捨石
サバキと死活の捨石

20型  黒先  解説

白△のツケは置き碁でしばしば出てくる形です。黒abとすれば無難は無難ですが隅を荒らされます。黒はどう応ずるところでしょうか。



21型  黒先  解説

いま、白1とツケ、黒2とオサエられたところです。白はこの二子をどうサバキますか。
22型  黒先  解説

隅の黒七子を生きるには、白を取るよりほかはありません。それには黒▲一子が重要な役目をしそうですが、どう打ちますか。手順が大切です。



23型  黒先  解説

置き碁でよく出来る形です。白1の置きは下手いじめの手として知らされていますが、黒はこれにどう対処すればいいでしょうか。





















20−1図  思惑通り

黒1と直接遮断をするのはまずい。白2とノビられたら黒3のツギが省けず、白4とワタられます。隅を荒されたうえ、ハダカで逃げ出すようでは、このあとの戦いが思いやられます。
20−2図  手遅れ

前図のように打ってから、黒1と切ってももはや手遅れです。白2から4と打たれてaのキリを解消されます。黒bには白cととノビて黒が逆に取られてしまいます。
20−3図  不十分

黒1と単に下がるのは、1図よりはいくぶんまさりますがやはり黒不十分です。白2のワタリのあと、黒3と切っても白4から6と白△一子を捨てられます。これではまだ工夫が足りません。
20−4図  正解

正解は第一着黒1のキリです。つまり、黒aと遮断をする前にここを切って、白の出方を見ます。


20−5図  二子取り

これに対して白がなおも2とワタるなら、黒3とサガって白△二子を取り込みます。
20−6図  捨石

黒1のキリに、白が2とアテてきたらむろん黒3とノビます。白4のオサエは省けません。
20−7図  一子取り込み

続いて黒5とサガるのが重要な手順です。白6が絶対ですから、黒7と遮断してこちらの一子を取ることができます。

20−8図

黒1に対する白の最強の抵抗は、白2のアテです。これには黒も3ともう一つノビて白4と交換し、その後に黒5のサガリを打ちます。白aなら黒bで、これは問題がありません。
20-9図

前図のあと白6から8とワタったら・・・






20-10図  捨石の効果  問題へ

こんどこそ黒9のキリが成立します。すなわち、白aなら黒bcdで右の二子が取れるし、白がbとツグなら黒aとノビて左の二子を取り込みます。これが黒▲の捨石の効果です。この二子取りが黒の根拠に関するから大きいわけで、あとが思い切ってうてるというものです。
21−1図  俗手

白1から7と打つ人は、捨石作戦を知らない人です。しかも、こう打つ人に限って逃げ出し、成功と喜んでいる人が多い。しかしこうなって喜ぶのは黒のほうです。隅の黒地は確定し、そのうえ黒8とあおって白を攻める楽しみがあるからです。
21−2図  正着

少なくとも有段者、またはそれに近い人なら、白1と二段にハネるはずです。2から4となって先手生きです。これなら白悪くありません。


21−3図

白△のハネに、黒1とアテたらむろん白2とツギます。黒3のオサエには・・・
21−4図  白有利

白4と切って黒5と交換し、6,7と打って白は先手で生きます。白△を捨てて黒▲を取るフリカワリは明らかに白有利です。
21−5図

黒1とこちらからアタリをかけるのは、黒として強い抵抗ですが、これこそ白の望むところです。白△二子に物を言わせるのはこのときです。白2、黒3は共に絶対です。
21−6図

白はまず4と切って黒5のツギと交換します。続いて白6とアタリをかければ、黒は7と逃げるにちがいありません。
21−7図  フリカワリ

待ち構えていた白は8と正面に立ちふさがって黒をアタリにします。黒9から11が絶対で、白12と曲がって黒▲二子を取り込みます。黒▲二子と白△との交換なら、白有利なフリカワリです。
21−8図  22型へ

黒1の二段オサエも、ときとして厳しいのですが、ここでは適切を欠きます。すなわち白2から8と押し出せば、黒は黒▲二子の処置に困ることになり、白有利に展開します。
22−1図  無策

黒1と伸びだして見ます。このとき、白が4と受けてくれるなら事は簡単ですが、白2と飛ばれるとうまくいきません。黒3白4となったあと・・・
22−2図  黒負け

黒5と置いてみても、白6から8と打たれて黒負けです。
22−3図

次は黒1の置き、白aなら黒bとノビだして白△二子のウッテガエシがねらえるし、白cなら黒bで白△がアタリになります。
22−4図

しかし、白2とポン抜かれた場合が問題です。白がaのほうからアタリをかけるなら、黒bとツイで勝ちですが・・・
22−5図  黒負け

白は4のほうからアタリをかけてきます。そうすれば、黒5から白6とツガれて三手と二手です。黒の負けに変わりはありません。
22−6図  黒3悪手

もう一つの手段は黒1のキリです。この手は確かに急所ですが、白2に対して黒3と打っては苦心も水の泡です。
22−7図  重要ポイント

しかし、以上の図から、*じるしの三か所が重要なポイントであることが明らかになりました。あとはその三点の順序を適宜変えればよいのです。
22−8図  正解

正解は、黒1と切って3とハネる手です。これで必ず手になります。


22−9図  攻め合い勝ち 白6▲にツグ

その後白が4と打って一子をポン抜いたら黒は5とアテます。白6▲にツギ、黒7のツギとなって白は三手黒は四手、攻め合い黒勝ちです。


22−10図  手順の妙  23型へ

黒1とハネたとき、白が2のほうの一子をポン抜いたら、黒はそのまま3とツギます。三手と二手で、白△三子が取れることはいうまでもありません。この形の急所三点のうち、一つでもその順序を入れ替えたら不成功に終わります。手順の妙です。
23−1図  悪手

もっともまずいのは黒1のツギです。白2、4とワタられて眼なしとなり、生きるのに一苦労しなければなりません。
23−2図  正着

ここは黒1とコスミツケて打つところです。白2のキリが絶対となりますから、そこで黒3とサガります。3をaのほうにサガってはいけません。
23−3図

白4から黒7まで一本道です。ほかに手段はありません。白がさらにaと押してくるなら、黒はもちろんbと伸びます。
23−4図  捨ててフリカワる

前図のように打っておけば、白は8とツグよりほかはありません。この場合の黒▲はいわばトカゲのシッポ切りでさっさと捨て黒9とハネ、安全圏に逃げ込みます。
23−5図  注意

ただし、前図白8の手で、本図白1と打つハメ手には注意が必要です。うっかり黒2と切ると、白3から5でシチョウです。
23−6図  正しい

白1に対しては、黒2と曲がるのが正しい応手です。白が3とノビるなら、こんどこそ黒4と切り肝心の白△三子を取り込みます。
23−7図  白2悪手

黒1と曲がった時、白が2とツグならそれこそもっけの幸いです。黒3白4のあと・・・
23−8図  トラレ

黒は一子を捨石にして、黒5から7と打てば白はトラレてしまいます。
23−9図  黒1は誤り

もう一度23−2図の形にもどってみます。黒1とこちらにサガるのがなぜいけないのか。理由は黒1とサガれば白2で隅の二子が取られてしまうからです。図の手順で白は生きてしまいます。必然的に黒にははっきりした眼がなく、かなりのいじめを覚悟しなければなりません。



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