしても聞きたいテープが数本残っているがデッキが無い、という場合は当サイトでデジタル化の有料サービスを行っています。保有本数と修理代、中古購入価格を見極めて方法を検討するのが良いでしょう。 |
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動力部分の故障ならまず内部を開けて調べる |
●デッキが壊れている 故障が電気回路か動力部かによるがそのメーカーのサービスセンターに問い合わせてみる。部品交換が必要な故障は望み薄だがメンテナンスだけで直る場合もあります。もう古いからとあきらめないで。 修理についての詳細は次へ |
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3.5インチのテープは2トラックのモノラルのものが多いので4トラックのデッキでは再生できない。左下はCD |
●トラックがちがっている 昭和30年代に発売されたポータブルデッキは2トラックのモノラルのものが主流でした。40年代のオーディオブームの頃に発売された多くのデッキは据え置き型で4トラックステレオタイプが殆どです。 この4トラックデッキでは再生すると片チャンネルの一部に音が聞こえ、もう方チャンネルから逆再生された音が聞こえてきます。これは2トラックのデッキが無いと正常な再生はできません。 自分で価値を見極めてあきらめきれなければ2トラックデッキをどうにかして手に入れるしかないという事になります。 サイズとトラックの詳細は次へ |
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再生前のメンテナンス | ||||
●再生機器 ・ヘッドとキャプスタンローラー、テープの走行ガイドローラーはクリーナーで汚れを取っておく。 ・デッキはモーター以外に駆動が非常に多い。長く使わないデッキではグリス(油)が固まって動かない場合がある。この時スプレー式のオイルを使用して管理人は却ってデッキにダメージを与えてしまった(^^;オイル注入も慎重に。 ・RLの出力バランスが悪い場合があるのでダビングやデジタル化の時はメーターを過信せずにヘッドフォンでモニターして確認する。 ●テープ テープにカビが発生していないかをチェック。カビは早送りで別のリールに巻き取れば大抵とれる。 箱(ボックス)に記入してあるタイトルと同じものがテープに入っているとは限らない事、内容が判別しづらいのがオープンの難点であり、整理としては最も手間を要する扱いづらいメディアです。再生してみないとわからない部分が多い。 |
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再生とチェック | ||||
●音質はどうか? 日頃CDを聞き慣れている耳には少し物足りないかも知れないがカセットよりは中低域も厚く良い音がするはず。ましてマイク録音でとったものなら驚くほど良い音が聞けるでしょう。もしこもったような音ならヘッドが汚れてないかチェックする。 『やっぱりオープンはいい音するよなぁ。中低域の厚み、高域の伸び!オレの録ったこのテープ、レコードはおろかCDよりいい音してるんじゃないか?』 波形測定するとピ−クレベルの変なところに山や谷があったりして。。。(-_-;) ●スピード確認 大抵の場合スピードが若干遅くなっている方が多い。市販されていたミュージックテープ(レコーデットテープ)があれば同じ内容のCDを同時に再生して比較する。明らかに遅いようであれば修理に出してみる。ライブ演奏などではスタジオ録音とテンポが異なる事がほとんどなので違和感がなければ良しとすべきでしょう。 ●うまく再生できたら貴重なオープンテープは真っ先にデジタル化を検討してみましょう(^o^) 左写真のようなミュージックテープがあれば最初に「ピー」という信号が入っているのでレベル確認もできます。上記はBEATLESの7号市販テープ。レコーデットテープは1970年代後半からは生産は激減し80年代に消滅。。。 |
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テープのトラブル | ||||
3Mの「Scotch」202 ●テープがワカメ状によれよれになっている 厚手のテープに多い。再生すると、ひどい場合は音揺れがして音程が変わってしまう。 バックテンションの強いデッキで再生する方が音揺れは少ない。何度か再生速度でピッチリと巻き直してみるのも手。 ●リーダーテープが切れる 磁気テープ部分の頭から録音がいきなり始まっていない限り気にしない。大抵5秒程度余裕をもたせて録音されているはず。 ●途中でテープが切れる 本来はちゃんとしたスプライシング・テープが必要ですが、これも今では入手困難なためデジタル化する予定ならセロテープでも一時しのぎになります。 ※3Mの透明メンディングテープが良い。昔3Mは「Scotch」ブランドでオープンリールのスタンダードでした。左は10号サイズで秋葉原で買った放送曲の放出品。 ●テープ鳴きがする バックコート加工したテープ(SONYのSLH)などで多かった。走行系のガイド(テープに接触する部分)を入念にクリーニングする。巻き戻ししたり、ハブの径が異なるリールに巻替える。 |
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