携帯によろしく 第一章 (2)

携帯が鳴ったのです。びっくりして、
思わずかん高い声で
「もしもしー!?」
と、言ってしまったのでした。
「ヨーコ!あんたにしちゃあ、電話に出るのが早いじゃん!!?」
「私の友達でミエっていう子、知ってるでしょ!」
「その子ねえー!彼氏と別れたって電話があったのよー!?」
「電話の向こうで泣きながら話してるのよ!」
「でもねっ!いつも同じパターンなのよねえー!?」
「わんわん泣いて話すんだけど、話を聞いてやると、
次の日はなんにもなかったかのように、元気なのよ!!」
「信じられないわよー!!?」
と、早口でけたたましくしゃべったのです。

「ねえー!。ヨーコ聞いてるのー?!。」と言ったので、
しかたなくかん高い声で、
「うーん!!」と答えると、
「それならいいけど!?」
「あんたおっとりしてるから、聞いてるんだか、聞いてないんだか、
わからないときがあるのよ!?」
「そんなことは、どうでもいいけどー!?」
「あれ?どこまで話したっけ??!」
「そうそう!話を聞いてやった次の日、
元気よく会社に出てきて、
失恋したばかりの顔じゃあないのよね!?」
「”きょうは、お化粧ののりがいい”だなんて、
平気で言うのよ!。信じらんない!!」
と、言ったのでした。

「君さあー!?よく早口でしゃべれるよなあー??!」
「こっちが信じらんないよおー!!??」
「えっ!!?あんただれ??!」
と、電話先で言うので、
「俺か!山本一平!!」
と答えると、
「やまもと。いっぺい?!」
「へえー!?変な名前!!?」
と、言ったので、
「お前こそ誰だ!!?」と言ったのです。

「わたし!?」
「教えなーい!!」
「だって!付きまとわれたらいやだもん?!!」
と、ぬかしやがったので!いいえ!!。
と答えたので、
「俺が名前を言ったのに、電話を掛け間違えた君が、
名前を言わないのは、おかしいだろう!?」
「社会人として恥ずかしくないのか!君は??!」
と言うと、
「何言ってんのよー?!」
「途中で、ヨーコ聞いてんのって訊いたら、
”うーん!”って答えたくせに!!」
「人の話を面白がって聞いてたでしょー?!」
と、言ったのです。

「まあー!?そのとおりだけど!!?」
「今さっき友達から電話で、映画に行く約束をしてたのに、
急用ができたんで行けなくなったって電話があったばかりなんだ!!」
「だから暇で、これからどうしようと考えてたら、
君からの電話があったんだよー!?」
と、答えたのでした。

「あんた暇なの??!」と訊くので、
「ああ!!暇だよー!」と答えると、
「ヨーコを誘ってどこかに行こうと思ったけどー!?」
「あんたどこに住んでんの??!」
と言うので、
「高田馬場だよー!」と答えると、
「あんたいいとこ、住んでんじゃん!!」
「ついでだから、あんたでもいいや!」
「わたしも暇だから!?」
「今新宿にいるんだけどー!」
「ルミネって喫茶店。知ってる??!」
と、言ったのです。

「知ってるけど!」と言うと、
「じゃあ!そこで待ってるから!?」
「どうせ暇でしょ?!」
と言ったので、「名前は??!」
と訊こうと思ったら、
電話を切ってしまったのでした。

なんとなく飾り気のない話し方に、
興味を持った一平は、
スタコラサッサと、出かけたのでした。
(また使ってしまった!反省!!。)






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