明石海人顕彰事業
生誕百年を記念し建立された歌碑
この歌碑建立は、沼津牧水会の呼びかけで出来た「明石海人を偲ぶ会」が行った「明石海人文学展」(H.4年)のときに一度計画されましたが、時期的に建立されるまでに至らず、5年後の沼商同窓会百周年事業の一環の「明石海人顕彰」事業から再出発し沼津牧水会の協力も得て、
海人生誕百年にもあたることから歌碑建立を計画し、今までに明石海人に取り組まれた方々と共に「明石海人顕彰委員会」が発足し、ハンセン病の患者であった海人の歌碑建立は、大きな反響を呼び、沼商OBは勿論、全国各地から、海人への篤い思いから、建設資金が寄せられ、平成13年7月5日(7/5は海人の誕生日)に悲願の歌碑建立が行われました。
歌碑は2ヵ所、明石海人が子供の頃遊んだ、沼津千本公園内と、母校である、県立沼津商業高等学校内に建立されました。
■歌碑建立の場所
◆千本公園内の歌碑
 その敷地は海人終焉の
 地長島愛生園を形どって
 います
◆沼津商業高校内の歌碑
  原石の御影石は
  沼商も千本浜も長島
  の地から運ばれました
◆『白描』序文の歌碑碑
  千本公園内の歌碑

   「白描」序文
◆千本公園内の歌碑
   「白描」序文
     (英訳)

■歌碑に刻まれた歌 この歌碑には歌集「白描」より、ふるさとに関した2首を含め四首が選ばれました
千本公園
さくら花かつ散る今日の夕ぐれを幾世の底より鐘のなりくる
この歌で鐘は長島愛生園の「恵の鐘」と名称された梵鐘です。
鐘楼堂のある光が丘は、海人が視幻聴追跡妄想状態から回復し、やがて締念の境地を迎えた愛生園の中心に位置する小高い丘です。海人はこの丘で、大自然の偉大さと運命に抗う無益を悟ったと言われています。海人には、ひたすら桜の美しさだけが甦り、孤独な詩人の魂を慰めるひとときを感じさせます。
ゆくりなく映画にみればふるさとの海に十年のうつろいは
海人の当時の過酷な療養生活の中での偶然にみた映画に沼津の千本浜が移っていたので、古里を思い歌った歌。海人の望郷感を思いやると切なく悲しい思いが込み上げてきますが、この歌が、子供のころに兄弟や友と遊び泳いだ、この千本浜に建てられ、海人の心が故郷に帰った来たように感じられます。
シルレア紀の地層は沓(とほ)きそのかみを海の蠍(さそり)の我もすみけむ
この歌も、日本のどの湾より深い駿河湾が連想され、また「深海に生きる魚族のように」の白描序文の言葉もあり、また駿河湾は深海性の魚類の豊富なことで知られています。そのことから海人が故郷を思った歌として選ばれました。絶滅した海生動物である海蠍。海人の魂はこの海蠍の魂となって、駿河湾の見えるこの地に永遠に眠るように感じます。

沼津商業高校
わが指の頂きにきて金花蟲(たまむし)のけはひはやがて羽根ひらきたり
ハンセン病の後遺症に手足の変形や知覚障害があり、また全視力を失った海人が豊な感性と想像力で飛びたとうする心の躍動を表現しています。この歌碑が母校に建てられたのも、後輩にどんな境遇でも、前向きに飛翔してほしいと語りかけているような感じがします。
この4首のもう少し詳しい歌意(次のページ)はこちらからどうぞ・・・
千本公園の歌碑

◆沼津商業高校 校内短歌コンクール
明石海人先輩の歌碑が建立され、沼津商業では「校内短歌コンクール」が開かれ「明石海人賞」が設けられ、第一回「明石海人賞 最優秀賞」には二年 原美幸さんのさざなみに負けじとカニの仁王立ち砂に埋もれどまたはひ出たりの歌が選ばれました。この歌は海人歌碑の横に紹介されています。
沼津商業高校
百周年記念の
生徒の短歌コンクール
最優秀賞の短歌歌碑の横に

歌集『白描』の復刻
海人が亡くなった昭和14年に発行された歌集『白描』、この歌集は25万部のペストセラーとなりましたが、すぐに始まった戦争のため、歴史に埋もれてしまいました。歌碑建立と同時に顕彰会では「明石海人生誕百年歌碑建立記念」として歌集『白描』の復刻をし、歌碑建立の寄付を頂いた方に、記念として贈られました。
沼商の百年史の中に、”ハンセン病だったがゆえに、家族をいわれなき偏見と差別に家族を巻き込まないため、本名はおろか出生も秘密とされた。昭和63年に静岡の女性史研究家、市原正恵氏が、季刊誌「静岡の文化・秋号」で海人の本名・出生地・出身校を公表したのが最初だった”と、あります。この地元の偉大な詩人をより多くの人に紹介するために、若山牧水会と沼商同窓会百周年事業から出発した、この[明石海人顕彰会]の活動を紹介します。
◆歌集『白描』について
この復刻版については、よくお問合せがございますが非売品で販売はしておりません。在庫はまだあるかもしれません。顕彰会が扱っております。この「明石海人生誕百年歌碑建立記念・明石海人歌集」『白描』についてのお問い合わせは・・
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