携帯によろしく 第十六章(11)

じきに、
「一平ちゃん!?入るけどー!!?」
「向こう向いててねえー!?」
と育子がドアの向こうから言ったのです。
すると一平はすぐにドアと反対側を向き、
「いま、後ろ向いたからあー!?」
とうれしそうに言ったのでした。
それからふたりは、きのうとほぼ同じように、
風呂場でいちゃいちゃして過ごしたのでした。

一平は先に風呂から出ると、パジャマに着替えたのです。
そして髪の毛を乾かし、歯を磨くと台所に行き冷蔵庫を開け、
ヤッコをつまみに缶ビールをテーブルのイスに座わり、
うまそうに飲んだのでした。

育子もきのうと同じようにパジャマに着替えると、
髪の毛を乾かし、歯を磨き、顔の手入れをしたのでした。
それから台所に行き、テーブルのイスに座ったのです。
すると一平が育子に、
グラスに入れた冷えたウーロン茶を手渡したのでした。

育子はうれしそうに、
「ありがとう!!?」
と言って受け取り、一口飲んだのです。
それから、テーブルの上において置いた携帯を持つと、
育子の実家へと電話したのでした。

育子が、
「もしもしー!育子だけどー!?」
と言うと、
「そういえば!電話来た時泊まるか聞かなかったけどー!?」
「どうせ日曜日休みだから!?」
「泊まるんでしょう!??」
とすぐ、母の紀美子(きみこ)が言ったのです。

「ごめん!!?」
「わたし、日曜日は午後から出社なのー!?」
と育子が言うと、
「久しぶりに会うんだから!?」
「会社。午後からだったら、一泊していったらあー!??」
と紀美子が言ったのでした。

「うーん??!」
「ちょっと待ってえー!?」
と育子は答えると、
手で携帯の受話口を押さえ、
「”泊まってけばー!??”って!言うんだけどー!??」
「どうしようかあー!??」
と育子が一平に向かって言ったのです。

「俺はかまわないけどー!?」
「育ちゃん日曜日。午後から出だろう!??」
「育ちゃんの好きにすればいいよー!!?」
と軽い気持ちで一平が答えると、
「また!好きにすればいいって言ったあー!!??」
と少しふくれっ面をして、育子が言ったのです。

育子の顔色を見た一平は、
「そうだなあー!?」
「お母さんがせっかくそう言ってくれてるんだから!?」
「じゃあ!泊まろうかあー!!?」
と一平が言うと、
育子はうれしそうに、
「うん!!?」
と言い、手を受話口から離し、
「じゃあ!泊まるー!!?」
と紀美子に向かって言ったのでした。

「じゃあ!気をつけてねっ!!?」
と紀美子が言うと、
「はーい!!?」
とうれしそうに答えてから、
「アッ!!?」
「お母さん!?」
「忘れないうちに聞かなくっちゃーならないんだけどねえー!??」
と育子が言ったのです。

「なにー!??」
と紀美子が言うと、
「今のワンルームねえー!?」
「引っ越して一平ちゃんと暮らそうと思うんだけどー!?」
「家具とか多すぎて困るんで!?」
「そっちの家(うち)の物置に置いてくれないー!??」
と一気に育子が言ったのでした。

「だって!!?」
「そういう話は、お父さんと一平さんと会ってからでしょう!?」
「世の中。段取りってものがあるんだからねっ!!?」
「先走ってえー!?」
「そう言うところが育子の悪いくせよー!!?」
と紀美子が言ったのでした。

「ごめんなさい!」
「一平ちゃんにも同じこと言われたあー!?」
と言って、育子がシュンとなったのでした。
すると紀美子が、
「とにかくいろいろな話はこっちに来てからねっ!!」
「じゃあ!?おやすみー!!?」
と言ったのです。すぐ、
「はーい!おやすみなさーい!!?」
と言って、電話を切った育子でした。

育子はグラスのウーロン茶を飲み干すと、
テーブルの上を片付けたのです。
流しのところで洗い物をしながら、
「人形焼と虎屋の羊羹とスイーツ買って行かなくっちゃあー!!?」
と育子がうれしそうに言うと、
「おみやげ買う時間があるから!?」
「早めにここを出なきゃなあー!?」
「いつも実家へ行く時。何時頃、家出るのー??!」
と一平が言ったのでした。

「この間電話した時にお母さんが!?」
「”お昼用意しておくから、11時過ぎに来たらあー!?”って!!?」
「言ってたからねっ!!?」
「目安は、だいたい新宿駅に8時頃までに着けばいいのー!!?」
「新幹線9時のに乗ればいいから!?」
「余裕でおみやげ買える時間があるわ!!?」
と育子が言ったのです。

片付けを全部終えると、
「そうだあー!!?」
「泊まるしたくしてないから!?」
「急いでしなくちゃあー!!??」
と言って、育子はテレビの部屋へと向かったのでした。

部屋の隅に置いてあるボストンバッグを1個分横に動かすと、
それを開け、中身全部をそっくり取り出し、横に置いたのでした。そして、
「このボストンバッグが一番大きいから!?」
「着替えはこれに入れればいいわねっ!」
と育子が言ったのでした。

すると部屋に一平が入って来て、
「ほかは全部、鍵閉めてきたから!?」
「あとここだけー!!?」
と言うと窓のところに行き、
窓を閉めロックし、そしてカーテンを閉めたのでした。

これで、お。し。ま。い。
第十七章へ続く(予定?!)

*********************************

読んでくださいまして、ありがとうございました。
  携帯によろしく 第十六章 以外の話 も、
読んでいただければ幸いです。m(_ _)m
ブログ へもお寄りください。(^◇^)/ 

 

*********************************






▲Top