携帯によろしく 第十章 (2)

それから一平は洗濯する物を持ってくると、
洗剤と、柔軟剤・漂白剤を入れ、洗濯機を回したのでした。
そして、全部の部屋に掃除機をかけたのです。
それから風呂掃除を始めると、
すぐ洗濯機のブザーが鳴ったのですが、
一平はそのまま風呂掃除を続けたのでした。

風呂掃除が終わると一平は、
洗濯したものをカゴに入れ、テレビのある部屋に行き、
室内用の物干しセットを広げると、それらを干したのです。
「久しぶりで使ったなー!?」
「乾燥機より、こっちで干したほうが気持ちがいいやあー!??」
と一平は言うと、ベランダに出て、しばらく外を眺めたのでした。

それからじきにブルブルっと、アタリがあったのです。
大物かな?
そうではありません。
携帯がブルブルいったのです。
育子からでした。

「一平ちゃんゲンキー!??」
「逢えなくてさびしいよー!!??」
と育子が言うと、
一平は携帯を持って部屋の中に入ったのでした。

「今どこにいるのー?かいしゃー?!」
と一平が言うと、
「うん!そうなの!?あしたも出なの!!?」
と育子が言ったのです。
「大変だけど育ちゃんがんばってね!!?」
と一平が言うと、
「お昼だけど!?一平ちゃん、ちゃんと食べてるー??!」
と育子が言ったのです。
そう言われて昼になったことを気づいた一平でした。

「これから食べるところだよー!??」
とつい言ってしまった一平でした。
「おかずナニー!??」
と育子が言うと、
「卵掛けご飯とおしんこと海苔(のり)だよー!??」
「インスタントラーメンじゃーないから!!?」
と言った一平でした。

「ならいいけどー!!?」
「でも、朝ご飯みたいねー??!」
と育子が言うと、
「朝もちゃんと食べたから!?」
「心配しなくていいよー!??」
と一平は答えたのでした。

「一平ちゃんわたしのこと愛してるー??!」
と育子が言うと、
「もちろん!愛してるよー!!?」
と一平が言ったのです。すると育子は、
「わたしも愛してるー!!?」
「これからお昼ご飯に行くから!??」
「じゃーねー!?バイバイ!切りまーす!!?」
と言うと、携帯を切ったのでした。

「早いなー!?きょうは??!」
「でもよかった!昼になったの気がつかなかったよー!??」
「さーて!飯(めし)にするかー!?」
と言うと一平は、台所に向ったのでした。

テーブルの上を台ぶきんで拭き、
少し大きめの皿を取り出し、テーブルの上に置いたのです。
冷蔵庫を開け、きのう買っておいたコロッケを2個出し、
それを皿に載せ電子レンジでチンしたのでした。
今度はキャベツを取り出し、流し台に持っていくと、
まな板に載せ、
「このぐらいかなー!??」
と言うと、端のほうを切ったのです。

残った大きなキャベツをスーパーの袋に入れ、
冷蔵庫に戻したのでした。
流し台に戻ってきた一平は、今切ったキャベツをざっと水洗いすると、
包丁を使い、細かく千切りしたのです。
切り終わるとそのまま、
まな板をテーブルの上においてある皿の上に持って行ったのでした。
そして千切りキャベツを、コロッケの横に盛り付けたのです。

「よーし!オッケイ!!?」
と一平は言うと、
包丁とまな板を水洗いし、いつものところに戻したのでした。
コップにウーロン茶を注ぎ、
茶碗を持ってくると、ジャーからご飯をよそり、
コロッケと千切りキャベツにソースをかけ、
昼ご飯を食べた一平でした。(育子に言ったことと違うじゃん!!)

洗い物を済ませた一平は、
「もう1時だよー!!?」
「早いなー!?休みの日は!!?」
と言うとパソコンの部屋に行き、着替えを始めたのです。

ジーンズと、カラーの縦じまのシャツにブルゾンを羽織ったのですが、
洗面所に行き水にしたしておいた花束をどかし、
ヘヤードライヤーを使い頭を整え、
鏡に映った自分を見た一平は、
「遊びに行くんじゃーないんだよなー!??」
と言ったのです。

しばらく考えた一平は、
パソコンの部屋に戻り着替えをやり直したのでした。
シャツはそのままで、ジーンズから白っぽい綿パンに替え、
ブルゾンをジャケットに替えたのです。
そしてネクタイを3本ほど持って洗面所に行ったのでした。
3本のネクタイを、かわりがわりつけると、
その中の気に入った1本を、ジャケットのポケットに入れたのです。






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