3.設計

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■スライド設計の作業順序
 発表資材を発表ソフトウエアで設計・作成する順序を次に示す.

 発表道具と発表資材の流れを次に示す.
 1)発表ソフトウエアで作成したスライドをコンピュータで実行して映写する.
 2)スライド原稿を透明シートへ印刷して,オーバヘッドプロジェクタで映写する.
3.1 スライドの設計を準備する

(1)発表ソフトウエアを起動する.
(2)造形の雛型を選ぶ.
 背景は無地で地味なものが無難である.派手な背景や明確な模様は目立ち過ぎて,内容が見にくくなる.

(3)造形標準を作る

 発表ソフトウエアの雛型を加工して,スライドの間の共通の造形標準(スライドマスタ)を作る.

 

3.2 粗筋を設計する

(1)粗筋のスライド1:表題スライド
 スライド作成状態にする.粗筋枠やスライド枠で文字を入力する.
  次のように表題,氏名,所属を入力する.
  ・ノバト高校のコンピュータ導入 (表題)
    レベル下げ(右矢印)をする.
  ・氏名を入力する.
  ・所属を入力する.
 所属の「株式会社」や「財団法人」などは省略するのが普通である.

(2)粗筋のスライド2:概要スライド

 スライド2は論文の序章に相当する.
 スライドが変わるのでレベル上げ(左矢印)をする.
 次のように入力する.
  ・題目を「概要」にする.
  ・レベル下げ(右矢印)をして話題1を「分野と先端技術」にする.
  ・話題2を「結論と効果」にする.

 
(3)粗筋のスライド3:対等な列挙
 分析結果からスライド3として「理科室」を取り上げる.
 理科室の話題群は空間上の要素であり,一次元の順序関係が特にない.任意の順に並べることを対等の列挙と言う.
 レベル下げをして,話題として「生徒用ロッカー」「教室の壁際」「窓」「OHP」(オーバヘッドプロジェクタ),「そのほかの映写機器」を挙げる.
(4)粗筋のスライド4:昇順の列挙
 スライド4として「演習室」という分類を取り上げる.
 この分類の話題群は初歩的科目から上級科目へという順序に並べる.この列挙の仕方を昇順の列挙と言う.
 話題として「ワードプロセッサで履歴書」「スプレッドシートで簿記」「DTP(デスクトップ出版)で新聞作り」「描画ソフトウエアで広告作り」「CAD(コンピュータ支援設計)「CADで建築・機械設計」を挙げる.
(5)粗筋のスライド5:時間順の列挙
 スライド5として「各科目の関係」という分類を取り上げる.
 この分類は話題は科目間で連携している作業の順にする.これを時間順の列挙と言う.
 話題として「演習室でタッチタイピング」「英語科目で作文技法教育」「各科目がレポート宿題」「図書室で調べ物」「演習室でレポート作文」を挙げる.
(6)粗筋のスライド6:同じ性質の話題の繰り返し
 分析結果を眺めてスライド6として「コンピュータ台数や予算」という分類を取り上げる.
 標題を「予算とコンピュータ台数」にする.
 この分類の話題群はここ数年間の毎年の予算額やコンピュータ台数である.値は違っても同じ性質の話題の繰り返しである.そこで設計段階では何も書かないことにする.

3.3 媒体の選択
(1)媒体の種類と原則
 媒体(メディア)には,実物,表,図,写真,動画,音などがある.
 媒体を扱うのには次の原則を適用する.

媒体は話題などの細かい単位ごとに適材適所で選ぶ.
媒体は話題や話題群の性質に合うものを選ぶ.話題が主役なのである.
したがって媒体の選択はできるだけ後回しにする.設計が進んだ後に選ぶ.
媒体は複数の種類を混合する.複数の話題ごとに選ぶので結果的にそうなる.
原則として 箇条書き.発表資材の標準である. 
物品そのもの 実物・模型
話題の集合  表.二次元の表を含む. 
形状・関係・数量 図.略図,絵,グラフなどがある.
運搬困難な物品や風景 写真 
動きが重要 動画.撮影動画と人工のアニメーション.
聴くことが効果的 音.人間の音声,音楽,人工音がある. 

(2)実物・模型を選択
 実物や模型を見せるかどうかを決める.
 「各科目の関係」のノート枠の中に[英作文の教科書を見せる]とト書きを入れる.ト書きとはシナリオの中のセリフ以外の指示である.

 野外寸劇(テキサス州フォートワース市)

 

(3)図を選択
 「理科室」のスライドは全体を一つの図にする.
 スライドの先頭に[理科室全体の平面図]とト書きを入れる.
 このスライドは三次元の図にしてもよい.

(4)写真を選択
 「演習室」のスライドには写真を入れよう.スライドの中に[生徒作品の展示の写真]とト書きを入れる.
(5)動画を選択
 「各科目の関係」は複数の見学場所の話題が混在している.珍しいと思ったのはタッチタイピング演習よりも図書室で調べ物をしている生徒たちだったので,その動画を入れることにする.文献検索の写真も入れることにする.「[図書室の調べ物の動画]→[文献検索の写真]」と矢印で結んだト書きにする.
(6)グラフを選択
 「予算とコンピュータ台数」は数年間の予算やコンピュータ台数の一覧なので,全体を一つのグラフで表すのがよい.[グラフ]とト書きを入れる.
(7)ウエブページを選択
 視察したノバト高校のウエブページを閲覧できるようにしておく.発表時間が余ったり,質問があったりする時の備えである.「おわり」というスライドを追加して,[ウエブページ]というト書きを入れる.
3.4 スライド一覧の見直し

(1)スライド一覧を表示する
 スライド一覧を表示する.

 スライド一覧によって次のことを評価して,必要なら改善する.

制限時間に合うスライド数や話題数か.

重要な話題が漏れていないか.重要でない話題を削除するか.

前置きや経過報告が長くないか.成果の報告になっているか.

話題の分類や量的な配分はよいか.話題を移したらどうか.

スライドの順序は適切か.

(2)スライドを移動する
 ここではスライドの順序の原案を見直す.発表の順序は重点先行,全体像先行の方がよい.時間順序や原因から結果へという順序は短時間の発表には向かない.次のような順序に変更する.

スライド3「理科室」 成果の2番目の山場で地味である. スライド5にする
スライド4「演習室」 派手だが日本でも珍しくない. スライド6にする
スライド5「各科目の関係」  視察報告の成果の山場である. スライド3にする
スライド6「予算とコンピュータ台数」 全体像なので前の方がよい. スライド4にする

君島浩のISD研究室.2001.1.16, 2002.1.12.[ 戻る ] [ ホーム ] [ 上へ ] [ 進む ]