妙なこと 第十八話 (15)

修二は駅に着き駐輪場に自転車を置くと、
いつもの待ち合わせ場所に行き、
「かなりゆっくり来たんだけどー!?」
「20分も前に着いちゃったよー!?」
と時計を見てつい言ったのです。
それからしばらく待っていると、
健介と健介の父の良介の石田親子が現れたのでした。

「健介おはよう!」
「おじさん、おはようございま−す!」
と修二が言うと、
石田親子が、
「おはよう!」「おはよう!」
と言ったのでした。

それから三人はいつもの駅から電車に乗り、
新宿駅に出ると、中央線に乗り換え、
東京駅に着いたのです。

「少し早く着いちゃったなあー!??」
「新幹線の出発時間まで、30分以上あるから!?」
「久しぶりに駅構内でも少し散策するかあー!??」
と良介が言ったのです。
それから三人は、出発まで時間つぶしをしたのでした。
そして、東京駅9時3分発の新幹線に乗り込んだのです。

新幹線を三島駅で降り、
10分ほど待って、そこから普通電車に乗り換え、
三人は沼津駅で降りたのでした。
ホームを降りた所にすぐ階段があったのです。
居合わせたおばさんに、南口の方角を訊くと、
「階段上がって左!」
と言ったのでした。

三人はおばさんの少し前を歩いて行き、
階段を上がり左に曲がり、まっすぐ行くと自動改札口が二つあったのです。
しかしほとんどの人がまっすぐ行かずに、
左に曲がり階段を下りて行ったのでした。

三人はまっすぐ行き、自動改札口で順番を待っていると、
「あんたたちー!」
「階段を下りて行ったほうがいいよ−!?」
とさっきのおばさんが後(うしろ)から言ったのです。

「えっ??」
と言って良介が振り向くと、
すぐ後ろに並んでいる人が、
「おたくの番ですよ−!?」
と言ったので良介はあわてて、切符を自動改札口へ入れたのです。
そして通り抜けようとしたら、扉が寸前で閉まったのでした。

近くのインターホーンから、
「どうしましたー!??」
という声がしたので良介は、
「切符入れたんですけどー!?」
「ドアが閉まちゃったんですー!??」
と言うと駅員が、
「すぐに行きますのでしばらくお待ちください!」と言ったのです。

階段を下りながらさっきのおばさんが、
「だから言ったのにー!!」
と言いながら、
不敵な笑いを浮かべ階段を降りて行ったのでした。

入り口は二つあるのですが、
同じ作動になっているのかよくわかりませんが、
2つの入り口ともほぼ同時に扉が閉まったのです。

じきに駅員が来て機械を開け、扉を直し、
良介が入れた切符を確認すると、
そのままそこで駅員が、
並んでいる人たちの切符を手で直接回収し始めたのでした。

なんとか駅を出ることができた三人は、
駅からまっすぐに横断歩道を渡ったのです。
「西武(デパート)の前あたりのバス停から!?」
「港行きのバスが出ているからって!!?」
と良介は言うと、
バス停の行き先の標識を確認すると、その時刻表を見たのでした。

少し待っていると沼津港行きのバスが来たので、
三人はそれに乗り、港まで行ったのでした。
沼津港観光案内所で予約してあったレンタサイクルを、
良介は免許証を提示し、
修二と健介は学生証を提示し借りたのでした。

沼津港からレンタサイクルで、
良介が短歌の会の月例会で発表する、
目的の若山牧水記念館へと行ったのです。
良介が持っていったビデオカメラとデジカメを使い、
そこを撮影し終わると、
三人は次に記念歌碑がある、
千本浜入り口付近まで自転車を走らせたのでした。

「記念歌碑を撮ったら!?」
「お父さんは少し散歩してみるけど!!?」
と言ったあと時計を見ながら、
「まだ自転車返すまでだいぶ時間があるけどなあー!?」
「その間ふたりはどうするんだあー!??」
と良介が言ったのです。すると、
「久しぶりの海だから!?」
「ふたりで水切りでもしようと相談したんだあー!?」
「30分したらここの場所に戻って来るよー!!?」
と健介が言ったのでした。

それからふたりは自転車で少し走るとじきに、
海水浴場の堤防の入り口の石段のところに着いたのです。
修二はすぐに自転車を降り、
石段を駆け上がって行ったのです。

「いっぱい石があるなあー!?」
「思っていたより波も静かだぞー!!?」
「これなら何百回も水切りできるなあー!?」
と言って振り向くと、
健介が一生懸命自転車を抱えて、
石段を一段ずつ上がってきていたのです。

「どうする気だあー!??」
と修二が言うと、
「こんなとこに置いてたら盗まれちゃうよー!?」
「近くまで持って行かなきゃー!?」
と健介が顔を真っ赤にして、汗を出しながら言ったのでした。

修二も同じように自転車を抱え、
ふたりは海側の階段の下まで自転車を持って来たのでした。
そして2台をチェーン錠で縛ったのです。

「よーしこれで”OK”!」
と言ってふたりは顔を見合わせると、
「よーいドン!!」と言って、
波打ち際まで走って行ったのでした。

修二は走りながら、
「確か!」
「これと同じような夢を最近見たよなあー!??」
と思ったのでした。とさっ!

これで、お。し。ま。い。

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