4.3 教育委員会の組織の事例:東京都

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東京都教育委員会組織条例

東京都教育委員会は、六人の委員をもって組織する。

 

東京都教育庁設置規則

東京都教育委員会事務局は、東京都教育庁と称し、東京都新宿区西新宿二丁目八番一号に、これを設置する。

用語には広義と狭義があってよいのだが、とりあえず東京都の場合は、教育委員会は東京都教育庁の内部の位置づけではない。これはほかの道府県と異なる。何か理由があるのだろうか。

東京都教育庁処務規則

目的第一条 この規則は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第十八条第二項の規定に基づき、東京都教育庁以下「教育庁」という。の組織その他に関し規定することを目的とする。

各部、課等の分掌事務第五条 教育庁各部、課等の分掌事務は、次のとおりとする。

総務部

教育政策課

一 教育行政の基本的な政策の策定に関すること。

二 重要施策の総合調整に関すること。

六 教育庁及び教育機関学校を除く。の組織及び定数に関すること。

総務課

二 教育庁及び教育機関学校を除く。に勤務する職員の任免、給与その他人事及び福祉に関すること。

三 学校に勤務する事務職員等の任免、給与の決定その他人事に関すること。

十四 区市町村教育委員会との連絡に関すること。

契約管財課

三 教育財産の取得、管理及び処分についての連絡調整に関すること。

法務監察課

三 訴訟及び和解に関すること。

五 係争のおそれのある事件についての法律的意見に関すること。

「規定することを目的とする」というのは文としておかしい。法務省や国会事務局などが立法手引書や法規類作文手引書を発行して欲しい。

教育委員会の定める規則の起案と実施監督の取りまとめは、主に総務部教育政策課の分掌だと推測されるが、実態はどうか。

教職員の懲戒処分の案件は、教育委員会が法務監察課の見解を聴いているのであろうか。そうでないように見える。

東京都教育庁処務規則

 

都立学校教育部

高等学校教育課

三 都立学校の学校経営に関する指導及び調整に関すること。

五 高等学校等の教具その他の設備の整備充実に関すること。

六 高等学校の通学区域に関すること。

十四 東京都学校経営支援センターに関すること。

学校健康推進課

二 都立学校における学校保健の総合的な計画、指導及び実施に関すること。

地域教育支援部

義務教育課

一 区市町村立の小学校、中学校及び幼稚園の設置並びに廃止に関すること。

指導部

管理課

一 指導事務の総合管理に関すること。

二 教科用図書の採択及び教材の取扱いに関すること。

三 東京都教職員研修センター及び東京都教育相談センターに関すること。

指導企画課

一 教育指導の企画及び調整に関すること。

六 教育方針に関すること。

七 教育職員の研修の実施方針に関すること。

義務教育特別支援教育指導課

一 小学校等の教育課程に関すること。

三 小学校等の教育内容の指導に関すること。

七 教育評価に関すること。

高等学校教育指導課

一 高等学校等の教育課程に関すること。

二 高等学校等の教育内容の指導に関すること。

人事部

人事計画課

一 学校に勤務する職員の定数管理に関する調査及び企画に関すること。

二 学校に勤務する職員の毎年度の定数に関すること。

選考課

一 教育職員の免許に関すること。

二 教育職員等の選考に関すること。

試験課

一 試験問題の作成及び研究調査に関すること。

二 試験の結果の分析及びその有効性の判定に関すること。

職員課

一 教育職員等の任免その他の人事に関すること。

福利厚生課

二 学校に勤務する職員の公務災害補償に関すること。

九 学校に勤務する職員の健康管理及び健康相談に関すること。

教育方針・教育課程を扱う課が三つ存在するが、教育課程規準といえそうなものは、例規集には存在しない。

教育内容の指導を扱う課が存在するが、指導要領規準といえそうなものは、例規集には存在しない。指導要領事例のような資料はあるが、規準とはいえない。

指導要領規準は米国では市町村教育局向きである。

東京都教職員研修センター及び教育職員の研修の実施方針を扱う課は存在するが、教職員研修規則といえそうなものは、例規集には存在しない。  

東京都教職員研修センターは管理課が担当しており、施設や人員については管理できても、教職員教育課程や指導要領については管理していないと思われる。  

地方公務員法が迷走の出発点であるが、学校の教育課程規準や教職員の教育課程規準が統治の中核であるという認識が存在しないのである。  

教育委員会へ実施報告書を取りまとめて報告するという業務が希薄である。  

教職員のストレスによるウツ症状の問題は、労働災害系の案件としては処置されると思われるが、アスペルガー症などを含めた雇用安定・人事配置などの案件として対処できそうな部課は存在しないのではないか。

教員は製造業などにくらべてストレスが少なく、ウツ症状などの発生率が少ない。ゆとり教育とともにウツ症状が増えているのは、ゆとり教育の問題ではない。指導要領規準のない授業や産学連携などの慣れない雑用がゆとり教育の結果として増えているのが問題である。詰め込み教育時代並みに、教育課程規準、指導要領規準を整備し、不要不急の制度を削減することが根本対策である。

東京都教育委員会監察事務規程

目的第一条 この規程は、教育庁、教育事務所、教育庁出張所及び都立学校その他の教育機関の所掌に係る事務事業及び職員の職務遂行の状況の監察事務について必要な事項を規定することにより、業務の適正かつ能率的な運営を確保するとともに、職員の非行及び事故を未然に防止し、綱紀の厳正を保持することを目的とする。

業務監察第三条 業務監察は、次の事項について行う。

一 予算及び経理事務の執行状況に関すること。

三 土地、建物その他の施設、設備、物品等の整備及び管理の状況並びにこれらの効率的な使用状況に関すること。

四 補助金等にかかる予算の執行状況に関すること。

五 委託を受けた経理事務等の執行状況に関すること。  

現状の監察対象はカネ・モノが中心であり、教育委員会専用の規程である必然性が感じられない。すべてを監察対象にする規程でよいのではないか。

規則類、教育課程、指導要領、成績報告書などの教育業務特有のことを対象にしなくてよいのか。

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