経営責任の第一は規則を定めることである。現状では教育課程、学習指導、職員研修、教員免許という最も大切なことの教育委員会規則がなく、議案にも登場しない。この提案は現状を文書にまとめることであり、作業を大きく変えることではない。穏健な改善である。
■提案2−1 県教育委員会が教育課程標準を制定し、毎年議案として取り上げる。
教育課程とは多義語であるが、ここでは科目編成である。当面は県立高校に限ってもよい。現状の科目編成で構わないから、教育委員会規則の形で、普通高校、職業高校などの教育課程の種類、主な科目編成、それぞれの標準時間数を文書にする。高校特有の部分があると思われるので、それは教育課程標準から除外して校長の自由裁量の部分と認める。当初は文部科学省の教育課程標準と似たものになるが、それで構わない。県教育委員会規則として持つことが、将来の地方自治への準備になるのである。
■提案2−2 市教育委員会が標準指導要領を制定し、毎年議案として取り上げる。
当面は市立の多い小学校・中学校に限って構わない。また、文部科学省の標準指導要領を原則として、市独自の標準の部分を定めるだけでもよい。これは文部科学省から下ってくるものではなく、学校の教員が執行している実態に則して補正するものである。当初は自主性の乏しいものになるかも知れないが、教育委員会規則の形にすることで、将来の地方自治の準備をするのである。
■提案2−3 県教育委員会が教職員研修規則を制定し、毎年議案として取り上げる。
教職員研修の規定は、教職員研修センターが発行する受講案内書の中に埋もれていることが多い。それは経営論的に間違いであり、教育委員会規則にすべきである。問題は教職員研修規則の内容であるが、最も重要なのは教職員教育課程の定義である。5年経験者研修などの教育課程の区分、それぞれの教育課程の主な科目編成、それぞれの標準時数を文書にする。また、指導要領の作成、教材の作成又は取得、科目実施、評価報告書作成などの作業責任者(研修センターの所長、課長、講師など)を条文として記載する。このようにして、教職員研修の責任者を研修センターではなく教育委員会とするのである。
■提案2−4 県教育委員会が教員免許規則を制定し、毎年議案として取り上げる。
教員免許に関することを教育委員会規則として制定する。当初は現状容認の基本的な事項だけでよい。将来的には教育学部カリキュラムの現代化に働きかける根拠にする。