携帯によろしく 第十二章 (2)

「小百合さん!?今頃デートしている頃ですねー!??」
「よい方だといいですね!!?」
と一平が言うと、
「やはり一平さんには、誰かお好きな方がいるんでしょうねえー!??」
「なんとなくわかってはいましたけど!?」
と、菊枝が力なく言ったのでした。

「ええー!!?小百合さんには!?」
「初めてお会いした時に言いましたけど!?」
「結婚を前提に付き合っている人がいます!!?」
「今度休みにでも実家に連れて行こうと考えています!!?」
と、思わず一平は言ってしまったのでした。

「小百合は何も言わなかったので!?」
「そうですかあー!??」
と、菊枝は言ったのでした。
一平は優とデートした楽しかった日のことを、
菊枝に話したのです。
ほかにもいろいろな優との思い出を、
菊枝に話したのでした。

時間はあっという間に過ぎ、
面会時間が終わるBGMが流れてきたのでした。
「きょうはそのまま帰りますので!!?」
と先に一平が言ったのです。

「そうですか?!せっかくのお休みのところ!?」
「貴重(きちょう)な時間を割(さ)いていただきまして!?」
「ありがとうございました!!?」
「でもねえー!??」
「きょう、ナツさんが楽しみにしていたんですよ!?」
「一平さんが食事に来るのを!!?」
と菊枝が言ったのでした。

「一度うちに寄ってから、自宅へ帰ってもらえませんか?!」
「お見舞いの後(あと)は、食事をしてから帰ると思っていますので!??」
「一平さんからナツさんへ直接言っていただけるとよいのですが?!」
と菊枝が言うと、単純な一平は、
「確かに!?今までそうしていましたからねっ!!?」
「じゃあー!?ナツさんに悪いので!?」
「お宅へ伺(うかが)ってから帰ることにします!!?」
と一平は言ったのでした。

「ヒデさんが下で待っていると思いますので!?」
「まいりましょうか??!」
と菊枝は言うと、優の顔を覗き込み、
「ではまたあした来ますからねっ!!?」
と言ったのです。
そして一平も優に、
「じゃあー!?また来るから!!?」
と言ったのでした。

ふたりはそれから病室を出ると、
いつものようにナースステーションに寄り、
あいさつをしてから、エレベーターに乗って1階まで降りたのでした。

玄関を出ると、ヒデさんが車で迎えに来ていたのです。
そして、小百合も迎えに来ていたのでした。
一平と菊枝はびっくりしたのです。
「どうしたのあなた!??」
と、小百合に向かって菊枝が言ったのでした。

「着物は窮屈(きゅうくつ)なので、着替えてきました!!?」
「一平さんがそのまま帰るって言うのではないかと思ってえー!!?」
と小百合が、うれしそうに言ったのです。
「あきれたわねえー!?お見合いだから!?」
「ディナーを終えてから帰ってくると思ったわ!??」
と菊枝は言ったのでした。

「一平さんどうぞお入りになって!!?」
と小百合がドアを開け言うと、
ヒデさんがニコニコして会釈をしたのでした。
「ではお先に失礼します!!?」
と一平は言うと、車に乗り込んだのです。
つづいて、小百合が乗り込み、
最後に菊枝が乗り込んだのでした。
そしてヒデさんがドアを閉めたのです。

そしてヒデさんは運転席に回ると、車に乗り込み、
シートベルトをして、
病院の玄関を出発したのでした。






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