携帯によろしく 第三章 (2)

一平はいつものように記入して、警備員に手渡したのです。
警備員はいつものようにそれに目を通し、
「未記入のところはありませんね!」
「お疲れ様でした!」
そう言うと、ニコッと笑い敬礼をしたのでした。
一平もニコッと笑い敬礼をすると、
「俺たちが最後?!」と訊くと、
「はい!」と、うれしそうに警備員は答えたのでした。

「せんぱあーい!飲み過ぎないでくださいよおー!?」
と、大きな声で、歩いていく先輩の後姿に、言ったのです。
先輩は、振り向かずに大きく手を振ったのです。
一平は、先輩が歩いていく方向とは、
90度違う方向に歩いて行き、駅を目指したのです。
電車に乗り、高田馬場の駅に降りました。
駅近くのコンビニで朝食用の買い物をしたのです。
育子に言われたように朝は、食べるようにしたのでした。

コンビニの袋を片手に、そしてかばんを片手に持ち、
いつもの道をマンションめざして、歩きました。
残業が続いたせいか、足取りが少し重く感じたのでした。
いつもなら、階段を運動のためにのぼっていくのですが、
きょうはさすがに疲れたので、
エレベーターに乗って自分の部屋まで行ったのです。

いつもの小銭入れから鍵を取り出すと、ドアを開け、
入るとすぐロックをしたのです。
コンビニで買ったものを袋のままテーブルの上に置くと、
椅子に座ったのでした。
「きょうは、本当に疲れたなあー!?」
「久しぶりだなあー!?こんなに疲れたのは!」
そう独り言を言うと、すぐにベッドの部屋に行き、
そのまますぐに寝てしまったのでした。

翌朝目覚ましで起こされたのです。
「ああーいつの間にか寝てしまった!!」
と言って、大あくびをしたのでした。
「サンドイッチが買ってあったなー!?」
そう言うと、コンビニの袋から取り出し、冷蔵庫からウーロン茶を出し、
流し込んだのでした。
サンドイッチを食べ、ウーロン茶を飲み、その繰り返しで、
朝食を済ませました。

コンビニで買ってきた物をとりあえず冷蔵庫に入れたのです。
急いでシャワーを浴び、下着を取替え、
歯を磨き、ワイシャツとネクタイを替えたのでした。
髪型をを整えスーツを替え、ノートパソコンの入ったカバンを持ち、
急いで玄関を出ると、鍵を閉め足早にいつものとおりに、
階段を使って下まで降りたのでした。

一平は時計を見て、
「えー!?いつもより5分早いぞ!!」
そう言うと、ニコッとしたのでした。
いつものように少し足早に歩いたのでした。
駅に着くと、かなり空いていたのです。
電車も土曜日のせいか少し空いているようでした。
電車を降り会社に着くと、先輩がもう来ていました。
「おはようございます!」そう一平が言うと、
「おはよう!」
「なんだあ?!そのけげんそうな目は??!」
と、うれしそうに言ったのです。

「先輩!きのうホテルにでも泊まったんですか?!」
と、一平が訊くと、
「ピンポーン!」
「きのうと同じ服じゃあ!バレバレだよなあー!?」
そう言って笑ったのでした。
「カプセルホテルに泊まったんだけど、俺は1種類しかないんだと思ってたら、
何種類もあるんでびっくりしたあー!!?」
と、少し訛りのある言い方で言ったのです。

「へーえ!そうなんですかあー?!」
「俺も一度も泊まったことないから、知りませんでした!」
そう一平が言うと、
「きのう、ほんの一杯ひっかけてから、帰ろうとしたんだけどさー!?」
「なんかすごく効いちゃってさー!?」
「疲れがどっと出たんだよーなあー!」
「飲んでた客がカプセルホテルにきょうは泊まるからって言うんで!」
「その客に連れられて初めて中に入ったんだよー!」
「その人がいちばん安いカプセルで泊まるって言ったんだよ!」
「だけど俺は1000円高いやつに泊まってやった!!」
「えーい!」
と言って、親指を突き出したのです。

「先輩!酔ってませんかあー?!」と、一平が言うと、
「酔うほどに飲まなかったんだぞー!疲れて!!」
「それがさあー!?朝起きたら、
いっしょに入った飲み屋にいた客が、いないんだよ!!?」
「フロントで訊いたけど、きのうのフロントマンと、
朝のフロントマンとは違っていたんだ!」
「なんか、よくわからんなあー?!」
と、言ったのでした。

「先輩!もうそろそろ会議室に行かないと!?」
「俺!資料持って行きますから、先に行っててください!?」
と一平が言うと、
「あい、わかった!!」
と言って、先輩は会議室に向って歩いていきました。
一平はそれを聞いて、
「せんぱい!本当に疲れてるんだなー!?」
と、首をかしげながら思ったのでした。






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